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Javaエンジニアライフの分岐点となった”明け方”の出来事

〜 流氷交差点 interview vol.1 〜


みなさんこんにちは鎌田です。流氷交差点 #1 です! (#0はこちら)前回は風穴さんと西原さんの対談でしたが、今回はインタビュアー(聴き手)が西原さんで、インタビュイー(話し手)は、JavaDoを運営している山川さんにご登場いただきました。彼らのプロフィールはこの記事の最後にございます。

山川さんには、北海道にあるJavaのユーザーグループコミュニティについてお話しいただきます。人と直接会うことの大切さ、技術を通し人と出会い、懇親会でその人の”好きなこと”を探り、小さな共感を重ねていく。自然と仲間を増やしていく山川さんの人生の秘訣とは。JavaDoの立ち上げから、オフライン・オンライン両方の勉強会の未来についてまで、語り尽くしていただきました。

語りの全てを文字でご覧になりたい方は文字起こしの全文をどうぞ、音声はこちらをどうぞ。音楽もありリラックスして聞いていただけます。(音声の編集は西原プロによるものです)

それでは、記事のほうも、どうぞ!

春夏秋冬で定期的にイベント開催
初心者向けのハンズオンから、
海外の講師をお招きすることも!


―― 本日は流氷交差点#1 ですね。JavaDo(じゃばどう)のコミュニティの山川先生にお越しいただきました〜。どうぞようこそですね。

お招きいただきありがとうございます。よろしくお願いします。

―― よろしくお願いします。そもそもJavaDoとはどんなイベントなのか、概略を教えてもらっていいですか?

JavaDo は、実はJavaのユーザーグループの一つなんですよね。Javaって地域のコミュニティが世界中に点在してて。で、日本もいくつかあり、それの北海道版として活動しています。春夏秋冬の季節ごとに一回ぐらい勉強会しようと。

―― 春夏秋冬で一回ずつなんかするっていうのは、固く決めてるんですか?

「やったことにしましょう」ということにすることもあります(笑)

―― (笑)やっているんだ。自分たちの主催イベントだけじゃなくて、どこかのイベントでブース出すとかも、含まれているんですか?

そうですね、一番お世話になっているのは、オープンソースカンファレンス(以降、OSC)ですね。そこで自分たちの興味あることを、ハンズオンをしてみたり。あとは発表ベースの勉強会など。プロフェッショナル的な内容よりも入門編を扱うことが多くて。そうすると土日の午後使ってがっつりやることが多いです。あと、関東や海外からエンジニアの方が北海道に来て、話をしてくれることもあり、その方のご都合次第で平日にやることもあります。

―― なるほど。海外の方って頻繁にありましたか。

海外の方は今まで、3,4回ぐらいありました。日本Javaユーザーグループ本体のほうが、海外とのつなぎを積極的にやっており、その中で、年に1回ぐらい(※1)は地方のほうも回ってくださっています。まぁこの社会情勢になる前の話ですけれども。

※1 日本オラクル株式会社がスポンサーとなり、日本Javaユーザグループと各地のユーザーグループとが連係して行うイベント。とのこと。

やる内容はJavaに限らず!
勉強会テーマはどうやって決める?


―― この状況になる前は来日されて、ということですね。それは素晴らしい。しかし、やる内容はJavaに限らず、別のことやられているそうで。全国版の組織に理解があるということなのでしょうか?

その地域のユーザーグループは、地域で独自運営しています。海外の方がお越しいただく機会などにうまくジョイントしていくという形ですね。

―― 参加される方の属性内訳って、もうちょっと詳しく聞いていいですか?

そうですね、どちらかというとハンズオン形式みたいなもので、しっかり最近のフレームワーク使ってみる回の時には、現場で開発されている方やこれからその技術を使うんですというエンジニアの方も来るし、将来情報系を目指してて、面白そうなんで来ましたという学生や、学校の先生に紹介されてきましたという学生さんなど、参加される方の層は幅広いです。

―― JavaDoは札幌近郊で開催することが基本なんですか?

JavaDo の Do は、北海 ”道” 近郊なので、北海道全域が対象です。札幌以外でやれる機会が大雨の災害で流れてしまったこともあり。一回やったことあるのは、旭川の工業高校の生徒さんが、一緒に勉強会やりませんかという話をいただいて、「それは行きます、行きます!」みたいな感じで(笑)みんなでLINEのBot作りましたね。

―― その時に僕行ってるよな・・・。

学生から「勉強会しませんか?」
と相談されれば、 即答で「行きます!」
ってノリで回答!そして実行!


はい。お越しいただいていますね。(笑)

―― 2017年の秋でしたよね。旭川工業の実習室で開催されるというので、富良野からの学生連れて僕は行ってましたね。あれはOSCがきっかけだったんですね。

そうです、OSCの展示で、いろいろお話して交流している間にそんな話にひょんとなって。特に検討しますとも言わず「じゃ、行きます」となって。「では日程入れてください」って感じのノリでトントン拍子で進めました。

―― そう考えると年4回やることもそうだけど、出会いの場でもある展示も、大事なポイントですね。コミュニケーションとる機会として。

そうですね、特にコミュニティ同士のコラボというのはまさにそうですよね。その後も富良野のイベントがあるというので、「行くかな〜」って言ったんですよ確か。(笑)

―― なるほど。そういうことか。JavaDoの活動領域からちょっと他の人の活動領域に入っていく、ということですよね。

そうですね、もともとそういうところのモチベーションを大事にしています。JavaDo運営の進め方で、始めて半年ぐらい経った時に、自分たちで勉強会企画して何回かやろうとしてたんですけど、かなり内容がマンネリ化し始めちゃって。このままそのさっき言っていた季節ごとに1回、というのはどんどん先細っちゃうなぁと、最初の1年目で感じて。

Javaに限らなければ
アイデアは枯渇しない


自分たちの引き出しが少なかったですし、来てる人たちの声も聴きたい。他の勉強会のいいところもどんどん取り入れたいし。スタッフも身内だけでした。私は大学の人間なので、学生と卒業生が初期メンバーなんですよね。それだと辛いので、懇親会で参加者に声かけると、意外と「一緒にやりましょうか?」と言ってくださる方がいて、その方たちと今のJavaDoは作られてるんです。今のスタッフには、普段Javaを使ってない人もいるんですよ。

―― なるほど。(笑)

そんな中で「この技術が最近が熱いらしい」、「こういう手法が大事だよね」とか。他にも悩みがあったら聞きたい。そんなことをざっくばらんに話し合って今のJavaDoって内容を決めているんですよね。いろんな人がジョイントしてやりたいことを話して進めていけるようになってから、JavaDoはマンネリから無縁の存在となりました。

―― そうか。もし懇親会で声掛けしてなかったら。マンネリから脱却不能で終了してたかもしれないということですよね。

その可能性はすごく高いと思いますね。

―― 基本的にはスタッフ増やすというのは、懇親会まで来てくれた人とそういう話をする感じなんですか?

スタッフとのコネクトは
「価値観の共有」から


一応勉強会の頭で、自己紹介タイムがあり、そこで「スタッフ募集しています」と言います。勉強会終わった懇親会ですね。懇親会はどちらかというと、その日の総まとめもそうですけど、価値観の共有みたいのができるじゃないですか。コミュニティの運営は基本ボランティアベースで、自分たちが何か持ち出さないといけないこともありますよね。苦労が多い。だからこそ、技術もそうだけどコミュニティ通じていろんなことをやってきましょうって、自然と同じ方向に結びつけるか、じっくり話するのです。

―― 確かに。これだけやってくださればいいですからということじゃないですからね。感覚がある程度一致していないと、一緒に長くやるのは難しいかもしれない。

むしろ、スタッフになってくださると、一緒に考えることができますよ、とお話しします。日頃いろんなところでカバーしてくださるかわりに、じゃぁこれをやっていきましょうと。言語化して一緒に駆動していくと、より価値観が共有できるんですね。

―― なるほど。どんなテーマを考えることが多いですかね?

たとえば、スタッフだけで飲み会をするんですね。(今はオンライン)その中で、テーマ決めたいと思うんですけど、最近何か気になるざっくりしたところから切り込んでいって、「実は最近プロジェクトマネジメントで悩んでいる」とか。「Javaがそろそろ最新版になるけど、手元のバージョン何でお持ちです?」などの他愛もない話で、それにちょっと最近のJavaの流れだがちょっとあるぐらいで、「今回、久々にJavaで行きましょー」とか。・・・久々って言っちゃいけないか。(笑)

―― 確かにこれ、こないだ 吉祥寺.pm に行ったんですけど、pmってPerlですが(※2)あの、今回はPerlの発表があるらしいと。つまり普段はないってことだ(笑)みたいな。それと Toyama.rb に行った時も、Ruby触ったことがなくてもいいですみたいな。もくもく会じゃないのに、Ruby触ったことがない人が半数ぐらいいる。それでも大丈夫な空間になってて。

※2 Perl Mongers <https://ja.wikipedia.org/wiki/Perl_Mongers>

そうですね、そういった意味ではやはりJavaって名前で、Javaの人たちかなと思われちゃう部分があるんで、そういう時は研究会のテーマを「Javaを使っている人に聞いてほしい○○」に変えます。そうすると違う分野の人も入ってきてもらえます。

―― なるほど!  はいはい。

そういった意味では、さっき西原先生がおっしゃったとおり、Javaというテーマで集まったかもしれないけど、Java以外のことだって普段からやっているだろうし。エンジニアはJava一本で何かしているわけではなくて、様々な興味を持って活動し得たものを仕事の中で活かしたりしているわけですよね。Javaだけに絞ると、むしろ不自然な気がしていてて。前にJava触ったことある人が今、新しい技術をどう捉えているのかに興味がある。もちろんJavaユーザーグループだし、軸として大事にしているんですけど、それだけにならないように工夫していています。

―― 先生が勉強会に入られたというのが、2008年が初なんですか?

そうです、僕が勉強会に入り始めたのが2008年ですねぇ。当時、仕事としては一人情シスやっていて。所謂なんでも屋さん状態だったんです。どうしても新しい技術入れないとちょっと回らんぞ! という状態になり、それがきっかけで関東のJavaの勉強会に行ったんですよね。それまで勉強会って企業がやっているセミナーやワークショップの有料をイメージしていたんですけれども全く違う。懇親会になると、みんないろんな技術セットを持っている人たちが楽しそうに幅広い話をしていて、新鮮だったんですよね。普段からJavaやっている人たちではなくて、「君の会社どうなの?」と聞くと「PHPの案件で〜」って。Javaの勉強会なのにPHPの人居るんだぁ! ってなる(笑)。

明け方まで語りつくすぐらい面白かった!
その感動が今のコミュニティ活動を
動かすコアとなっている。


私も初めて行った土地で、初めて会う方と明け方まで一緒にいさせてもらって。技術的に勉強したかったことは、もちろん十二分にできて。
かつ、こんなすごい仕組みが世の中にはあるんだということを知って。そもそも北海道にもコミュニティがあるんだって、それまで知らなかったんですよ(笑)。そこからどんどこ参加し始めていきました
2015年頃に今の教職になって。自分の裁量でいろいろできるようになってきたんで、地域で場を展開していきたいと動き始めたんですよね。勉強会とその懇親会で、自分のエンジニアライフがかなりよくなったので、やっぱりそこは恩返ししていこうと。

―― 勉強会の為に北海道から関東へ行ったんですね?

そうです。たったその一晩で・・・あそこは人生の分岐点だったなと思って。技術は技術書を読んで勉強するものだと思っていました。技術的にうまくいかなくて納期が迫って藻掻いてた時、きっとここに行けば自分の困っていることが、解決できそうだ直感したんです。上司に「(出張で)行って学んできたいです!」と申請をだして、OKもらって・・・。そして行って帰ってきたら、自分の見える世界まで変わったぜ!! みたいな(笑)

―― 勉強会のその後、もし時間がなくて懇親会へ行かなかったらそこまでなっていたかどうかって・・・。

勉強会で技術的なことは解決できていたんですけど、今みたいなことは絶対していないでしょうね。

ゼロベースで自分なりに
勉強会を作ってみようと思った
自由気ままにやっちゃうんで。


そもそもJavaDoをやろうとしたのは、地域の勉強会があるんだぜというのをそこで学んだし、北海道にもあったんですけどいろいろあって存続しなくなっていて。そこで転機もあったので、その主催の方にメールを送り、

「ちょっと引き継いていいですか」と質問したら、

「好きにやっていいよ」って言ってくださったんで、

「じゃあ好きにやります、やり方変えます、名前も変えます」と。

―― そのレベルで変える(笑)

僕自身がやりたい時にけっこう自由気ままにやっちゃうんで(笑)、ゼロベースで自分なりに作ってみようかなと。それが2015年の8月ですかねぇ。

―― 全部で今までって何回ぐらいやっているんですか?

特別の海外の方お呼びした普段とは別のイベントも数えると、もう29、30回目ぐらいになりますかね。

―― けっこう・・・じゃ合計で30回ぐらいと。30回だと6年間で年4回だとそうか、それは目標超えられてるということですね。

ぎりぎり(笑)。

―― 外のコミュニティに参加する機会は、多くないんですか?

オンラインでできるけど
オフラインでもやりたい


そうですね、今のほうが(オンラインで)やりやすいところがあるかもしれないですよね。

―― オンラインになって?

そうそう。オフラインだと、その地域で会場作らないとできないじゃないですか。そんな簡単ではない。帯広がたまたまうまくいきそうだったんですけど、災害で話が流れてしまいました。そこから旭川はほんとにうまくいって。また同じようなことやりたいな! しかしまだ、(北海道の札幌以外の地域で)現地で手をつないでくれるコミュニティと出会えていないですねぇ。

―― 道内の釧路だったり北見だったりのコミュニティが希薄?

そうですね。

―― そこが上手につながってくるとわからない。

わからないというか、行きますっていうことで(笑)このラジオもし聞かれている方、北海道の各地域の方ちょっと一緒にやりませんかね? 私、行きますんで。

―― じゃぁちょっと今すぐ Twitter に連絡してください! (笑)

ぜひぜひ。そういった意味でもJavaじゃなくても全然いいです。もちろん「Javaでなんか作ってみたいです」でも良いので連絡ください。

勉強会のPC環境はどうつくる?


―― ちなみに旭川のときってLINEBotの制作ですよね? たしか山川さん、パソコンを持ってこられていた記憶があるんですけど。そもそも環境を整えてやるハンズオンというのは、オンラインだとどうなのでしょうというのと、モブプログラミングもできる環境も整えてるとお聞きしたんですけど、どんな工夫をされているんですか?

そうですね、一応そのノートパソコンを用意した時はけっこう苦労して掻き集めて(笑)なんとかしました。最近は自分たちがマシンを持ち出すというみたいなことはあまりなくて、たとえばモブプログラミングの時も、「この環境を揃えてください」って事前にお願いをして。そうするとこう、環境揃えられた人がいたら、今日は「モブ(※3)なんで、今日一日タイピストで使わせてね」と依頼ができる。
オンラインの時はチャレンジだったので、AWSのワークスペースで2、3台、用意して。もうその日だけインスタンス上げて、終わったら落とす。仮想PCにみんなでアクセスしてやりましたね。

※3 モブプログラミングの略。モブプログラミングとは、三人以上でグループを組み、同じ場所・同じ機材で同じプログラミングを行うチームワーク手法
https://speakerdeck.com/gishi_yama/javado-number-14

―― オンラインだと手ほどきも上手にできないから、なかなか難しいですよね。

そう。オンラインだと、なんか起こった時にすぐ見て回れません。オンラインだったらオンラインの良さを活かして環境を作る方向がいいかなと。最近だとコラボレーション開発できる、Microsoft Visual Studioもそうですし、JavaだとIntelliJ IDEAもそう。次はそういったものも使ってみると良いですね。事前準備ができるという目論見はあるんですけれども。

―― 以外とオンラインよりオフラインのほうがトラブル少なく終えられるんですかね?

そうです。最近はWebコンパイラみたいなのもあるし、ステップアップ用のコンテンツも公開されているので、うまくそういったサービスも使いながらやります。専用の環境が必要じゃない時は、ブラウザベースでどこまでいけるかみたいなところで、整えちゃいます。

―― 実際にはやられたんですか、オンラインモブプロみたいなのは。

モブプログラミングの提案は
プロジェクターのある居酒屋で!


はい。オンラインモブはやりたかったんです。まずは自分の仕事の現場で試したら、開発の流れがいい風に変わったんです。なので勉強会でやったら面白いと思い、スタッフ懇親会で提案しました。そこで初めてオンラインモブの環境作って・・・。
あ、そうだ話が前後しました。ごめんなさい、もともとプロジェクターを使える居酒屋というのがありまして・・・

―― プロジェクターを使える居酒屋!?(笑)

懇親会で説明する際にそこで(即興)モブプログラミングをしました。これを次回やりたいんですけどどうですか? と提案しました。オフラインのそっちが先でしたね。オンラインの時も「モブやってみたいっすわー」って言って。環境用意し、Zoomで繋いでやりました。その時はKotlinでした。Kotlinの初心者向けのものをWebでやるんですが、Kotlin使ったことある方1人だけで、他の参加者全員使ったことないという(笑)。

―― プロジェクターが使える居酒屋という・・・そんなんどこにあるの、札幌ですか?

札幌ですね。狸小路よりちょっと大通側ぐらいのところに。

―― へぇぇ! オンラインで岡山の勉強会に去年出たんですよね。その時に、映画館を居抜きで入った居酒屋があってね、段々になっているのね座席が。前面には、まさに映画館のスクリーンがあって、そこでLTができる
札幌もプロジェクター使えるんなら・・・

けっこうこじんまりしたところですけどね。もともとの用途は結婚式の二次会で利用されているんだと思います。

―― 写真のスライドショーか・・・あぁなるほどね。

予約サイトのプロジェクター利用プランというのがあるので、そこをチェックすれば出てくる。「何に使いますか?」っていう項目に「プログラムの勉強会」と入力して(笑)。

―― オンラインで、モブプロができることで、距離が縮まりますね。しかし懇親会ができないことは解決しないですか?

解決しないですね〜。オンラインで打ち合わせもちゃんとできるんですけど、じゃぁ新しいスタッフの方が増えたかというと、それこそ増えてないし。

―― なるほど

オフラインでは、物理的に距離が近いからこそ
人の ”好きなもの” を見ることと、見えにくい
イベントの ”幕間(まくあい)” の役割のこと


価値観合わせるときって、その人の ”好きなもの” を見ていきたいというか。そういったところから話をしていきたいんです。たとえば美味しい料理の話。それだけで”トークテーマ”じゃないですか。僕、日本酒好きで〜と繋げる。そういった盛り上がりがない・・・

―― 共通の話題が新しく作られていかないということですね。元々知っている仲だったら、知っている情報でやりとりできたりするかもだけど、ひっかかりポイントがないからか。

場の共有ですよね。記憶に残る懇親会は全部オフラインでやった時ですよね。オンラインで突破できるならそれでよいのだけど。オンラインで良かったなと思うのは、お仕事の関係で大阪に引っ越された方がいるんですけど、その方が参加できたこと。だけど、いつも話するのはお互いにお酒に合うつまみや刺身の話で、どっちがうまいかを張り合ってるんです。結局、両方美味しい! 幸せ! になっているんですけど(笑)。
技術の勉強会ですけど、その合間の幕間(まくあい)がない気がするんですよね。「さっきちょっと話そうとしたんだけど、最近この仕事でこの技術を使っているんだけど」といった、何気ない話が出てこないですね。

―― (話を)ひっぱり出せないのか。確かになぁ。ご飯たべるポイントって絶対的に正しいことってないじゃない。味とか100%みんなが美味しいというのはなくて・・・プログラムの話となると、「それはレガシーだ!(激おこぷんぷん)」という話になって(笑)。食事には、そういうところに助けてもらっていたのかな・・・。

技術もそうかもしれないけど、いろいろなものを総合して人と人がつながって、そこからコミュニティとして生まれたりしているというか。それをどれだけ接着剤的なものが懇親会で補われていたか。自分たちの懇親会だけじゃなくて、他のコミュニティでの懇親会でも発展しますからね。

―― 次の勉強会の企画話がどこで生まれたっていいわけだ

気の狂う熱量で飛行機に乗る
その背中を押したのは


そうそう。人と人がいろんなところをこうぐるーっと周回して、またぱっと出会って、また新しいものに出くわしていくという。そういった流れが自然と懇親会でできていたというか。オンラインだとなかなかそういう形って生まれ難いですよね。単発的というか。

―― 思い出すと・・・気の狂うような熱量がそこで発生するわけじゃないですか。だから我々だって、岩手に行っている(※4) わけですよね?

※4 お二人がIoTLT盛岡へ参加した時のお話。学生(@T_taisyou)主催の勉強会初回が参加者が0人だった。なんとかしないといけないと大人たちはまわりの人を募り、西原さん、山川さんも北は北海道、南は東京から参加しよう! 括りは北日本だ! と周りを説得して岩手へ。最終的に20名の参加となった。
 <IoT縛りの勉強会!IoTLT北日本!(盛岡開催) - connpass

そうですね(笑)

―― 東京から北海道から岩手に行って、IoTLTかあれは。一緒に岩手に行きましょうと。東京と北海道から一緒に行きましょうと。おぉ、これは北日本になります!って(笑)。そこまでのよくわからない行動力を発揮するというのが、オンラインでは想像できないですね。

けっこうあれって一大イベントでしたよね。今、岩手の件を説明せずにこのまま入っちゃったけど(笑)(上記、※4をお読みください)人が集まらなくて困っていますっていう勉強会が。あれって行くこと自体にエネルギーいるし、それ以上のものを皆作って帰ってきたわけじゃないですか。オンラインだとURLでアクセスするだけ。「あれはすごかったね」って話にはならないし。
例えば札幌だとゆるWeb勉強会というのがありまして、初心者大歓迎ですごい懐が広い。そこの主催の木原さんとは、そもそもJavaDoのスタッフではないけれど、今年も一つ大きなイベントできるといいですね、と目下話をしているところなんです。

―― オフラインの時から、絡みがあったということですね。

そうですね。オフラインの時にお邪魔していたところに、今お邪魔できていないというのがむしろあるかもしれない。例えば、自分だとAzure系のコミュニティとか。それこそさっきのプロジェクターが使えるっていうのは、そこのコミュニティから教えてもらって(笑)

―― そうなんだ。

地方参加の垣根がなくなったけど
オンラインが続けば
地元でイベント立ててやることの
本来の大切さが薄まる


そういった意味ではオンラインになった時に、オンラインになるから逆に参加できる勉強会が増えるじゃないですか。でも自分の身体が一つだから(笑)できるだけその地域の勉強会に主体的に参加できていたのが、むしろ地元の勉強会との接続がゆるくなっているというか、・・・参加できていないですね。

―― 垣根がなくなったことによって、むしろ疎遠になった。

そうそう。薄まっちゃった感じ・・・勉強会に参加することで得られるものもしっかりあるんですけれども。そういった意味では、私自身オンラインになる前とオンラインが主流になった後では、違うスタンスで勉強会参加しちゃっているところがあるかなぁ。

―― なるほど、ちょっとね、地元が近いところだったら主催寄りの気持ちで見たりとかできていましたけど、オンラインだったら動画を見るような感じになりがちですよね。

そう、技術知識を得にいくだけになっちゃう。そこでの新しい人間関係の構築がしにくい。オンラインになってから、オンライン上で初めて会った人と次につながる話は一回もでてこないですからね。オフラインの頃はそういうことが頻繁にできていた。でも今はないです・・・ねぇ(寂)。


―― ちょっとなんの根拠もない持論があるんですけど、ちょっと言っていいですか?

はいどうぞ。

―― あのね、オンラインだと判断力が落ちてないんだと思うんですよ。懇親会とかで半分眠くなっているところに投げ込まれている人っていません?
 明らかに朦朧としているところから、新しいアイデアやイベントが湧き出るっていうのは数しれずで。オンライン参加の時って気持ちが入り込みきれていないから。判断力が保ったままでいるんですよね。
現地で会うには、この長い距離を移動してきて、時間を割いて、歩いて、懇親会会場までも歩いて、よし! という。あの判断力がどんどん落ちていく、下り坂を行ってないというのがあるのかなと。

オフラインの時に新しく繋がった人たちって、懇親会で突拍子のない話をしたこととかが確かにある。突然、「山川さんのこれについての考えを聞きたいんです」っという話を突然されて(笑)一体なんだろって、最初は身構えましたけど。技術の継承や大切にしたいことの話とかで盛り上がる。え、じゃあこんどそういうネタもやりたいですよね、って展開になる。勉強の技術的な話をするだけだと、そこまで行かない。いろんなことを含めて話をするから、より強いつながりができるし、それって逆に言うと打算なく自分を出していくのって、お酒だけがすべてではないですけど、自分の満足感高い。おいしい料理なり、お酒なり、今日は話してて面白いな、となれば心の扉が開いて、さらに深い話ができるようになる。そういう場がオンラインだとどう作れるのか。

―― そうか、それ考えたら地域でくくられているのもそうですね、狸小路の話もそう。札幌近辺がわかるからできる。そういうのが助けになっているんですね。

先細りしていく危機感は常に持つべき?
オフラインでやったものを
オンラインで流していく、
そんな流れができたら素敵だ


オンラインになっていろんなところに参加できるけど、でも個別の動きになってきちゃっている。

―― 確かに昔からそういうのに参加されないで粛々とやられている方ってどの地域にもいたんだけど、今までコミュニティの中にいた人も「コンテンツが得られるからもういいです」っていう人もいてもおかしくないですよね。今までそれしか選択肢がなかった人はある種脱却できているということなんだけど、寂しい人は寂しいよねという。

そう、オンラインのいいところもあるんでね、オンライン自体がなくなっちゃうということはない。でも、だからこそ地域でオフラインでやるっていうのが、ほしい。そこから新しいものを生んで、オンラインでまた流していくというそういう流れができたら素敵だなって思いますけどねえ。

―― そうですね。

地域で価値観を共有して、殻が割れるときに、価値観の輸出入みたいなこともできていて。今はオンラインでどこでも飛んでいけるんだけど、価値観は持っていっていない。価値観を育んでもいないという。
今西原先生と話していて腑に落ちたのは、僕自身が地元のエンジニアの方にスタッフとして入ってもらう前、JavaDoのマンネリ感をなんとかしたいって思っていた気持ちと似てて。
勉強会全体のこの参加の方法だとかが、きっとどこかで先細りになっていっちゃうっていう不安感が復活してきちゃっているんですよね、きっとね

おわりに


対談した人:

山川 広人(やまかわ ひろと)ひとり情シスを経て、2013年より現職となる公立千歳科学技術大学の教員として教育支援システムや地元のバスロケーションシステムの開発運用に従事。Java Do、IoTLT札幌、ちとせプログラミング教室などのITコミュニティを主催。現在は子どもから大人までのプログラミング教育に力をいれている。日本酒が大好き。

西原翔太(にしはら しょうた)2010年頃より北海道(旭川,北見,富良野)で中高生の学生を中心としたITコミュニティ活動を展開。2019年に東京都小平市へ移り同様の活動を展開。2020年5月サイボウズ株式会社に入社、コネクト支援チームにて、地方ITコミュニティ活性化につながる活動を模索中。元工業高校教諭。

あとがき:

プロジェクターのある居酒屋って自分はよく知ってる・・・って思ったんですけど、そうかこれはイベントを主催したり勉強会で会場探ししていた経験があるからか。と。でもそんな私でも映画館で料理運んでもらえるLT大会は経験したことないぞ。羨ましい限りだ。
勉強会で人生が変わるって、すごくわかります。自分も確かそうだった気がする。勉強会ブームのあった頃、OSCに出入りしていたころからかな。技術ネタでそこまで盛り上がるもんなのか、というとても客観的に見ていた自分もいるけど、なんだろ・・・その技術誰得、いやかなりお得。いや使わんだろっ、とか方々からツッコミが入ったりする自由な感じ。わからないけど楽しい、わかるから楽しい、わかっててもわかってなくても楽しい、楽しいから勉強するんだという、確かに気の狂ったというか(笑)なんかそんな雰囲気があった気がするなぁ。下り坂だったのかなぁ。ビールドリブン🍺、みたいな考えと似ているようで違う。とにかく学びは独学でできても、勉強やイベントは一人では楽しくない。いや、一人だと楽しさをキープできないと言ったほうが正しいかな。ただ参加するよりも運営することや、人と出会って繋がりそれで広がっていくことってほんとあると思います。企業が利益目的でやるセミナーと違うのは、提供側とお金払う側とくっきり分かれていないことなんですよね。コードをみんなで書き上げる共同作業と似ているというか、このカルチャーはFSF伽藍とバザールな精神からくるのかもしれない。それで、私、この記事をつくるにあたって、「モブプログラミング」なるものを初めて知りました。コードレビューとはちょっと違うんですよね、作るんですよね集まったその時間にみんなで。初心者向けな会があったら一度参加してみたいなって思いました。あ、山川さん読んでくれていますかね(笑)。私も日本酒スキなので。とくに大吟醸🍶。こういうノリなのかなぁ〜。オフラインで是非お会いしたいと思いました。

あ、そうそう。
JavaDo は 6/26(土) 開催のOSC2021で、「みんなで開発環境をオススメしあおう! LT&座談会  」をやるそうです。みなさんこちらも要チェックです。
ではまた!

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このイラストと記事を書いた人:鎌田広子(@kamapu
この記事を、以下のライセンスで提供します
:CC BY-SA
これ以外のライセンスをご希望の場合は、DMにてお問い合わせください。
または、
サイボウズ株式会社 開発本部 コネクト支援チーム (西原・風穴) まで。
問い合わせ先:<insideout{at}cybozu.co.jp>

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