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フィードバックの効果を高める受け取り方

こんにちは。辻田(@Hiroki_Tsujita)です!
この記事は、フィードバックの効果を高めるための”受け取り方”についてまとめたものです。

この記事を書こうと思ったきっかけ

フィードバックについて調べているときにふと感じた疑問がきっかけでした。

「フィードバックの”伝え方”の情報は世の中にたくさんあるけど、フィードバックの”受け取り方”の情報ってあまりないかも…??」

フィードバックの効果を高めたい場合、フィードバックの”内容”や、相手への”伝え方”にフォーカスするのが初手だと思います。

でも、どれだけ効果的なフィードバックの内容を考えて、伝えられたとしても、それをどう活かすか(もしくは活かさないか)は受け取る側次第ですよね。
つまり、フィードバックの伝え方と同じくらい、受け取り方も大事だと気付いたのです。

ということで、フィードバックの受け取り方について学んだ内容をまとめました。
特に、以下のような方々を想定して書いています。
・(個人として)フィードバックの大切さは理解していて、今以上に上手く活用したい方
・(人事として)社員同士のフィードバックをより効果的なものにしたい方


おさらい:フィードバックとは?

本題に入る前に、そもそもフィードバックとは何か?について確認していきます。

フィードバックというのは、「相手が気づいていない事実を相手に伝えることで相手の行動を変化させる」という手法です。

『急成長を導くマネージャーの型』(著:長村禎庸)

フィードバックとは端的に言ってしまえば、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」です。

『フィードバック入門』(著:中原淳)

わたしが何度も読み返し、助けてもらっている2冊の本から引用しました。

フィードバックを活用することで、自分ではなかなか気付くことのできない「自身の”のびしろ”」を認識し、成長につなげることが可能です。
よく「ダメ出し」や「否定」と混同されがちですが、フィードバックはそれらとは異なり、成長を目的に行われるものです。

それでは本題へ。
フィードバックの効果を高める受け取り方を3つのSTEP(マインド・スキル・行動)に分けて整理していきます!

「氷山モデル」の考え方で整理します!


STEP1:自分は、自分のことが意外とわからない

まずはマインドから。
フィードバックを受け取るには、「わたしたちは、自分のことを分かっているようで、実は分かっていないらしい」というマインドを持つことが必要です。

「何を言ってるの?自分のことは自分が一番よく分かっているに決まっているじゃないか」と思われそうですが…(わたしもそう思いました)

「ジョハリの窓」という自己分析に使用される心理学モデルがあります。
「自分は分かっていない」けど「他人は分かっている」部分は「盲点の窓」とされていて(下図参照)ここに自分と他人の認識のギャップが存在します。

(出典:カオナビ人事用語集

自分と他人で、なぜ認識にギャップが生まれるのか?
その原因のひとつに、自分と他人の見えている範囲のギャップがあるようです。
下の図は、自分が認識していることと、他人が認識していることをそれぞれ破線で囲んだものです。

出典:『ハーバード あなたを成長させるフィードバックの授業』(著:ダグラス・ストーン、シーラ・ヒーン)

他人が受け取るのは「①自分の思考、感情」や「②自分の意図」ではなく、「③自分の言動」から先なので、①②は推し量ってもらうしかないのです。
簡単な例ですが、自分が「冗談のつもり」で言ったことが、他人には「強い否定」に聞こえてしまうことがあるのは、自分の思考や意図が上手く伝わらないからだというのが上の図から分かります。

このように、自身が表に出していると思っている自分と、他人から見た自分には、常にギャップがあります
ジョハリの窓でいう「盲点」の部分は、内省して見つかるものではないので、周りからフィードバックをもらわないと気付けません。

自分は、自分のことが意外とわからない。
だから自分の見えていない部分に気付くためにも他人からフィードバックをもらう必要がある。
このマインドを持つことが、1つ目のSTEPとなります。

ちなみに、「盲点」に含まれるのは、なにもネガティブなことだけではありません。
自分では気付けていない、思わぬ長所が見つかることもあります。
そう考えると、自分と他人の認識のギャップといっても、身構えすぎることはないと思います。


STEP2:フィードバックの意味を正しく理解する

次に、スキルの部分です。
フィードバックの意味を正しく理解することが大事です。
当たり前のことのようにも見えますが、これがなかなか難しいところでもあります。

フィードバックにおいて、「聞こえたこと」と「相手が意図したこと」には齟齬が生じやすいと言われています。

(例)アパレルの販売の仕事をしている人に対して「もっとアグレッシブになろう」というフィードバックがあった。
受け手は「もっと強引に売り込め」と解釈したものの、出し手は「困ってそうなお客さまには積極的に声かけしよう」という意図だった。

上記の例はかなりシンプルなものですが、実際のフィードバックにおいてもこのように齟齬が生じることがあります。
では、どうすれば齟齬を減らしていけるのでしょうか??

ポイントは、フィードバックに含まれている過去と未来の要素を捉えることです。
過去:どのような事実をもとに生まれフィードバックなのか?(与える側の気付き)
未来:どのように変わっていけるのか?(受け取る側に必要なこと)

先ほど挙げた例に沿って見ていきます。

フィードバック:「もっとアグレッシブになろう」
過去:売り場で、困っているお客さまに対して声かけをしていないことが何度か見受けられた
未来:他の業務をやりながらも、お客さまの状況に目を配り声をかける。また、どうしても自身が手を離せないときはヘルプを呼ぶ。

実際のフィードバックでは、過去と未来のどちらかが省略されていたり、混ざっていたりすることもあります。
要素が不明瞭な場合は、受け取る側が与える側に質問するなどして、対話の中ですり合わせることが重要です。

人事の立場では、過去と未来の要素がそれぞれ明瞭になるようなフィードバックの仕組みが用意できると、受け取る側の難しさを一部解消できるのかもしれません。


STEP3:未来に向けたアクションプランをつくる

最後は、行動の部分です。
STEP1,2を経てフィードバックを受け取ること自体が「行動」ですが、これに併せて実施することでフィードバックの効果を高めることができる「行動」があります。

それは、アクションプランづくりです。
実は、フィードバックを受け取っただけでは、自身の行動変容に繋げるのは難しいです。

STEP1で「自分は、自分のことが意外とわからない」とお伝えしましたが、一方で「自分の行動を変えられるのは自分だけ」とも言えます。

Zホールディングス株式会社 シニアアドバイザーの本間浩輔さんも著書で以下のように仰られています。

人は案外自分のことを知らないから、フィードバックを受けて、自分の盲点を知り、自己認識の精度を高める必要がある。加えて、自分を変えられるのは自分だけなのだから、自分の行動を変えてみて、さらに新しくフィードバックを受けて調整していく必要がある。これこそが大人の学びである

『1on1ミーティング 「対話の質」が組織の強さを決める』(著:本間浩輔、吉澤幸太)

話を戻します。
フィードバックを受けて、自分の行動を変えるために、アクションプランをつくりましょう。

アクションプランをつくるときのポイントは
「明日からできる」「具体的な」アクションを設定する
振り返りのタイミングを決める
です。

STEP2で見えたフィードバックの「未来」の要素も踏まえて、明日から実践できる行動を決めましょう。

「今後はもっと積極的に新しい企画を出す」というようなフワッとしたものでは、明日からできるものとは言いがたいです。
「毎週○曜日に新しい企画を○本出す」といった、明日からできる具体的なアクションを設定するのが良いでしょう。

加えて、振り返りのタイミングを決める意味でも、可能であればフィードバックをもらった人に「フィードバックのおかわり」をお願いしておきましょう。

一定期間後に改めてフィードバックをもらうことで、自身のアクションプランの効果検証を行うことができます。

なお、改善点の大小にもよりますが、すぐに改善できるものもあれば、複雑で時間のかかるものもあります。
一度のフィードバックで全てを解決しようとするのではなく、繰り返しサイクルを回すことで改善の方向へ持っていければOKです。


まとめ

あらためて、3つのSTEPをまとめます。

STEP1<マインド>
自分は、自分のことが意外とわからない。
だから、自分の見えていない部分に気付くためにも、他者からフィードバックをもらう必要がある。

STEP2 <スキル>
フィードバックに含まれている過去と未来の要素を捉えることで、フィードバックの意味を正しく理解する。

STEP3 <行動>
フィードバックを受け取ったら、明日からできる具体的なアクションプランをつくり、自身の行動変容に繋げる。

漠然とフィードバックを受け取るのではなく、3つのSTEPを意識してフィードバックを受け取ることで、より効果を引き出すことができると考えています。

以上、フィードバックの効果を高めるフィードバックの受け取り方でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでも参考になるものをお届けできていると幸いです。

参考文献

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