飯田大輝
何が、何をもって画家としての成功となるのか?
何を目指して画家になるのか?
なんのために描くのか?
安易な結果としては、絵が売れ、お金に余裕が持てるようになる事
けれど、考えれば考えるほどこんな事のために画家になったのではないと心が言う
自分の生活が絵によって安定する事も確かに一つの安心感であり、結果としてみれば、世間的に言えば画家として成功を収めたと言えるのかも知れない
世間体で言えばそう
みんなが認めてくれたという自信になるのかも知れない
承認欲求が一つ満たされた事になる
僕が思うにこの承認欲求は際限がない
認められると、認められない事が強調されてそこを満たしたくなる
そしてそこが満たされると他のところが足りなく感じて来る
無い物ねだり
この承認欲求が人間として満たされる事を許さず、常に上へ上へと登らせる原動力になるというのも確か、向上心とも言える?
けれど思う
お金が手に入り、生活が安定すれば成功と言えるとするなら
画家以外にもっともっといい方法があるだろう
人から認められたいという思いを満たすなら、わざわざ絵じゃなくてもいい、結婚してみんなから祝福されればいい話だ
そして定職につき、たまにボーナスをもらって、休日は家でゴロゴロしたり、映画を見たり、旅行に行ったりすれば良い
子供も出来て、幸せで、満たされて行くんじゃないだろうか?
絵なんて描く必要がどこにあるんだろうか?
売れるかもわからないものを無から作り出して、発表して、ボロクソに言われたり、良い絵だねとか、上手いね、と言われて
何か意味があるんだろうか?
僕はここ一年ずっと考えている事がある
(正確には去年の個展の時に感じたあの胸騒ぎ)
売れなくても仕方ない
生活が回らなくても仕方ない
どんな事があっても
ただ絵を描いて行く事を続けていきたい
そしてそれを貫く事が自分にできるのか?
絵を描きたい、画家になりたい、いい絵を描きたい
その思いが僕をどこまで運んでくれるのか?
それを見たいと思ってる
周りがどうとか
何を言われるとか
どう思われるとか
そんなものに惑わされずに自分というものを表現して生きていけるのか?
自分はこれから何を思い何を描くのか?
挫折するのか?
どうなるのか?
どういう人間なのか?
ただ、飯田大輝という画家の人生の足跡を辿ってみたいという思い以外にない
どうもうまく行かない人生だけど、それもまた愛おしい経験だと思う
今ここに全てがあるし、この身一つで全てで、それ以上でも以下でもない
ある意味で、個人として完結している
まさに自己満足の塊である
善と思われることも、悪しきと思われることも
全てがそれで良い気がする
これ以外にないと思う。
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