hiroki_nono

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おまもり

幼少の頃 愛用の小さな長靴 その 右だか左だか 編んだ紐に括られた鈴がアンクレットのように付けられていた 鈴は幼子の歩くほどに シャンシャンと音をたて 傍にずっといるわけにいかない母に居場所を知らせていた 祖母の家には金魚のいる深そうな池があった 庭園の池のように周囲を大きな石で囲まれておらず 地面からいきなり池になっていた 母が伯父に『こういう造りは危ないから』と意見していた場面もあった 傍に行くなと言われても 深い緑陰の中の真っ赤な金魚は 鮒金のように

    • わだかまり

      わだかまりは 気持ちの整理がつかないこと 人から見れば 何でもないこと けれど、心に刺さったとげ... これは私にしかわからないもの 自分が意識しなければ いつまででも心に残り 私を苛む 気にしないことにできないくらいの違和感をいつまでも持っているということ 納得? 納得すればいいのかもしれない でも そうはできないと言い張る自分がいる 葛藤して葛藤して、少しずつ妥協しているのかもしれない わだかまり それも大事な今の自分

      • だいじょうぶだったよ。

        おにいちゃんがいっていた あそんでいたら おともだちに はなしかたがへんっていわれたんだって びっくりした わたしと おはなしできるのに へんっていわれたの なんで? あたまではききたいけど わたしはちいさいから おおきいひとになんていったらいいか わからない まよったけど つたわるかしんぱいになりながら ことばにして よくきいたら ことばがへんなんだって なあんだ ぞれはしかたのないこと だって とおくから ひっこしてきたんだもの そういってみたらいいの

        • 泡と消えた言葉

          ふと眠りから醒め 頭を巡り出す言葉の数々 言葉は画を伴い 次々と踊り出す なんて素敵な場面だろう... 思いついたことに うっとり満足するが いつも書き留めずに眠ることにしてしまう 起きてしまえば 次々と踊り出す画はひとつも思い出せない あれ、よかったのに... その感傷だけがじわじわくる 思い出せる気がするのだ 運よく同じ場面が出てきても また『起きたらにしよう』 そう思ってもう一度眠ってしまう 繰り返し繰り返し 世界で一番いい場面は きっと私の

        おまもり

          母のように

          病院の待合室で 隣の空いた場所に ポンっと小さな手提げを放ったおばあさん。 支払いの済んだ明細を無造作に置き 私に刺さっても知らぬ顔 身支度が済んだら ヨッコラショと座り、不躾な人かと警戒していたら 少しして... 左から『ちょっと...』と苦しげな声がした。 まるでそれは、普段母が私にする問いかけのようで 深く言わずとも家族なら察することができるイントネーション。 何か手が要るんだな、と見やれば 首もとのボタンがはまらない様子。 思わずにやけたら お

          母のように

          瑞々しさに

          洋梨の 芳醇な馨りに包まれ 想い出す幼き日 滴る果汁にも 遠い想い出が重なる 母の言葉 懐かしき故郷

          瑞々しさに

          時はとまったまま...

          私の分子を 連れ去ってしまった人は 誰だろう... 二度と描けない奥ゆきのある部屋 すました切り絵の白鷺 スクリーントーンの緑のグラデーション 手元に残ったのは 鎖でしばられた 両の手の点描 鎖は拘束を意味するから 鎖の太さで気持ちを表したっけ なぜ 連れ去ったのか それを訊きたい 気に入ってくれたのだろうか 憎らしかった、のだろうか

          時はとまったまま...

          見失わないで。

          自分のことを蔑ろにされている気がして 自分のことを何度も説明していることに気づく 誰も訊いていないのに。 私は塵じゃない ここにいるの ここには私がいるの 見えててくれるの? だれも反応しない世の中 溜め息ばかりの毎日 自分は自分がわかっていればいい 周りは見なくていい 自分が好きなような毎日にすればいい 礼儀と気遣いがあれば充分みたい 周りを気にすることで自分が自分を蔑ろにしているの 少し微笑んで 少し楽しそうにして そうして少しずつ自分を取り戻

          見失わないで。

          わたしは誰...

          鏡に映る自分の顔がわからない そんな感覚が続いていた 一体自分は何をしているのだろう? 今週ももう金曜日... 成果のない日々がずっと続く 土日になれば疲れたサラリーマンのようにぐったりした毎日... 月曜になれば 週末やらなきゃいけなかったことを思い出し 自分にダメ出しをする できないことの積み重ね 山積みで片付かないことばかり 今日という日は 明日へ繋がらない毎日 わたしは一体、誰なんだろう...

          わたしは誰...

          ちいさないたずら

          ニュートンを体感したのか 墓石の 花挿しの 石の穴に 小石を落とす ぽとん・・ ぽとん・・ 誰も気づかずに帰路につく 幼子の満足気な溜め息 微笑む祖父の気配 (20150926 19:27 投稿分再掲) これはですね、弟一家のあとに私たちがお墓参りをしましたら、花挿しがどうも浮いているように見えたんです。違和感があった。 一瞬ザワッとしましたが、心を落ち着けて冷静に観察したんです。 覗き込むとどうも、墓の砂利が穴に詰められている。 親たちがお墓の掃除をしている

          ちいさないたずら

          春にあなたに

          春にあなたに

          初夏の薫りをいっぱいに吸い込んで・・・ 幼子と語る時間。

          初夏の薫りをいっぱいに吸い込んで・・・ 幼子と語る時間。