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商談の心得

取引先と会って、商談する時その場所の選択は議事の進行に大きく影響します。相手の立場や地位また相談の内容によりふさわしい場所を選ぶようにしましょう。

一流ホテルの効用

一流ホテルのラウンジは最上階にあって眺望がすばらしく、窓の外を見ているだけで気分がいい。しかも便利だ。雨が降っても地下駐車場からそのままロビーに上がれる。空調もいい。トイレもきれいだ。必要ならその場で部屋も取れる。食事もできる。酒も飲める。これほど便利な場所は他にありません。

そして一流ホテルの何よりの効用は話のスケールが大きくなるという事です。大きな仕事を仕掛けるには舞台装置は重要な役目を果たします。煙が立ち込めた小汚い焼鳥屋で酎ハイを飲みながら億単位の話をしたのではリアリティがありません。

話は店の格と雰囲気に正比例します。デートの時、焼鳥屋と高級フランス料理店とでは話の内容も質も口調さえも変わってくるはずです。場所は人の心理に大きく影響を及ぼします。

例えば部下を情で絡めようとするなら小料理屋のようなアットホームな雰囲気の店がいい。熱燗を差しつ差されつするうちに話題は自然とプライベートなものになっていきます。自分の力を見せつけておきたければ高級フランス料理店に連れて行く。話題は日本経済や会社の将来、ビジネスマンとしての在り方など、気取ったものになります。

部下の口から愚痴は出にくくなります。逆に愚痴をこぼさせて本音を引き出したければ居酒屋がいいでしょう。意外に見落されているのがホテルの昼食です。一流ホテルの一流サービスがビジネスランチなら数千円で受けられます。

ビジネスランチは豪華に行きましょう

これは商談の場所としては狙い目です。夜だとどうしても酒になり、相手が酔って話がグズグズになる。ビジネスランチはあくまで一流ホテルで食べる事。定食屋や牛丼屋などでは逆効果。商談はあくまで豪華に、優雅に、が基本です。

ヤクザから学ぶ

ヤクザは経験則として『先ず与え、それから得る』を実践しています。これは武術の呼吸法に似ています。武道で初心者が組手や型をする時、緊張から無呼吸になってしまいます。呼吸が浅くなり、息苦しくなるので、空気を吸おうとしますが、肺の中に入っていきません。呼吸をほとんどしていない為に肺の中に空気が溜まっているからです。

そんな時に息を吸いたければ先に息を吐く事です。息を吐けば肺が空になるので、自然に空気が入ってきます。これはほんの一例ですが、息は吐くから吸えるのです。つまり武道のこの体験を『何かを得たければ先ず与えよ』という事を理解する事で、稽古をする意味が出てきます。

例えばヤクザと知り合いになり、一緒に飲みに行ったとします。 勘定はヤクザが持って、『いいってことよ』『じゃ、割り勘に…』『何を言ってるんだよ』取り合わないで奢ってしまう。これが2度3度と続けば相手に義理を背負わせることになります。これが損して得取れの意味です。

ただし飲み屋で驕る場合は居酒屋や焼き鳥やなど、安い店の方がいい。なぜかと言えば高級クラブを4-5件驕ったとします。すると相手は勘定が高すぎる為、負い目を感じるどころか、この人はお金持ちだから奢ってもらって当然という気持ちになってしまいます。

商談の場合も値引きする事でヤクザ流に義理を背負わせようとするなら、値引き額は小さくして『これが私の権限でできる値引きの限界です』とやる。これによって誠意が伝わりこの人に無理をさせたという負い目をクライエントが抱いてくれれば一丁上がりとなります。


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