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音楽療法とは?③セッションで使う楽器色々

大学で音楽療法を学んでいた時、高齢者施設から児童まで、様々な対象者に実習でセッションを行っていましたが、音楽療法のセッションでは普段お目にかからないような珍しい楽器も目的に合わせて沢山使います。

 以前の記事で触れた「ロリポップドラム」も、大学生になって初めて知った楽器でした。

本当に沢山の楽器があって、全ては紹介しきれないのですが、今回は個人的に特に印象的だった楽器、好きな楽器を紹介します。

オーシャンドラム

丸い容器の中に無数の小さい粒が入っています。
この楽器を両手で持ってゆっくり傾けると、さざ波のような音がして、海辺にいる気分を味わえます。
大きさやデザインは様々ですが、大きなものの方が、より深い音が味わえます。


レインスティック

こちらは名前の通り、細長い棒を傾けると雨が降る音が味わえます。

元々はアフリカ発祥の民族楽器で、乾燥した棒状のサボテンに針を刺し、小石などを入れて作られていたそうですが、現在では様々な素材で作られています。
楽器店の他、民族雑貨のお店に行くと置いてあることがあります。

セッションでの使い方の例としては、梅雨時期や雨の日に使うことで季節感を味わえます。
梅雨時期の童謡、唱歌で「雨ふり」「雨ふりくまのこ」がありますが、歌唱と合わせて使用することでより五感が刺激されます。

高齢者施設や障害者施設でのセッション等、普段気軽に外に出れない方がクライアントである場合、こうした刺激はとても重要なものです。

先にあげたオーシャンドラムも同様に、季節感やセッションで取り入れたいプログラムに合わせて効果的に取り入れます。

ハンドベル


ハンドベルは幼稚園、保育園等で見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?
手に持って前に振って音を出すタイプのものが一般的ですが、上にあげた机に置いて、ボタンを押して音を出すタイプもあります。

カラフルなハンドベルの一番の長所は、色楽譜を作ることで、楽譜が読めないクライアントの場合でも合奏が楽しめることです。
高齢者の通所施設に勤めていた頃、ハンドベルの色楽譜を作って利用者の皆様と合奏を楽しみました。
曲目は「きよしこの夜」など、ハンドベルの音色に合った曲を選ぶと雰囲気が出てより良いです。

合奏はグループの一体感、協調性を養うことができますし、他の人の音を聴いて自分が鳴らすタイミングを測るので集中力向上にも役立ちます。

高級感を出したい場合は、価格が上がりますがゴールドやシルバーのハンドベルも良いですね。

トーンチャイム

ハンドベルと音の出し方は似ていますが、ハンドベルより深みのある、少しもやがかかったような、丸みのある音がでます。

こちらも合奏で使うこともできますが、音の特性を活かして即興演奏を楽しみたいときにも使用していました。

あらかじめ沖縄音階など、誰がどの順番で鳴らしても不協和音にならない組み合わせをピックアップしておいて、集団で鳴らし合いっこします。

ハンドベルに比べると高価なので気軽に購入するのは難しいですが、機会があればぜひ鳴らしてみて欲しい楽器です。

ツリーチャイム

こちらは吹奏楽やオーケストラでも目にすることのある楽器ですね。
セッションでの使い方の例としては、楽器をスタンドから外してセラピストが手に持ち、クライアントに暖簾のようにくぐってもらったり、又はセラピストがクライアントの手や足で鳴らすように、さーっと楽器を動かしたりします。

音も綺麗だし、ダイレクトに音と振動を感じられるのが楽しくて人気のある楽器です。

また体が不自由な方、耳の不自由な方にも振動を通じて音を感じてもらうことができます。
楽器の工夫次第で、どんな方でも音楽は楽しめるのだと感じた楽器でした。

リストベル

手首や足首に巻いて鳴らせる鈴です。
こちらは主に音楽に合わせて体操したい時に付けることで、手や足により意識が向くので良いです。

また、握る力が低下している方等にも演奏を楽しんで頂けます。


終わりに:恵まれていた大学生活に感謝を込めて

大学時代は、実習の度に大学の楽器庫からこれらの楽器を借りて、実習に持って行っていました。
高い学費を親が払ってくれていたとは言え、当時は自由に様々な楽器を使える有り難みが分かっておらず、当たり前のように日々使っていました。

大学を出て、自分の力で歩いていかなければならない、仕事を得て、自分で楽器の用意も全てしなければならない、となって初めて、自分がどれだけ恵まれていたか、そして大学に守られていたのかを痛感しました。

沢山の楽器に触れることができた大学時代へ感謝の思いを込めて、この記事を締めさせて頂きます。

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