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話を聞くことの本質はどこにある?

商品開発や新規事業、あるいはさまざまなリサーチにおいて、
誰かに話を聞くことは欠かせません。
これは疑う余地はないでしょう。

すると当然気になるのは、「一体どうやって話を聞けば良いのか」
さまざまなプログラムをご一緒するなかで、最もよく聞く質問の一つです。

その答えの一端は、すでにさまざまな記事があり
「新規事業 インタビュー 方法」と検索してみれば、数多くのコンテンツや講座が出てきます。

初めて取り組む人であれば、「デザインリサーチの教科書」「はじめてのUXリサーチ」がおすすめです。

MIMIGURI代表の安斎の著書「問いかけの作法」も必ず参考になるはず


でも、最も多く見受けられるのは、そもそも話を聞かない人が多いということです。

反面、経験則的ではありますが、事業を形にする人は、とにかく行動し、話を聞くことを繰り返す人が多いということです。
(もちろん、やたらめったら話を聞けば良いというわけではなく、それこそ単にシリコンバレーに話を聞きにいけばよい、ということではありません)


では、なぜ話を聞くことが重要なのか。その本質は、実は前後の2つの時間にあるのではないかと考え、まとめてみました。


1. 聞くために考える時間と、聞いたことから考える時間

話を聞こうとすると、どうしても話を聞く時間そのものに焦点を当ててしまいがちですが、その本質は、前後にある「聞くために考える時間」「聞いたことから考える時間」にあると考えています。

この時間こそが、本人の思考を深める時間であり、話を聞くということは、その考える時間を生み出すきっかけとして捉えておくことが重要ではないかと考えています。


2. 話を聞くプロセスにおけるバッドパターン

そもそも話を聞かないことが、最も多く聞くバッドパターンであることは冒頭で言及しましたが、行動しない人に見られる特徴は

  1. 話を聞くことで、明確な答えを得ようとして

  2. 正しく聞くためにはどうしたらいいかを悩み

  3. 結局そこに自信が湧かずに行動しない

ということではないかと考えています。
裏を返せば、話を聞くという行為の本質は

  1. 自らの関心や課題意識から問いを考え、

  2. その問いをひらくことで、他者から話を聞き

  3. 聞いた話から自身の考えを深め、新たな問いを立てる

という営みにあり、「正しさ」や「すぐに答えを得る」ことばかりを意識するのではなく、自身の考えを問いと共に深め続けようとする姿勢にあると考えています。


3. 考えた時間こそが、差を生み出す「血肉」になる

「筋肉は裏切らない」とはよく言いますが、それと同じように「考えた時間は裏切らない」と信じています。

もちろん考えれば、確実に成功が約束されるわけではありません。

それでも確実に言えるのは、考えた時間の「量」と「質」の総量は、その人自身や、その人が考えたコンセプトの「血肉」となり、決して真似することはできない差を生み出す、ということです。

京セラの新規事業「matoil」を立ち上げた谷さんも、
僕の博士の同期である、株式会社abaの宇井さんも、
側で見ていて、この考える時間の「量」と「質」、そしてそこから生まれる想いが、とてつもなかったと思っています。

そして、ふたりに共通しているのは「うまく話を聞くにはどうしたらよいか」なんて考える前に、話を聞きに行っているということです。


うまく聞けなくて良いと思いますし、それよりも一生懸命に考えようとしているかどうかの方が圧倒的に重要です。

良い問いを考えようとするよりは、まず自分の中で関心の湧いている問いを、誰かに開いてみることが重要です。
(もちろん、相手に失礼があってはいけませんが)


とはいえやっぱり、不安だと思います。
そんなあなたを支えてくれる補助輪として、冒頭で紹介した書籍や、拙著「リサーチ・ドリブン・イノベーション」を手に取っていただけたら嬉しいです。


みなさんからいただいた支援は、本の購入や思考のための場の形成(コーヒー)の用意に生かさせていただき、新しいアウトプットに繋げさせていただきます!