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ピーキング:競技パフォーマンスの最高点への到達

スポーツの世界では、勝利という目標に向かって、アスリートは常に自己を超える努力をしています。
その努力の中核をなすのが「ピーキング」と呼ばれるプロセスです。
このプロセスでは、アスリートは戦略的にトレーニングの量や強度を調整し、重要な試合やイベントでの最高のパフォーマンスを目指します。

この記事では、ピーキングを達成するためのテーパリングという方法論について深掘りします。
テーパリングは、トレーニング負荷を計画的に減らすことで、アスリートが重要な競技会において最大のパフォーマンスを発揮できるように整えるプロセスです。
ピーク状態の達成と維持、そしてテーパリングの具体的なアプローチについて、詳しく解説します。


ピーキング、つまり競技での最高のパフォーマンスを目指すピーク状態への到達は戦略的なプランニングによって達成されるものです。
重要なイベントに向けて、身体的・心理的な準備を整えるためには、トレーニングの量、強度、回復のバランスを巧みに調整する必要があります。

ピーキングの為の4ステップ

  1. 試合に向けてトレーニングを行います。

  2. 回復し、体をリフレッシュさせた後、再びトレーニングを開始します。

  3. 次の試合に向けて再度トレーニングを行います。

  4. これらのプロセスを通じて、次の競技でのピークパフォーマンスを達成するために、トレーニングの負荷を適切に調整します。

ピーク状態は、心理的および生理的効率が最大限に高まり、技術や戦術が最適化された一時的な運動状態を指します。
このピーク状態は通常2~3週間維持可能と言われています。

図1では、アスリートのトレ ーニングの度合いがアスリートのコンディションの基礎となっています。
これは一般的なトレーニングとスポーツ特異的なトレーニングの要素を含み、年間で最も重要な試合に向けたピークに到達するための基盤となります。
ピークに到達するための重要な要素として、テーパーと呼ばれるトレーニング負荷の計画的な減少が挙げられます。
このアプローチを通じて、アスリートは大切な試合において最大のパフォーマンスを発揮する準備が整えられます。

図1 モノサイクルのトレーニングフェーズを通してのトレーニングステータスの蓄積と上昇

テーパリングの方法論

テーパリングの方法論とは、アスリートが年間で最も重要な試合に向けて心身のエネルギーを最大限に高めるための戦略的なプロセスです。
このプロセスは、テーパーマクロサイクルまたはアンローディングのマクロサイクルとして知られ、様々なスポーツ、特に個人スポーツでピークパフォーマンスを達成するために広く用いられています。

テーパー期間中、トレーニングの負荷は段階的に減少します。
この目的は、以前のトレーニング期間に蓄積した疲労を取り除き、同時にトレーニングによって得られたポジティブな適応を維持または強化することにあります。

具体的には、テーパリングはアスリートが数週間にわたって行うトレーニングの量を徐々に減らすことで、過去の練習期間に蓄積した疲労を除去し、練習で得られた成果(筋力増加や耐久力向上など)を維持することを目的としています。
テーパリングの期間は通常、3週間以内に設定されることが多く、これは体の生理学的な反応を適切に保つためです。
3週間を超えると、ディトレーニングになり選手はトレーニング効果が逆に低下するリスクがあります。
このため、テーパリング期間の長さは、選手の状態や競技の種類によって慎重に計画される必要があります。

テーパリングは、選手の体が大会に合わせて最高の状態になるように調整する役割を果たし、選手が練習で培ったポジティブな適応を最大限に生かすことができるようにします。
テーパリングの効果的な実施には、体重、性別、週間のトレーニング量、そして選択された負荷軽減戦略など、様々な要因が関係してきます。
これらの要因を考慮に入れることで、各アスリートに合わせた最適なテーパリング計画を立てることができるのです。

総じて、テーパリングはアスリートが最も重要な大会で最高の成果を出すために、トレーニングプログラムとシーズン全体の成功において欠かせない要素です。
適切に計画されたテーパリングにより、アスリートは大会でのパフォーマンスを最大化できるだけでなく、心理的な準備も整い、競技中のポジティブな感情を生み出すことができます。

テーパリングのガイドライン

アスリートが自身にとって最適なテーパリング計画を立てる際には、集中的なトレーニング期間の後にトレーニングの全体的なボリュームを減らすことが一つのキーとなります。
高強度のトレーニングを行った3週間の後には、2週間のテーパリングを行い、トレーニングボリュームを60%程度削減するような調整を施す期間を設けます。

このテーパリングのフェーズでは、トレーニングの強度、そしてボリュームの二つの要素を、アスリートの負担を軽減するために慎重に調節することが重要です。

トレーニング強度

トレーニング強度を計画的に下げることで、最高のパフォーマンスを目指す戦略です。
このプロセスでは、練習の強度を少しだけ落とし(平均して5%から10%程度)、これにより体が適応し、最終的な競技での成果を最大限に引き出します。
このトレーニング強度の微調整は大会の数日前に最も重要になります。
研究によれば、競技の4日前には強度を最も低下させ、直前の3日間は中強度から中高強度に強度を戻すことが推奨されています。
これは、体の疲労を取り除く一方で、競技に必要な身体の準備を最適化するためです。

トレーニングボリューム

テーパリングでは、トレーニングのボリュームをどの程度減らすかが、アスリートのパフォーマンス向上に大きな影響を及ぼします。
研究によると、トレーニング量を40%から60%の範囲で減らすことで、長期間にわたってトレーニングによる肯定的な効果を保つことができます。

トレーニング量をどれだけ減らすかは、テーパーの期間、アスリートが抱えている疲労の程度、トレーニング量を減らす方法など、複数の要素によって異なります。
これらの要素を考慮し、テーパー期間中のトレーニング量の適切な減少率を決定することが、最高の競技成績を目指すうえで重要になります。

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