「お母さんが先月、病気で亡くなりました。一緒に死にたいです」と打ち明けてくれた
とある高校で、講演をした時のことです。
終わった後、一人の学生さんが話しかけてくれました。
「お母さんが先月、病気で亡くなりました。悲しくて、一緒に死にたいとまで思っています。でも、皆が心配するから、人前では泣けません。この悲しみはいつか亡くなるのでしょうか?」
今日、初めて会ったばかりの私に、打ち合けてくれました。
どれほどの勇気が必要だったことでしょうか。
夫を病気で亡くした私の話を聞いて、頼ってくれたのだと思うと、言葉にできない思いがこみ上げてきました。
そして、こんなことをお話しました。
悲しみはなくならないかもしれません。
でも、ずっと悲しくたって、良いと思います。
今は想像できなくても、いつかその悲しみは、耐えられないものではなくなります。
私も、そうだったからです。
今はたくさん、思う存分泣いてほしいのです。
悲しい気持ちと、とことん向き合ってほしいのです。
あなたにはお母さんの血が流れています。
お母さんの教えてくれたことが、たくさん詰まっています。
あなたの中に、お母さんがいると思います。
悲しい、寂しい、辛い、と感じる自分を、大切にしてあげてほしい。
だって、自分を大切にすることは、お母さんを大切にすることだから。
そんな風に考えると、気持ちは少しずつ、変化していくかもしれません。
そう答えると、目の前の学生さんが、ぽろぽろと大きい涙をこぼしました。
「わかりました」と、言ってくれました。
最終的にその学生さんがなにを思ってくれて、少しでも楽になったかはわからないのですが、人前で泣いてくれたその子の涙を、私はずっと忘れません。
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