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なぜ、アメリカではニッチフレグランスブランドがうまれやすいか? (前編)

こんにちは。香りのコミュニケーターHIROです。

「香水」と聞いて、フランスをあげる方が多いのではないでしょうか。しかし、アメリカもあなどれない。

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この数字は2018年にローンチした世界中の香水の数だ。この中からニッチフレグランスブランドといわれているものの数は定かではないが、70-80%ではないかと思う。さらに、とある米国団体からの情報だと30-50%がアメリカンブランドという。

「なぜアメリカではニッチフレグランスブランドがうまれやすいか?」
5月最後の日曜日、La Causette ParfumeeのVol.24のセミナーで講師を勤める機会をいただいた。La Causette ParfumeeSTYLE ET PARFUM主宰の地引氏が毎月開催する香りのおしゃべり会。香水を中心に香りについて学ぶプラットフォームです。

地引氏とは「匂いの帝王」の著者でジャーナリストのChandler Burr氏の紹介で、まだ活動拠点がニューヨークにあった一時帰国の折に出会った。以前も、日本でアメリカのニッチブランドを幾つか紹介する機会をいただいたが、今回は「なぜアメリカでニッチフレグランスブランドがうまれやすいか?」をテーマに話を進めた。

そもそも、ニッチフレグランスブランドとは?

その昔はメゾン、今ではインディーやアーティサナルと呼ばれている。化粧品メーカーやファッションデザイナーブランドによる大量生産香水の代替品として、芸術と創造性に重きを置くブランドを指す。

数あるニッチブランドの差別化として、下記の5つの点があげられる。
1. 天然エッセンスのみの使用する
2. 特定の場所の香り - 都市、島々、国または存在しなくなった帝国
3. 合成材料の活用
4. シングルノートにフォーカス - バラの香りやバニラの香り
5. エキゾチックな場所の香りをキャプチャー

カテゴリー定義は、かつての香水業界のように、老舗ブランドのように自社内調香師を置いており、少量生産、独自の流通経路を開拓し、広告ではなく評判で認知向上を目指としている。

ニッチフレグランスの台頭

近年、大手化粧品メーカーによるニッチブランドのM&Aが顕著だ。Estee LauderによるJo Malone London(1999)、Le Labo(2014)、Frederic Malle(2014)、By Kilian(2016)、2015年にはShiseidoがSerge Lutensを、2016年にはL’OrealがAtelier Cologneを、LVMHが2016年にMFKを、それぞれ買収または投資している。
ところで、By KillianはLVMH傘下のHennessyの孫のブランドなので、Estee Lauderによる買収は興味深かった。

このように、大手も欲しがるニッチブランドの成長は著しい。

ニッチフレグランスの成功まで

成長は今急増していますが、実際にはかなりオーガニックな「20年間の夜通しの成功」
ー Dave Kern, Owner, American Perfumer

と語るのは「American Perfumer」のオーナーDave Kern氏だ。

Guerlain、Chanel、Dior、Caronだろうが、クラシックスタイルに惚れた初期の人々が自分で作り出した90年代のクラフト。そのオーディエンスが生徒となりフレグランス業界のしきたりのとらわれず、科学的な観点よりもむしろ芸術的観点から香水とらえたアーティサナル ー 「語り部」。20年間にわたるニッチブランドのオーガニック成長を経て、アメリカのアーティサンによる香水は、今日世界でも誇れる地位にあるという。

「なぜ、アメリカではニッチフレグランスブランドがうまれやすいか?」 後編に続く

今日も香り満ち溢れる素敵な一日を!

画像:La Causette Parfumee




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