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子どもの言動の全ては、注目されたい、愛されたいから〜岸田ひろ実のコーチングな日々〜

わたしは一人っ子です。

「きょうだいがいなくて寂しいね」と、何度となく言われてきたけれど、寂しいと思ったことは一度もありません。

いたはずのきょうだいが、いなくなったとなれば話は別だけれど、最初からいないので、何がどう寂しいのか比べようもなく。

私の感覚では、寂しいどころか、親の愛情は独り占めできるし、欲しいものを取り合うことも我慢することもなく。どちらかというと良いことしかありませんでした。

でも、わたしが大人になってからは、一緒に買い物に行ったり、悩み事を相談したりできる仲の良い姉妹がいる友人を羨ましく思いはじめました。

親でも友達でもなく、頼り合い、安心できるその感覚ってどんなものなのか、想像できないその感覚も知りたいと思いました。

そんなわたしが娘の奈美を産み、息子の良太を産み、はじめて「きょうだい」のあれこれを、娘のある一言をきっかけに知ることになりました。

息子さんにダウン症があります 

医師からそう宣告された日の絶望は、26年も経った今でも鮮明に覚えています。 

息子の良太にはダウン症と、重度の知的障害があります。
宣告された時は、想像上の絶望に押しつぶされそうになっていましたが、成長するにつれ、その絶望は希望に変わっていきました。

他のみんなと比べたら、できないこともたくさんあるし話すことは苦手だけれど、ゆっくりゆっくり成長するなかでできることも増え、わたしの想像上の絶望はいつしかなくなっていました。

一方でこんな不安もありました、

姉の奈美が障害のある弟、良太のことをどんな存在に感じていくのだろうかということでした。

ちゃんと話すことができない弟のことを、みんなができることをできない弟のことを、みんなと違う弟のことを、もしかしたらいつか嫌いになるのかもしれない。一緒にいるのが重荷になるのかもしれない。

そもそもきょうだいがいないわたしにとって、きょうだいそれぞれがお互いにどんな存在だと感じるのか、まったくわかりませんでした。ましてや、障害のあるきょうだいへの感情なんてさっぱりわかりません。

なんとなくではあるけれど、良太の面倒をみてねとか、良太のことを頼むよと、母親であるわたしが言うのは違うと思っていました。

でも良太は1人でできないことがたくさんあります。だから良太が困っている時は奈美ちゃんが助けてあげてほしい。近くで見守ってほしい。ずっと仲良しでいて欲しい。

そんな矛盾した思いがいったりきたり。

いい関係の姉と弟になってほしい。

私はどうすればいいのだろう。

ママは奈美ちゃんのことが嫌いでしょ

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ある日、幼稚園生だった奈美に言われました。

奈美が走っていて転んだ時、わたしは良太を抱っこしていたので、泣いて立とうとしない奈美に手を差し伸べることができませんでした。

「早く立ちなさい!」

咄嗟にわたしの口から出た言葉に、奈美は、

「ママは奈美ちゃんのことが嫌いでしょ。好きなのは良太だけでしょ」

そう言ってさらに大泣きをしてしまいました。

奈美のことが嫌いなんてあるはずもなく。
ただ、これから良太のことでいろいろな感情がでてくるかもしれない、傷つくことがあるかもしれない。そんな時がきても奈美には強くたくましく、優しい人でいてほしい。

私は心のどこかでいつもそう思っていたので、つい奈美には厳しくしていたようです。

しかし、奈美にとっては、将来の自分のためにと思うママの気持ちなんて知ったことではなく。ただママに見ていてほしかった、ママに愛されていると感じたかった、それだけだったんです。

わたしの本心は、奈美も良太も同じだけちゃんと見ていて、同じだけ2人のことが大好きなのに。

奈美にこんなに寂しい思いをずっとさせていたんだということを、この時初めて気づき、そんな思いをさせていた情けないわたしのことを情けなく思いました。

そこからです。

これから2人の関係がどうなっていくのかを心配するよりも、まずは今ここにいる奈美を、良太を、それぞれにちゃんと見よう。愛していることをちゃんと伝えようと決めました。

障害があるとか、ないとか、そんなのは関係なく。

「あなたの存在に気づいているよ」
「あなたの存在は大切なんだよ」

ことあるごとにこのメッセージを様々なコミュニケーションで伝えることにしました。

その代表が、褒めることでした。

こうしなさい、ああしなさいと先回りして教えるのではなく、間違いを指摘して叱ることでもなく。褒めようと思いました。見て気付いたことは伝えようと思いました。

そして、すきあらば大好きだよーって抱きしめることにしました。

お手伝いしてくれたから助かったわー。
ぎゅーっ。

勉強、すごくがんばってたねー。
ぎゅーっ。

美味しそうにご飯食べてくれて嬉しいわー。
ぎゅーっ。

たくさんお話ししてくれて楽しかったわー。
ぎゅーっ。

笑顔見たらほっとするわー。
ぎゅーっ。

特別なことではなく、とにかく気付いたことを、嬉しく楽しく思ったことをことあるごとに言葉と態度で伝えようとしました。

しばらくすると、姉弟で仲良くしてくれるだろうか、支え合ってくれるだろうか、そんなわたしの心配はすっかりなくなってしまいました。

勝手に奈美は良太に、良太は奈美に、どんどん優しくなっていたからです。

自分の存在に気づいてもらえている、自分の存在を大切だと思われている、そういう自信があれば自分を大好きでいられます。自分が大好きだから、自分以外の人に優しくできる。

あの時、奈美がわたしに言ってくれた「ママは奈美ちゃんのことが嫌いでしょ」という予想もしなかった言葉があったからこそ気づけたことでした。


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子育てをしていると、大人の頭では理解できない子どもの言動に悩まされることがいっぱいあります。

なんで?
どうしてそんなことを?
もうわからないー!!!

って、いったん親を休みたいなんて思ってしまうことがあるかもしれません、

でもその言動の全ては、子どもたちの注目されたい、愛されたいからくることなんですよね。

親だからいつでも完璧にできるようにならなければいけないなんて思う必要はなくて。

自分のコミュニケーションにこれまでよりちょっとだけ意識しつつ、時に反省したり、時に自分を褒めながら、子どもと一緒に少しずつでも成長していけたらいいなと思います。たくさん。たくさん楽しみながら。







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