見出し画像

「センス」は磨けるのか?

子どもたちと接していると、
「この子は学習センスがいいなぁ」
と感じる子がいます。

センスをよくしてあげたいとも思うし、どこでそのセンスが身についたんだろうという興味もあります。


「学習センス」とは何か?

初めて見る計算の解法を、一回で、しかも短時間で掴む、とか、国語の読解問題に対して鋭い指摘をする、とか。

もともと解法を知っているという知識や、その技術があるときに感じるわけじゃないんです。知っていたり、できる問題なら、できても驚きはありません。

やったことがない、見たことがない問題なのに、できてしまう子。
または、正解には至らないけれど、よいプロセスをたどっていることもあります。
いや、プロセスを見ても正解に行き着かなそうだけど、道筋の見え方が興味深い場合もあります。

才能ともちょっと違うんですけど、思いつきのようなものが降ってくる感じ。

一方で、お世辞にも「センスがいい」とは言えなくて、新しい課題を掴むことや、文章のポイントを押さえるのがものすごく苦手な子もいます。

ChatGPTに「センスって何?」って聞いたら、こんな回答。

個人の直感や感性によって感じ取る、あるいは判断する能力や傾向を指します。一般的には、芸術的なセンスやファッションセンスなどがよく知られていますが、それ以外にも様々な分野で用いられます。

センスは、生まれつき持っているものとされる場合もありますが、環境や経験によって磨かれることもあると考えられています。たとえば、音楽や美術、文学などの芸術分野においては、幼少期からの経験や学習がセンスの形成に大きく影響するとされています。

また、センスは主観的なものであり、人によって評価が異なることがあります。たとえば、ある人が感性豊かだと評価する作品が、別の人からは理解できないといった場合があります。ただし、それぞれの評価基準がある程度共有されている場合には、ある程度の共感を得られることがあるでしょう。

つまり、センスは人間の感性や判断力によって形成されるものであり、その内容や評価は主観的であると同時に、環境や経験によっても大きく影響されることがあると言えます。

「環境や経験によって磨かれることもある」
つまり、教育や関わり方で磨きようがあるということです。

「学習センス」の磨き方

「思いつき」「発想」「ひらめき」「アイディア」のような意味に近い「センス」の中でも、「学習センス」はトレーニングすることで、磨けると考えています。「芸術的センス」とかは、よくわからないんですが。

まず、一見、「学習センス」がなかった子でも、だんだんセンスがよくなっていく場合があります。

新しい課題に触れたときに、心が折れることなく考え続け、試行錯誤を繰り返せる子が典型です。
1回の思いつきで、正解に至ることはできなくても、何度もチャレンジする子。いろんな手を打てる子。
いわゆる、ピボットする子。
そういう子は、新しい課題に触れるたびに、感度が上がっていくのがよくわかります。

最初から学習センスがいい子に比べて時間はかかります。
負荷も大きいでしょう。
でも、粘って考えているうちに課題の原理をも掴んでいくので、定着率が深く、忘れにくいように見えます。
言い方は悪いですが、「センス」だけで学習している子よりも深く学べていることさえあります。

つまり、「愚直な努力」ができる子です。
一瞬の「ひらめき」で答えを見つけることはできないかもしれません。でも、諦めずに試行錯誤しているうちに、センスが磨かれていった子はよく見ます。
そうしているうちに、5回試行しないと正解にたどりつけなかったことが、4回、3回、2回・・・と減っていきます。
「あーセンスがよくなってきた」と目に見えて感じられます。

多くの子は、最初のうちは、一度思いついた手を打って、それがうまくいかないと、あきらめて、「わかなんない」と誰かに聞きます。

そこで教えてしまうと、センスはずっと磨かれません。

センスだけではダメな理由

一方で、「センスがいい」子には、試行錯誤し続ける体力が欠けている子がいます。「ひらめき」で解ける問題は嬉々として解きます。「ひらめき」がないと解けないので、そういう場合に慣れておらず、諦めるのが早い傾向にあります。

放っておくと「愚直な努力」ができない子になっていきます。結果、センスの良い子(正確には良かった子)は、センスが良くなかった子に勝てなくなります。

「センス」の良し悪しはともかく、本人が自分は「センスがいい」と思う自信は、親や周りの大人が作り上げたというケースが少なくありません。
「才能」をほめてしまったケースです。

最も難しいのは、センスが良いわけではないのに、「自分はセンスがよい」と思っている子です。
つまり、プライドの高い子。

そういう子は、わからないこと、やったことがないことに突き当たると、どうにかしてサボろうとしたり、思考停止になります。
でも、自尊心だけは保ちたいので、こちらのアドバイスも届きません。

「才能」をほめてしまうと、そういう子になる可能性があります。
こうなったときの指導が一番難しい。

親が親バカになるのは、推奨していますが、親バカの方向性はよく考えておいてください。
「センス」があろうがなかろうが、
「あなたは天才だ」
「才能があるのね」
と、「結果」や「才能」をほめることはせず、「過程」や「努力」をほめるようにすれば、「センス」を磨いていくこともできるはずです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?