世界が老化を病気認定し始めた!! ある年齢まで「3つの遺伝子」を働かせて止めると老化が巻き戻る
今回のテーマは、老化と病気の関係。 実は世界的に老化が「病気」と認定され始めているんです! 老化予防をするための食事やコロナウイルス、さらには心の在り方まで、老化と病気を考える今回。 早ければ早いほど、エイジング効果は高まる!早速老化対策をはじめましょう。近畿大学客員教授の山田秀和先生にお話を聞いてまいりました。
WHOが「老化」を「病気」認定しはじめた 発端はロシアの研究チーム
ICD=世界保健機関(WHO)が作成する国際的に統一された基準に基づいた疾病や死因の分類で、疾病や死因の統計などに関する情報の国際的な比較や、医療機関における診療記録の管理などに活用されています。これは1900年ごろからスタートしていて、最新版はICD-11で、2022年1月に発効しました。ICD-11では、ICD-10よりも章が増え、分類項目数も約14,000から約18,000に増加しています。
採択されるために、様々なディスカッションがあります。その中で、ロシアのチームが老化について病気認定するべきだと提案がありました。疾病の定義について6つのレポートを出すこととしました。チームは対応できたものの、膨大な関係各所への承認が時間切れで2018年のWHOの国際会議に間に合わなかったのです。が、「XT9T」(老化関連)というコードだけが認められたのです。それをどう捉えるか・・・正式とならずとも一部として使えることが認められたのです。
死亡診断書を医師が書くのですが、「XT9T」=老化関連疾患で結果として、例えばコロナウイルスで亡くなったとか、事例が増えてくれば、国際的にどういうことが原因だったかのというデータが5年〜10年と蓄積されていくことで、統計として出てくるのですが、これもまた時間がかかることなのです。
老化の原因「9つ」に加えて5つプラスされた ①オートファジー ②スプライシング ③腸内細菌 ④DNAの立体構造に対する影響 ⑤慢性炎症 さらに注目していることとは・・・
2013年、Cellで発表されたヨーロッパの研究者達から、老化の9つの特徴が発表されました。 その特徴とは、「ゲノムの不安定性」「エピジェネティクスの変化」「テロメアの短縮」「ミトコンドリアの機能障害」「栄養感知機構の調節障害」「プロテオスタシスの喪失」「細胞の老化」「幹細胞の枯渇」「細胞間コミュニケーションの変化」などがあります。その後、研究が進み、現在は5つ追加されました。それが「オートファジー(細胞リサイクル)」「スプライシング(メッセンジャーRNAができる調節異常があるかどうか)」「腸内細菌」「DNAの立体構造に対する影響」「慢性炎症」です。
他に、現在注目されているのが、コラーゲンが硬くなってくるという症状があることと、我々は進化の過程で遺伝子の変な断片を抱えているのですが、動き出すことがあり、それがレトロウィルスと呼ばれる生命体なのですが、免疫機能の異常で「レトロトランスポゾン」と呼ばれる現象が動き出すことで老化疾患が起こることがわかってきています。
進化に影響している可能性があるので、必ずしも悪い訳ではなさそうです。
老化をコントロールする素晴らしい方法「リプログラミング」について
ある年齢まで3つの遺伝子を働かせて止めると老化が巻き戻る
ips細胞研究で有名な、山中先生が発見された、山中4ファクターと呼ばれる4つの調整遺伝子を入れて皮膚の線維芽細胞を若返らせたという研究の応用編が現在進行しています。
若返りの研究の分野では、その4つのうち3つの因子を入れる研究があります。ある年齢まで3つの遺伝子を働かせて止めると「老化が巻き戻る」というのです。ただし・・・
養老の滝のお話しはご存知ですか?
ご主人がなかなか帰ってこない中、奥さんが家で待っていると、帰ってきたご主人が若返っていたのです。どうしたのかと聞くと、山の奥の滝に流れる水を飲んだら若返ったというのです。すぐに奥さんはその山奥に水を汲みに行ったのです。ところがぜんぜん奥さんが帰ってこないので、ご主人が滝まで迎えに行きました。すると奥さんは赤ちゃんになっていた・・・というお話し。
なんでも過ぎたるは及ばざるが如し。
昔の、若返りの泉の神話、ある温泉を飲むと・・・どの国でもある話ですよね。これが現実になろうとしています。
他の3つの因子を入れて止めると若返る研究結果
デビット・シンクレア先生の「LIFE SAN」。世界的なベストセラーです。
老化は病気であるという立場を鮮明にしている先生ですが、緑内障は神経細胞がやられて視力が落ちる老化現象なのですが、この細胞に先ほどの3つの遺伝子を入れて止めると視力が戻った研究があります。
また、ベルモンテ先生は、早く歳をとるネズミが若い状態を維持することができるというのをリプログラミングで証明したのですが、それ以外にすごいのが、歳をとったネズミを使ってリプログラミングをして適切な位置で止める=「寸止め」をすると若返るということも証明したのです。
さて、今後は大きな高等動物に使えるかというのがこの先の30年後、2050年の世界では実現できるのではないかと考えられています。
老化の計測について
何を持って若返るというのでしょうか。まずはエンドポイントを探す作業をしないといけません。老化を計測するのです。どこからどこまで戻すのか。統計的に優位差を出さないと認められないので、世界中で研究が進められています。
エイジングケアはいつからが正解?
30歳までが健康がピークと言われていますが、 実際は受精の瞬間から老化を考えていく必要があります
どういう受精環境で子供ができるかまで考えないといけないのが根本です。親が子のことを受精の時から考えなければならないということで、母体がどんな環境で過ごすかが重要とのことです。
え・・・どうしたら?
第二次世界大戦の時に、ドイツがオランダの村を閉鎖しました。その際に1万数千人が不適切な環境下に置かれました。調査が継続しているのですが、すると同民族の周囲の村との差異が出てきました。1代目は、いろいろな疾患や精神的なものまでそのグループから多発しました。妊娠中にひどい環境に置かれたから起こったことが想定されました。2代目は解放されて関係ないように思われましたが、3代目も含めてその差が出ているのです。1回目の環境暴露の変化が3世代にわたっても差異が出ているのです。これまで遺伝はDNAに乗っていると思われていたけれど、細胞の中にあるDNAの化学装飾=エピジェノティクスにも残って、永続的に影響し、次の世代にキャリーしている可能性があるということを心配しているのです。
リプログラミングで元に戻せるという、老化研究も応用できそうです。
リプログラミングは老化をコントロールできる素晴らしい方法ではないでしょうか。
妊娠した女性への配慮と環境、次の世代の子のためにも大切にしてまいりましょう!
それではまた!