【会計】経理はなぜ自由なのか
前回、経理が自由であることを取り上げました。
企業と言っても、さまざまな業種があります。
同じ業種でも、さまざまな規模があります。
同じ会計方針が全ての企業に適合するとは限りません。
棚卸資産の評価方法を例にします。
棚卸資産というのは在庫のことです。
在庫の金額の算定方法ということです。
在庫の商品も、いつ購入したのか、どれくらいの数量を購入したのかによって、その単価は異なります。
こういった場合にどのような金額とするのかという計算の方法が何通りかあるわけです。
不動産業を事業とする企業があったとして、在庫には転売するための土地があるとしましょう。
1番地、2番地、3番地を在庫に持っています。
2番地が売れたとします。
先入先出法を用いる場合、2番地が売れたとしても、先に購入した1番地を売ったものとして計算しなければなりません。
しかし、土地という世界で一つしかない在庫をそのように算定するのは不合理です。
個別法と言って、2番地を売ったものとして計算するのが合理的です。
当たり前じゃないか、と思うと思います。
だけれども、先入先出法しか認められていなければ、経理が自由ではなければ、このような不合理なことが起こりうるわけです。
他にも、有形固定資産の減価償却方法というのがあります。
定額法と言って毎期同額を償却して経費化する方法もあれば、
定率法と言って毎期同額ではなく、早期の会計期間に大きな割合の償却をして経費化する方法もあります。
有形固定資産、例えば機械があったとして、その機械はすぐに陳腐化するようなものであったとします。
その場合、毎期同額を償却するよりも、早期の会計期間に大きな割合の償却をする方が、陳腐化が早いことに適合します。
こう言った適合した会計方針を適用して、企業の活動を反映させて業績を適正に評価するというのが合理的です。
そのため、企業にはその企業に適合した会計方針を選択して適用するという自由が認められているわけです。
なお、税法は政策的観点から定められていますので、会計で自由に経理したことがそのまま税法で認められるわけではありません。ここで取り上げたのは税法の話ではなく、純粋に税法は関係ない会計だけの話です。税法と会計は別です。
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。
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