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「踊る銭湯」に見た希望。新たな文化の始まり。

今年を振り返って、
改めて素晴らしかったイベントを紹介。

今回、紹介するのはこちら。

アートが身近になる
参加型ダンスイベント「踊る銭湯」

概要
 ダンスで人、社会、文化を結ぶ架け橋になることを掲げ「踊る銭湯」を開催!イベントは「ファンタジーナイト」「ダークナイト」2テーマに分かれており、銭湯の休館日である木曜の夜に2日間開催。
 イベントは〝入浴〟に見立て3部構成。
アートのかけ湯(ワークショップや遊べるアート)
アートの入浴(ダンスパフォーマンス)
アートの覚まし湯(アフターパーティー)
@ 高円寺・小杉湯
2018.10.18(Thu)ファンタジーナイト
2018.10.25(Thu)ダークナイト
open 19:00ーclose 22:00
・演出 宇山あゆみ ・振付 HEIDI

 このイベントは、何度かお会いしたことのある「踊る広報」こと「柴田菜々子さん」主催のイベント。柴田さんは「バスタブNY」というコンテンポラリーダンスカンパニーに所属しており、今回はその活動の一環でイベントを主催。クラウドファンディングで見事115%を達成し、開催する運びとなった。

詳しくはこちら。

バスタブNYとは
 メンバーは振付HEIDI、ダンサーの根本紳平・柴田菜々子の3名。ダンスコンテスト(Nextream21)で受賞したことをきっかけに、2017年に活動開始。2017年4月に単独公演を開催。今より多くの、今まで接点のない業界の方たちへも届くようにとコンテンポラリーダンス×エンターテイメント(コンテンタテイメント)を掲げ、NY公演を目指し活動をしています。

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 私は「ファンタジーナイト」の方に参加したので、今回はそちらを中心に紹介!ちなみに写真は、柴田さんご自身に頂けたので、ドンドン貼っていく。説明不要の素敵なイベントだが、企画を考える立場としての視点で、簡単にポイントを述べる!


①強烈なビジュアルと練り込まれたコンセプト

 イベントを企画する人は分かると思うが、やりたいことを表現したり、落とし込むことは非常に難しい。しかし、このイベントはそれが明確で、とても分かりやすい。クラウドファウンディングの成功も納得の内容になっている。
 まず、ビジュアルのインパクト。以前、紹介した「呑めるアート展」に近しい、人を惹きつける「違和感」がそこにはある。日常的な銭湯と日用品から生まれる非日常。ビジュアルを見たら最後、中を見たくなるのは必然だ。
 次に「ダンス×銭湯」「アートに浸る新たな体験型イベント」というキャッチコピー。時代に合った響きで分かりやすいだけでなく、より知りたくなるワクワクする表現になっている。
 さらに、お風呂の流れに合わせたプログラム。イベント全体が「かけ湯」「入浴」「覚まし湯」という形で構成されており、3部に分かれている。私はこういった拘りが好きだ。何となく楽しいイベントは多いが、やはり納得感がどこまであるか、これが質を左右させる。
 さすが「踊る広報」すごい!


②今アツい「お風呂」という空間

 ①でも少し触れたが、会場が「お風呂」であることは大きいポイントだ。最近、何かと「お風呂」が絡むことが多い。サイレントフェスの雨宮さんの「ダンス風呂屋」、斎藤さんの「サウナトラック」、榊原さんの「Bathhaus」など、知り合いだけでも、これだけ出てくる。 ※銭湯メディアの「東京銭湯 - TOKYO SENTO -」も注目。
 改めて考えると、お風呂は皆が裸となり、自然と交流が生まれる場。さらには日本を象徴する空間である。その魅力が今、再評価されているのだろう。ここ「小杉湯」では他にも様々なイベントが開催されており、非常に興味深い。
 話が逸れたが、当日は、この「小杉湯」が装飾やパフォーマンスにより、非日常的な空間になっていた。


③ゲリラ的な世界観と独創的な表現

 ここまでイベントの側の話してきたが、当然、中身もヤバい。まず面白かったのは湯船から演者のパフォーマンスを見るところ。湯が抜かれた湯船に、人がギッシリ入る様はシュールだった。
 そして、恐らく1時間弱ほどあったダンスの舞台。正直、難しいことは語れないが、「主張」「独立」そして「一体感」という言葉が合う、ゲリラ的で熱いパフォーマンス。そんな大作を平日に観ることが出来て、満足度は非常に高い。また劇中で「好き」を集める場面があり、参加している子供たちの姿も微笑ましかった。


④周りを取り巻く個性的なアーティスト

 このイベントはダンス以外のコンテンツも充実している。「太鼓の生演奏」「お坊さんによる座禅や書経」「アロマの香りで銭湯空間を香りデザイン」「音」「画家によるワークショップ」「アクセサリーアーティスト」「刺繍アーティスト」「カメラマン」など、てんこ盛りだ。しかも、今回は知り合いアーティストさんが複数参加していた。

話が逸れがちだが、好きな人たちなので、
少しだけ紹介。

「藤田チャコス」
 永遠にピュアでヤンチャな「藤田チャコス」。彼女の天真爛漫さは計り知れず、初見はただただ焦る。ちなみに私は初対面の時、眼鏡の裏を汚された。意味は分からない笑。そんな彼女だが、実は人をしっかり見ていて優しい気遣いが出来るめちゃくちゃ素敵な女性。一緒にキャンプに行って6時間、焚き火を見つめてたのは良き思い出。
※チャコス(左)とワークショップの写真


「kiiman」
 悪セサリーがやたらとカッコいい「Kiimanさん」。関西に住んでいた時、箕面のアートフェスで出逢った。その時は「乞食ガールズさん」や「Apsuさん」「レコード曲げ屋さん」という、強烈なメンバーが集結し、古家をアートまみれにしていた。他と一線を画すクオリティに圧倒され、話しかけたのがキッカケ。何だかんだ東京に来ても仲良くさせてもらっている。ストレートにクレイジーな感じが、本当にいつもカッコいい。
※正面の写真はなかったけど、ベッピンさん!


そんな素敵な人たちが絡んでいるから、イベントは間違いなく面白い。

 ちなみに行けてない「ダークナイト」に参加していたお坊さんの「海野峻宏さん」も繋がっている。世の中は本当に狭い。

以上、簡潔に書くつもりが、盛り盛りになってしまった。



近所の方がフラッと遊びに来ていたり、子どもが遊んでいたり、ひたすらに温かい空間が広がり、素敵なイベントだった。

「踊る銭湯」に、
「これから生まれる文化」、そして「新しいエンターテインメントの姿」を見た気がする。

何より、こんなに「素敵な大人たち」がいることに「希望」を貰えた、そんなイベント。

"楽しい"をつくっていきます。