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do more with lessは資源循環の根底に流れる譲れない哲学である

僕がとても大切にしている言葉に、"do more with less"がある。トップ画像は自分で撮った写真と言葉を加えたオリジナルデスクトップ背景。

do more with lessよりも、大量消費社会への対抗として流行った(過去形にしてはいけないかもしれないが・・・)ミニマリストの文脈で"less is more"の方がよく知られていると思う。less is moreは、少ない方が豊かである、なんて訳さることが多く、これは20世紀に活躍したドイツ出身の建築家、ミース・ファン・デル・ローエが残した言葉であるとされている。僕も大学時代はミニマリストに憧れ、クローゼットは白シャツと黒スラックスのみで、茶碗と箸は一つだけ。所持品は全てスーツケースに収まる暮らし、みたいな人のブログや本をよく読んでいた。(けれども忠実に実行することはできなかった。なんとなく無理や制限をかける感じが僕には合わなかった)

そんなless is moreとdo more with lessは、全く違う哲学である。
do more with lessは、ド直球に訳すと「最小で最大を成す」。意訳すると「必要最小限のエネルギーや材料、時間で、最大限の効果を得る」ということ。これは「宇宙船地球号操縦マニュアル」という地球を閉じた宇宙船にたとえ、「地球資源が有限である」という概念を唱えたバックミンスター・フラーの言葉である。バックミンスター・フラーは、テンセグリティ(tension(張力)と integrity(統合)とを合成した造語)の概念でも有名であり、彼と共同研究者であった、梶川泰司さんのテンセグリティワークショップに参加して、以下のテンセグリティモデルを製作した。テンセグリティについては、本当に深くて美しい概念なので、また別でゆっくりまとめたいと思う。

製作したテンセグリティモデル
僕の宝物
スティックとワイヤーだけで構成される
ちなみにスティック同士は触れていない

今回は、do more with lessこそ資源循環の本質であると僕が考えていることを紹介したい。資源循環は、"人類が存続するために有限な地球資源を効率的に活用していくという目的に対する手段"であると僕は考える。その立ち位置を前提として、資源循環は、資源を簡単に使い捨てて新しく地球から採り続けるのではなく、一度使った資源を何度も使えるだけ使い倒して最大限活用しましょうという、資源の生涯価値を最大化するということだと思う。

であれば、その手段が本質的に意味することは、実現したい目的に対して、いかにして最小の資源で達成するか、ということである。
例えば、暖をとる、という目的に対して、
1) その辺に落ちている木を燃やして焚き火する
2) 石油ストーブをつける
3) 化石燃料から発電された電気を使って、エアコンを付ける
という3つのアプローチであれば、資源採掘コストや、輸送コスト、火力発電エネルギー効率、送電ロス、などを考えるとdo more with lessの観点から1が正解である。(みんな1をやろう!っていう話ではないけど、この例えわかりやすいのかな・・)

do more with lessは、「必要最小限のエネルギーや材料、時間で、最大限の効果を得る」ということであるので、これはまさしく資源循環の本質であると考える。この哲学を拠り所にしながら、最小の資源で最大の効果を得るためにResource Tech (リソーステック)という領域を開拓していく。

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