190円のTシャツの代償

アパレル販売の仕事に限界を感じている理由のひとつは
服飾産業の人権問題に疑念を抱いたからです。

昨今のファッション業界ではサスティナビリティに配慮したという言葉が当たり前に。

一方で
私が今着ている980円のTシャツは遠い国で不当労働により綿花を紡いだ人たちの命の代償といえる。

娘よりも小さな子ども達がその小さな手を血に染め紡いだ綿花は980円のTシャツの原料となり私達の生活を豊かにしている。

この問題を知った後、ファストファッションのワゴンで190円のTシャツを見つけた時は悲しさで胸が押しつぶされそうになりました。

以前は喜んで買っていたくせに。

私はフェミニストでも思想家でもありませんが、服飾業界の末端で働く人間のひとりとしてこの問題を無視する事はできません。

WWDの記事は割愛させて頂きます。

https://t.co/MovJm8Ptnr


ですが人様がそのTシャツを身につけることには全くなんにも思わないんですね。本当にです。

たとえば私は愛犬家なので動物の虐待や投棄は許せないのだけれど、その一方で
ヴィーガンでは無いので流通しているものなら
何肉でも食べる。
それどころかレザーのバッグだって大好きだ。

食べることのみならず、飾ることにまで動物の命を犠牲にしているのが人間。
(最近は副産物の皮革を使用したレザー製品も沢山出ていますが)
世の中はこんなご都合主義なダブルスタンダードで溢れている。

人様がそのTシャツを買ったり着たりすることに対して議論できるほど私は正しい人間ではないんです。 

ところでこういう話をすると産地が明かされた洋服を買いたいと思う人が出て来て当然なのですが残念ながら洋服の縫製国は分かっても糸や生地がどこで作られているかまでは分からないものなんですよね。(全てオープンにしているカンパニーももちろんあるけどほとんどの場合、ブローカーが原料を買い付けているので、洋服を販売している私たちがどこの国で紡いだ綿花を使用しているかなんて知る由もないんです‥)


私はこれまでに何枚服を売っただろうか。
4万枚は売ったと思う。
売ってなかったら逆に悲しいけど。笑


いったい何枚の服を売っただろうな。


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