「すごいと思われたい」「相手を唸らせたい」と狙った言葉は、伝わらない。
Twitterで見かけて、Webマーケの参考になるかも?と思って登録したメルマガ。
「わかっている俺すごいだろ」「こういう言葉を使う俺かっこいい」感満載だった。
こういうことはよくある。
自分を賢く見せたい、すごいと思われたい、相手を唸らせたい、という動機で書いた言葉は伝わらない。
少しでも相手にわかりやすく伝えるにはどうすればいいか?
いつだって原点はそこ。
難しいことを、むずかしいまま書くのは、かんたん。
難しいことを、むずかしいコトバのまんましゃべる人を、私はあまり信用しない。
広告業界に20年以上いるので、マーケティング用語は昔から日常の中にあった。若いときは、上司とか取引先の人とかで、アルファベットやカタカナ語を器用に操る人を「カッコいい」と思っていた時もあった。
むずかしいことを、難しいまま伝えるなんて、誰でもできる。
マーケティング用語とか、WEB用語とか、ビジネス用語とか。
セミナーなどで、講師の人が話す言葉が理解できなくて、質問したりなんかすると、「それくらい調べてください」と怒られることがある。
焦っているということは、話している本人がよく理解していないのかもしれない。その場で説明してくれたとしても、話が長く要領を得ず、聞いている方は余計に頭が混乱したりする(結局、本人がわかっていない、ってことがバレてしまう)。
自分のコトバで相手に説明できない用語を、わかったよ―な顔して話すのは、カッコ悪いことかもしれない。
ということで、私は講座やセミナーの中でも、ブログやメルマガの中でも、
「なんだかよくわからんけど、使ったらカッコよさげな言葉」とか、
「自分ではよくわからんけど、○○さんが言っていた用語」とかは絶対使わない。
私がアホだからかもしれないが、難しい用語が出てくると、その言葉の意味自体は知っていても、脳内で、上手く映像に変換できない。映像に変換できない文章やおしゃべりは、頭の中を素通りするだけで、残らない。
だからだろうか、私が話すことも、書くことも、小学生が理解できるような言葉だけだ。
「わかりやすい」と言われるのは、そのせいもあるだろう。
自分を大きく見せたい、すごいと言われたい、が見える文章は、サムい。
専門用語や業界用語が多い文章を読んでいると、「ああ、この人、自分がすごいってことを伝えたいんだな」と感じることがある。
コピーライターをしているとわかる。
キャッチコピーを書く時に、
「この人、面白いこと考えるな」と思われたいとか、
「すごいアイデア出す人だな」と思われたいとか、
そういう邪な気持ちで書いたコピーは、全然面白くない。
広告を見ていても、「これは、コピーライターが、相手を唸らせたいと狙って書いた言葉だな」と透けて見えるものは面白くないのだ。
自分がどう思われるか、ではなく、
「どうすれば、少しでも相手にわかりやすく伝わるか?」
「どういう言葉で伝えれば、少しでも、相手にイメージが伝わるか?」
矢印が「相手」に向かっている言葉は、伝わりやすい。
専門用語を使っていい時もある。
とはいえ、
日本語に翻訳するとニュアンスが伝わらない外国語であったり、その言葉を使った方が伝達速度が速いコトバは、使った方がいいだろう。
たとえ専門用語でも、「相手との共通言語」であれば、問題ない。
あえて共通言語を使うことで、仲間意識を高める策もある。
要は、誰に話すか。誰に向かって書くか。そこが最重要。
「伝える」とは、結局は、思いやり。
わかりやすく伝える、共感されるように書く。
文章や話し方のテクニックは、たくさんある。
でも、結局は、「矢印を相手に向ける」ことだと思う。
自分がどう思われるかではなく、「相手が受け取りやすいよう」に書く。
自分が言いたいことを、「相手が知りたいこと」に変換する。
「こんなことを書いてどう思われるだろう」と
「これで相手はどう感じるだろう」は、似ているようで違う。
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