ぼくものがたり（戦後80年にむけて）㉛戦　争（最後に）

《　戦　争　》

　戦争をやめずに強行した東条秀樹は、Ａ級戦犯として一番はじめに死刑になった。杉七に来て、小学生にも「戦争のため頑張れ！」と言っていた、土肥原陸軍大佐も死刑になった。軍隊を指揮していた一番上はアメリカの裁判でみんな死刑になった。早く降参すれば良いものを降参させなかった。
 
　戦争なんてするもんじゃない。負けたら終わり、すべて終わり。日本人はそれを身に染みて解ってる。けれど戦争を知らないヤツがまた戦争を始める。僕みたいに戦争を少しでも味わった人は戦争はやっちゃいけないと解っている。いつかはやられて自分がひどい目に遭うんだから。原爆を落とされたのは日本だけ。それも日本がどんどん仕掛けていっちゃったから、いつまでも降参しないもんだからアメリカもしょうがないって、原爆を落とした。
　それでもまだ戦争をやめたがらない軍人がいたんだからね。
 
　日本の死者は軍隊が殺したようなもんだと思う。日本軍が優勢だってウソついて。無理に戦争続けて。そう思うと僕はすごくムカつく。
　それと同時に心配にもなる。戦争が終わって80年たって、戦争の恐ろしさを知ってる人が少なくなってくると危険だ。色々と立場が上がってくると、えらくなったような顔をする人が出てくる。日本人はその気質を少なからず持ってるから。軍隊を見てきて僕はそう思うんだ。
 
　日本兵も外国で酷いことをやったんだ。古い兵隊が、新兵って新しい兵隊が入ってくると「おい、度胸試しだ。あそこ行って首切ってこい」って。それで本当に切ってきたら「ああ、よくやった。それでこそ一人前の兵隊、日本兵だ」って。向こうにとったら酷いことだよ。「首切ってこい」なんて。　　
　大人たちがそんな話をしているのをよく耳にした。
 
　気をつけるべきは僕たち日本人。戦後80年でみんな戦争を忘れて、バカが集まると何をするかわからない。戦争は本当に恐ろしい。カッコいいところなんて一つもない。集団で間違ったことしてるだけ。哀れで惨めで悲惨なだけなんだ。それを知っている人がいなくなると危険。
 
　絶対に戦争はしちゃいけない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり

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