コロナ禍採用;3月の失業率と有効求人倍率から推測する、今後の採用方針のあり方

3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.39倍で、前月を0.06ポイント下回ってはいるものの、1.3倍台は2016年ごろと同水準である。
4月7日に緊急事態宣言が出されたこともあり、次の4月の結果は、有効求人倍率は下がり、完全失業率は上がるという予測は難しくない。

企業の採用担当者にとっては、人材が流出してくるため、採用は容易になることは間違いないでしょう。しかし、そこまで楽観視はできないのではないかと注意を促したい。

なぜなら、まだ採用有利というほどの人材流出が起こっているわけではないからだ。

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※労働政策研究・研修機構(JILPT)「最近の統計調査結果から」2020年4月

リーマンショック時ほど採用は容易にならない。

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※労働政策研究・研修機構(JILPT)「最近の統計調査結果から」2009年8月

2008年のリーマンショック発生当時、有効求人倍率は、そもそも1倍を割っており、そこから景気後退の影響で、2013年10月に1倍へと回復するまでの約5年間は、採用側に圧倒的有利な市場が続きました(逆にいうとこの頃の就職・転職活動は苦労したでしょう)。

今回のコロナショックによる影響は、この3月時点では、採用側に有利となるとまでは、言い切れないでしょう。
むしろ、超人手不足だった人材市場が、若干緩和されたぐらいではないかと推測します。

人材の流出の仕方が違う

今回の特徴は、コロナに大打撃を受けた、旅行業界や飲食、アパレル、百貨店などの特定の業界から極端に人材が流出していることが予想されます。

心苦しいですが、この人材は、逆にコロナ特需となっている業界に吸収されていくでしょう。失業してしまった方達にとっては、いまであれば、リーマンショックの時よりは新たな仕事を見つけやすい状況だと思います(だから、積極的に職探しを。絶望しなくて大丈夫)。

このように、特定の業種から特定の業種へと人材が移っていくことでしょう。優秀な人材が、この時期にコロナ特需業界へと移ることで、その業界は中長期的な成長を見込めます、多少無理してでも優秀な人材は確保しておくことをお勧めしたい。

国内にいる優秀な外国人の獲得チャンス

このコロナの影響で一番職を失うリスクのある人材は、外国人の方達だ。旅行業界・宿泊業界などのインバウンド産業に従事している割合が多いだけでなく、このような不測の事態には、雇い止めできるような雇用契約になっていた人材が多い。すでに、私のところにも相談が押し寄せており、「えっ、あなたが??」というような優秀な人材が職を失いそうになっている。

さらに、外国人は、職を失う=祖国に帰るという在留資格的に選択を余儀なくされてしまうため、転職活動も短期決戦で決めたい動機がある。

6月までに採用フル回転の準備を

中国、一部東南アジアの貿易は早くも回復しつつあり、休業要請は5月にはほぼ解除されるというシナリオを描くとすると、国内の人材流出は5月でいったん止まるでしょう。コロナの影響で流出した人材の確保は、6月には獲得してしまいたい。6月には、新卒の選考も始まりますしね。

「おっと、コロナがひと段落したら、急に忙しいぞ!」ということになるかもしれません。少なくとも、この5月には、中途採用も求人公開から書類選考ぐらいまでは進めておかないと出遅れになるかもです(採用チャンスを失うダメージは大きい)

人材紹介会社は、とにかくCAがんばり時。

人材紹介会社は、いまは、人材の獲得を集中的行うことが命題です。きついけど、頑張って今月、来月は面談をしまくり人材確保に専念し、6月以降の転職シーズンには、圧倒的な引当数を獲得しましょう。

これは、日本国内に限ったわけではありません。海外でも同じようなことが起こっていますので、海外人材獲得を行うための新規事業を始めるのも絶好のタイミングだと言えます。

コロナ第2波までは、景気を後退させてはいけない。

これから、いったん秋まではコロナは落ち着くと報道で言われてますよね。なので、いまのショックを経済の面で乗り越えるには、とにかく失業者を増やしてはいけないのです。アメリカのような失業者を叩き出してはいけないのです。残念ながら業界によっては、解雇が必要であったり、閉店や倒産という企業も出てきてます。それは経済の常です。

しかし、この時に出る失業者を速やかに雇用できる企業が雇用する、その支援を人材会社が担うことによって、日本全体での雇用を守る、失業者を出さないようにすることが一番大事。そうすれば、日本の社会構造的な景気の後退(いわゆる慢性的なやつ)は回避できると思います。

そして、それまでに第2波に備えて、自社のビジネス戦略を整えておくことができれば、第2派での影響は最小限に抑えることができるでしょう。

日本の人材資本を守っていくことに協力できることがあれば、どこでも駆けつけたいと思います。




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