(大崎編)本棚には画集が詰め込まれていた。

前回の記事の続きである

このシリーズは今回の記事で3回目

興味が湧いた方は遡ってみてくださいね😆

それでわ。

前回の重複になるが

僕はその街を出ることにした

当時付き合っていた彼女が、東京に来るというのだ、同棲のための家を決め、僕も引越しの手続きを済ませた

あまり名残惜しいとは思わなかった

そんな僕の新天地は山手線の品川駅の隣にある大崎である

駅前はオフィス街で面白みはあまり感じなかったがそれもまた良いと思っていた

そのオフィス街を抜けると住宅地になり、小学校の裏手の坂を登ったところに僕が借りたアパートがある、明らかに駅前とは雰囲気の違う建物で、随分安かった、いわゆるボロアパート

部屋は広く角部屋で、採光も問題なかった、窓に囲まれた部屋

カーテンの取り付けがめんどくさかったほど

彼女はインテリアにやけにこだわりがあった

その子は初めて実家から出て暮らすわけでそれは当然だった、掃除機やキッチン用品なども買い揃えた、僕は生活に無頓着だから口出しもせず任せることにした

部屋のレイアウトも任せた

ご飯も作ってくれたし、掃除や洗濯もしてくれた、僕は早速職場を見つけて働き始めた

新しい職場は随分と綺麗なオシャレ意識の高い店だった

ただどうも居心地は悪かった。笑

スタッフが女性しかいないのだ

オーナーは男であったが本店勤務との事

僕は新店舗の立ち上げアシスタントだったのである

とにかく仕事であるから僕は慣れようと努めた

しかしどうも息が合わない

僕は毎日焦った心持ちでいた

家に帰れば彼女は料理を作って待っていてくれたし、僕の愚痴も聞いてくれた

今思うとあのお店のスタッフ達はわざと僕を困らせようとやっていたんじゃないだろうかと思う、当時の僕は自分をひたすら責めていた。

僕が働き始めて2ヶ月くらい経ったある日の事

オーナーが夜、様子を見に来ると言うのだ

僕はどうでもいいなと思っていたが、周りのスタッフの緊張がとても伝わって来た

なにをそんなに?と思うほどにビリビリと伝わってくる

オーナーはハーレーダビットソンに乗っている、そのバイクの音が店の前で止まった時

僕らは店内で一列に並び、入り口に目をやり直立していた

女のスタッフが僕に言った

「何があっても言い返さないでくださいよ?」

僕は適当に頷いた

そして笑顔で入って来たオーナーは僕をみるなり握手を求めて来た

「頑張ってる?ありがとね本当」

どうやら機嫌はいい

そして周りの女性スタッフも口々に僕を褒めちぎり始めた

とてつもない違和感が僕を包んだ

僕も感謝の思いを簡単に述べて握手に応えた

しかし、そんな雰囲気とは裏腹に、ビリビリとした雰囲気は強まっているのを感じていた

居心地は間違いなく良くなかった。

オーナーがふと話題を変えた

「鏡曲がってない?」

それが合図のようにみんなピシッと押し黙った

鏡は僕がその日掃除して整えたのでその旨を伝えた

「僕が掃除して整えたのですがすみません、確かに曲がっています、以後気をつけます。」

そう言った僕を遮ろうと女のスタッフが僕に黙るように指示をした

今思うとその美容室の本棚には沢山の画集が並んでいた事を今ふと思い出した。

オーナーは帰って行ったがそこから僕への説教が始まった

「勝手に喋るな」

「余計なことをするな」

「空気を読め」

その時、あぁ、もう辞めようと思った。笑

それから数日後、本店に勤務しにいったとき

オーナーとペアを組んで仕事をしていた

とても褒めてくれたが、なにがきっかけだったか僕は一転怒られる立場になっていた

胸ぐらを掴まれ、殴りかかろうとして来た

それを避けると余計に激昂していた

避ける権利はないと言うのだ

「反射で避けちゃうでしょこんなの」と言った

その瞬間お店の空気が凍りオーナーは僕の胸ぐらを掴んだまま泣いているようだった、そして自分の顔面を殴りハーレーダビットソンに乗って帰っていった

次の日出勤して、持ってきたリュックに私物を詰めてオープン前になにも言わずに外に出たってきり、そこには戻らなかった。

心が解放されたようなとても清々しい気分だった。

家に帰って彼女に話すと仕方ないから次の仕事を早く見つけてと言うので僕はまた就活を始めた、そして目黒で見つけたお店で働き始めた

この続きはまた次回に👨‍🎨

#画家 #芸術家 #飯田大輝 #大崎 #目黒 #転職



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