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りょうのはなし/Ep.6 おやすみ。が忘れられない🇯🇵🇧🇷🇲🇾🇺🇸

登場人物
E55
優さん…大阪人RA🇯🇵
しの(篠崎)…身長が高くて細い栃木人🇯🇵
紹傑…日本と中国のハーフ🇯🇵🇨🇳
アル…もっと身長が高くて細いメキシコ人🇲🇽
ケル…クアドリンガル日系ブラジル人🇧🇷
プーム…実家金持ちタイ人🇹🇭

E54
ブライアン…アニメ好きアメリカ人🇺🇸
大樹…ナチョスと不思議な縁がある大阪人🇯🇵

何気ないけど忘れられない。

生きていると、そんな瞬間に出会うことありませんか。

大きなイベントや、人生を左右するような大きい点じゃない。

だけどその小さい点が星みたいに、宇宙の中で輝いてくれる。

その星のように小さな点がたくさんあることを、豊さっていうのかもしれないって思う。

国際寮でそんな瞬間が訪れたのは、寮生活が始まって1ヶ月くらいが経ったある夜のこと。

私は中国語の集中コースを受講していた。

毎日2コマ以上、リーディング、リスニング、ライティング別の授業があって、中国語から逃れることができなかった。

国際寮というアドバンテージを活かすために、マレーシア出身で英語、中国語、マレー語を話す、前のユニットメンバーのヤップに中国語で積極的に話していた。

ヤップは入学当初、日本語を話すことができなかったので、英語で会話しながら中国の練習もできる最高の相手だった。

同じユニットの紹傑も中国とのハーフで中国で生活していたので、学習環境は恵まれていた。

ユニット間の仲が良く、日常的にユニットを行ったりきたり。

大学生で寮で、となると夜が一番楽しかった。

フロアの共同スペースにはソファとテレビがあったから、みんなでスポーツ観戦したり、映画やドラマを観たり、歌を歌ったり。

特別何にもない日でも、次の日に1コマから授業がなかったら無駄に遅くまで話し合い笑ったり。

ちょっと話したいことがあって話し始めたら夜中になるなんてことはしょっちゅうあった。

ある夜、確か中国語のことでヤップのユニットに行った。

共同スペースで2人で話していると、そこにアメリカ人のブライアンがやって来た。

そこにまた私のユニットから日系ブラジル人のケルがやって来て、最終的に4人で他愛もない話をした。

みんな寝る時間になり、廊下の電気を消し、小さめの声で会話した。

その頃にはちょっと真面目な話、多分誰かの悩みをみんなで聞いて励まし合っていた。

何を話したのかは覚えていないけど、きっとその時の私に必要なものをみんなからもらった気がする。

そろそろ寝ようかとなり、私とケルがユニットに戻ろうとした時。

ケルが「おやすみ。」と言った。

私は「晩安。」と言った。

するとヤップが「Good Night.」と言い、3人がブライアンの方を見た。

「Boa noite.」

「「「ウェイーーー」」」

「Oh! Can you speak Portuguese!!??」

ケルは英語しか話せないブライアンが、ポルトガル語で「おやすみ。」を言えたことに驚いていたが、学生時代にポルトガル語の授業で習ったのを覚えていたらしい。

その後、私とケルはそれぞれの部屋に戻った。

部屋の電気を消し、横になって、ついさっきの光景を思い出す。

めちゃくちゃ国際寮してるなぁ。

国際寮での思い出はたくさんあるけど、一番最初に思い出すのはこの思い出。




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