おまもり

幼少の頃 愛用の小さな長靴

その 右だか左だか

編んだ紐に括られた鈴がアンクレットのように付けられていた

鈴は幼子の歩くほどに シャンシャンと音をたて

傍にずっといるわけにいかない母に居場所を知らせていた


祖母の家には金魚のいる深そうな池があった

庭園の池のように周囲を大きな石で囲まれておらず

地面からいきなり池になっていた

母が伯父に『こういう造りは危ないから』と意見していた場面もあった

傍に行くなと言われても

深い緑陰の中の真っ赤な金魚は 鮒金のようにそっけないものでも美しいと思わせる

じっとしゃがんで

でも母に叱られないよう池の端から半歩下がって

ひらめく金魚を眺めたことは何度でもあったと思う

鈴の音が消えたら

大人たちは私を探す それが嫌で約束を守るよう注意していた


雪が積もると 雪を流す水路に落ちる子供があったらしい

お店の出入口は出入りを禁止されていたので

家の玄関から表の道へ出て

裏木戸から再び中に入る すると池がある

そうやって家の周りを一周するだけで大変楽しかった

表の道に出るときに水路を渡るのだ

母が言うように確かな道を確かめつつ歩く


鈴は今でも私を守る

私を守りつつ

今も道先を案内してくれている