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同じ行動を続けても、なぜ勝利が失敗になるのか?

書籍『「超」入門 失敗の本質

この本は、相当な時間をかけて執筆した本しました。当たり前ですが、原著の『失敗の本質』を読み通したのは、数回ではなく、10回目以降は数えていない、というくらいの修羅的な回数でした。

ただ、それはやはり理由がありました。
最初、言葉を優しくする、表現を平易にすることで原稿にしようとしたのですが、それではダメだったんです。

10行で書かれていることを、3行でまとめる、などはよくある短縮ですが、それは表現の平易化ではあっても、本質のエッセンス化ではないからです。本質をいかに抜き出せるかを目指すと、どうしても難しい。

この難問の出口を与えてくれたのは、執筆にあたって突き当たっていた「ある疑問」でした。

カギとなる疑問

日本軍は、太平洋戦争開戦からわずか半年ではあるが、一時的に快進撃を続けた期間がある。では、その後も同じことを愚直に続けた日本軍が、半年後以降は転げ落ちるように敗北を続けて、最後は壊滅した理由はなにか?

これは、行動そのものよりも、「行動の中に含まれている指標が劣化したからだ」との結論に至りました。例えば、日本海軍の戦闘機ゼロ戦は、開戦当初は軽量による旋回性能の高さで、ごく短い期間は無敵に近い戦果を挙げました。ところが、このゼロ戦も最後は、無残なほど簡単に撃墜されていく。

軽量化による旋回性能の高さは、空戦で相手の戦闘機の後ろにつくことを可能にしました。ゼロ戦と戦うと、いつの間にか相手の戦闘機は、ゼロ戦に後ろから射撃を浴びるような状態になってしまう。

ところが、米軍は2機チームでこの(ゼロ戦の)旋回性能を封じ込めます。1機がゼロ戦に後ろからつかれたとき、チームのもう1機がゼロ戦のさらに後ろについて撃墜してしまう。

このサッチ・ウィーブ戦法の登場で、ゼロ戦の戦績はあっというまにガタ落ちとなり、「相当のベテラン以外は、戦っても米軍機に勝てない」状況となったのです。

↓ 指標の話、次回に続きます。


    

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