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『日本製の価値』…

さて、この表題について
「価値は〇〇だ!!!」とはっきり言える人は居るんだろうか。
正直かなり少ないと思う。僕のいるアパレル中心のファッション業界であれば尚更なこと、日本製だからイイモノを売ってるんですよ、〇〇に海外のあれこれとは違う価値がありますとはっきり言える人は少数かな。
車や家電製品、カメラ(今はどうだか詳しくないからわからないけど)なんかは一昔前は丈夫で長持ちするから、海外製のより値段は高くても結果おとくなんだ。とか言えてた気がする。実際僕も古いモノ好きなので、それは実感としてもある。

で、服に関してはどうですか?と聞かれたら。
僕個人の意見として言わせてもらうと、日本製だから良い。
という部分は特にないっちゃない。悲しいけどない。けど日本製は中国や東南アジア製品と比べたら値段は高い。そりゃ高い(自分のブランドでもそう思う)。

例えば縫製の品質なんかだと、量産品に関しては海外生産品と日本製を比べて日本の商品が優れてるとは思わないし、下手したら中国あたりの商品と比べたら見劣りすることすらある。
いい訳でなく言わせてもらうと、これは生産数による練度(経験値→レベルアップ的なもの)が桁違いだからというのがでかい。同じデザインを1000着縫い続けてる現場と、20着しか縫わない現場では当たり前に前者のほうが縫製のなれや練度が高くなる。(量産でなくテーラーやビスポークのようにオーダーして1着ずつ人に合わせた高品質なものをつくる場合は別の話。この対個人を顧客にする縫製のレベルや技術は日本の職人さんは凄いし、これは気質とも思う)海外(中国あたり)は工賃の低さも相まって数のある量産品を対応しているので、必然品質は上がっていく。
 かつ数が増えれば海外の低工賃に出して販売に持っていくほうが安くて売れるわけで、国内で数を作り高単価でも売れるブランドが少ないのだから、この状況はいかんともし難い。(売れてるブランドがないわけじゃない)

 たまたま海外の長期休暇や、それこそ国家間での問題、今回のウイルスのようなことで生産ができずに一時的に国内の縫製需要は高まることはあれど、この戻ってきたブランドが国内で定着しますか?というと難しい。
(突然工賃3倍とかになって商品の売値から上げていけるわけない。客層がもはや違っている)

そういうラッキーパンチ的なものは除いて

では日本製はメリットないじゃねーか。となるかというと
勿論メリットはある。
・少量での生産対応(少量でも品質は低くない)
・運送時間によるタイムラグの軽減
・日本での品質管理体制(感性や気質)
このあたり。…これだけか…と思う。このメリットにある少量の生産というものがメリットでもあるけれど縫製の練度の上がらなさや、水揚げの低さにも起因してる気がするのでやってられない(笑)

では、日本製というものの価値はべつで見いだせないのかという話。
ここが勝負どころじゃないの?と思う。悲観的に見るだけではなく

高いから売れない訳じゃなく、高いのに見合ったモノに感じてもらえないだけではないかと思う。
日本で縫製するけれどスタンダードなもの(デザイン・素材含め)で量産品は結局やすい高品質なものと戦うには厳しい。では素材やデザインは低単価で縫製できる国々に負けてるのか?というとそんなこたないはずだ。
ハイブランドやコレクションブランドは日本のブランドも高い評価を受けているところはあるし、数は量販数ではないにせよ独自のデザインで海外で高単価で売れている(取り扱われている)ブランドもある。中国あたりでも売れてるブランドある。
 デザインは国内・縫製は海外という例もある。

そう考えたときに
・デザイン(パターンも)を日本の感性で生み出す
・素材や技法で日本独自のものを使う
こういった部分を強みにすることで、売れるものは作り出せるのではないのか??と思う。もちろん今は縫製などを請け負う国がデザイン力も身につけてくることも先々ある。けどその国独自の感性や育ってきた文化は別物だと思う。そういった独自の文化を自分の作るものにどれだけ含ませることができるのか。そこが合致してくれば国内での評価はいまいちでも、逆に感度の高い海外から火がつくことだってありえる。

made in japan の生産地としての価値は低くても
material in japanやdesigned by ○○(japan)のように、文化や思想を学んで活かすものづくりができれば生き残る道はきっと残ってると思う。文化を纏うというような大きなことや、着物を使って服作ってますとか以外のなにか。

正味のところ、小さいブランドである自分が
国の縫製業界よくしたいんだ!とか
アパレルの悪習なくしてやる。とかをいったところで、実際にやれることなんかたかがしれてる。こういった大きなことは当然に心意気としてあるのは良いと思うし考えてはいるけれど。個人にできるレベルの規模じゃない。やれて意識を拡散するきっかけのひとつになれるかどうかくらいだ。

それならせめて
このデザインなら…この素材なら…日本製であれば売れるね。
…流石だな…これはキミしか思いつかないよ。
と言われるようなモノを作り出していきたいと、日々頭を抱えて頑張る。頑張るしかない。続けていきたい。
表題とはずれて「それは日本製とか関係ない」てなるけど、自身のブランディングの確立や
精神論も関わってくるけれど、「こいつが日本でモノ作ってきたらやべーのできるよ!」とか、「自分が日本国内で生産するなら各海外の弱点・日本の強みを考慮してモノ作れる自負がある!」とはっきり突き抜けていくのがアイデンティティなのかも。

ただの表記上の日本製というものに価値は無くなっている。誰が・どこが・日本で生産しているのかの方が重要なんだろうな…。

最後にTwitterのほうでもご意見たくさん頂いてとても刺激になった…。
皆様に感謝します。


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