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スポーツパフォーマンスモデル分析の重要性:トレーニングプログラム設計のための第一歩

トレーニングプログラムを効果的に設計するためには、まずスポーツそのものを深く分析することが不可欠です。
パフォーマンスモデル分析において最初に提示すべき要素は、スポーツの科学的および方法論的側面をトレーニングニーズの文脈で提示するニーズ分析です。
このプロセスでは、コーチがそのスポーツのバイオメカニクス的・生理学的特性を考慮し、各生体運動能力のパフォーマンスへの寄与を詳細に分析することが求められます。
このようにして、スポーツの特性に基づいた科学的なトレーニングアプローチを構築することが可能となります。

スポーツパフォーマンス分析

以下の項目に沿って、パフォーマンスモデル分析を実施する方法を詳しく説明します。
これにより、どのようにトレーニングプログラムを効果的に設計できるかが理解できるでしょう。

1. 競技

まず、分析するスポーツを記入します。
ポジションや種目によってバイオメカニクス的・生理学的特性が異なる場合は、具体的に記載します。
例えば、「スプリント(中距離)」「野球(投手)」などです。

※エネルギーシステムの寄与を調査する際に、スポーツ競技で検索することはできてもポジションで参考文献が出てこない可能性があります。

2. エネルギーシステム

次に、スポーツ活動におけるエネルギーシステムの寄与を決定します。
これには以下の三つが含まれます。

無酸素性非乳酸(ATP-CP)システム

概要:筋肉は少量のATPを蓄えており、短時間・高強度の運動(例:全力疾走の最初の2秒間、重量挙げの最初の2~5レップ)で主に使用されます。ATPが枯渇すると、クレアチンリン酸(CP)が分解されてATPを再合成します。
持続時間:最大限の努力で8~10秒。
主な用途:60m走、飛び込み、重量挙げ、陸上競技のジャンプや投擲競技など、非常に素早く爆発的な活動。

無酸素性乳酸系

概要:筋持久力トレーニングや短時間の高強度運動(例:200mや400mのダッシュ、50回までのクイックレップでのウェイトトレーニング)で使用されます。グリコーゲンを分解し、酸素を使わずにATPを再合成するため、乳酸が副産物として生成されます。
持続時間:10~60秒。
主な用途:筋持久力(短時間)トレーニング段階への転換期

有酸素性システム

概要:酸素を利用してグリコーゲン、脂肪、タンパク質を分解し、ATPを再合成します。酸素の供給により持続的な運動が可能で、乳酸はほとんど生成されません。
持続時間:1分強から数時間。
主な用途:長時間の持久力運動(例:マラソン、長距離サイクリング)。

この情報は、科学的文献を参考にしながら決定します。例えば、PubMedなどのオンラインリソースを利用して調査します。

ストレングス

3. ストレングスの種類

トレーニングの目標となるストレングスの種類を選びます。

・パワー(ATP-PC):最大6秒間
・パワー持久力(解糖系パワー): 10~15秒
・筋持久力 - 短時間(解糖能力):30秒~2分、しばしば不完全休息あり。
・筋持久力 - 中時間(有酸素性パワー):2~8分
・筋持久力 - 長時間:8~60分、またはそれ以上。

競技に特有のストレングスを選択し、その向上が最終的な目標となります。

4. 解剖学的適応期間

競技者の特性と導入期に利用できる時間に基づいて、適切な解剖学的適応期間の期間を決定します。
これは、競技者の発達段階や筋力トレーニング経験を考慮したものです。

5. 筋肥大の必要性

アスリートの特性および競技の特性に基づいて、筋肥大に専念する期間を実施するかどうかを決定します。
筋肥大が必要な場合、その期間をトレーニングプログラムに組み込みます。

スピード

6. 直線的/非直線的スピード

競技におけるスピードの特性を評価します。直線的スピード(例:短距離走)と非直線的スピード(例:サッカー、バスケットなど)があります。

7. スピードの質

スピードの質それぞれの違いと貢献について考えます。

・加速(アクセレーション)
・最大スピード
・スピード持久力
・RSA(Repeated Sprint Ability=反復スプリント能力):短い休息インターバルで繰り返しスプリントを行う能力。

インターバル

8. 休息のタイプ

インターバルが能動的なのか受動的なのか、または完全休息または不完全休息なのかを評価します。

能動的:動きながらでの休息
受動的:静止状態での休息
完全休息:長時間の休憩、体全体の回復
不完全休息:完全に回復しないまでの休息

持久力

9. 連続的/断続的

活動が連続的(長時間休みなく行う)か断続的(短い休息を挟む)かを評価します。

10. 作業強度ゾーン

持久力のための作業強度ゾーンと、トレーニングプログラム全体を通じて使用するプログレッションを以下の表をもとに決定します。
これにより、トレーニングの各フェーズで適切な強度と持続時間を設定します。

エネルギーシステムトレーニングとその6つの強度ゾーンの生理学的特徴

これらのステップを踏むことで、科学的で効果的なトレーニングプログラムを設計することが可能となります。

上記の情報を踏まえたふえでバレーボールと野球(野手)におけるパフォーマンス分析を行いました。

スポーツパフォーマンス分析

バレーボール

スポーツパフォーマンス分析(例:バレーボール)

野球(野手)

スポーツパフォーマンス分析(例:野球(野手))

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