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光が食のシーンと時間を変える

きっかけは

ずっと、食と光の関係を探求することを続けている。社名の"LIGHT & DISHES "は、30代半のころ自分で言い始めたフレーズだった。この頃はまだLEDが全盛というよりは照明メーカーでも白熱灯と共存で扱いがスタートしたばかりの時だったと思う。会社員時代、私は蛍光灯と白熱灯との違いをメインに自分でつくった料理に当てては、研究みたいなことをやり始めていた。休みの日、会社の鍵を借りて小さな実験室みたいなショールームでゴソゴソやっていた。LEDは正直苦手だった。特にこの頃のLEDは決して美しいものではなかった。

食に携わらないと本当に必要な光はわからない

あっという間に時は過ぎ、今から8年前会社を辞めて独立。小さな小料理屋を始めた。「谷田さんがやるんだから"たにたや"がいいじゃない」と、友人に言われて、"LIGHT & DISHES "はしばらく眠らせていた。その時もまだ店内全てをLEDにはしていなかった。白熱灯信仰は自分に根強くあって、それよりも訪れてくれるいろんな世界のお客さんたちとコミュニケーションや出会いが楽しく、こんな独立もありだな思って過ごしていた。同時に、お客さんたちを見ながら世の人たちは、なぜこんなにも照明に関心が無いんだ・・ということも感じて、なんとも言えない使命感のようなものが湧き始めてきた。飲食店経営しながら、照明の販売をしたり、照明に関する記事を書かせてもらうことなどもしていて。そして転機は立て続けにやってきた。
・飲食店の照明のリノベーションの仕事が舞い込み、LEDメーカーの開発コンサルティングの依頼がくる
この二つの出来事が今につながるのだが、いずれも飲食の仕事をしていなかったら、できなかったこと。食に関することがこの上なく好きだった。料理もお酒も好きだから、週に5日店に立って料理をして、ワインを注ぎ、という日々が苦ではなかった。そしてこの経験がなければ、飲食に携わる人の気持ちはわからなかったし、その人たちが求めていることもわからなかった。ただ、それを反映する光が市場には少なかった・・ことも知った。

自分史上最高の光にたどり着く

左がごく普通に飲食店で使われているLED 右がシチズン電子と開発したLED/QUALITY SPICE(クオリティスパイス)

LEDメーカーのコンサルティングをしていく中、これまでになかった光質のLEDを試作で見ることができた。その光源を使用したデモ機を持って都内から地方までいろんな飲食店に行った。許可をもらいながらその光を料理に当ててスマホで撮った。加工アプリを一切使わずそのまま撮ってはいっぱいストックしていった。「料理が美味しく見える光は、温かみがあるだけではなく食材や盛り付けの彩りをしっかりと演出できるもの」ここに行き着く。これを形にしたい。形にして実際に多くの人に伝えていきたいと強く思った。まず、空間の中でどう見えるのかが肝心と思い、試行錯誤、紆余曲折の末LIGHT & DISHES Lab.をつくった。そう ! 眠らせていた"LIGHT &  DISHES "を看板にする時がきた。この空間では、デモ機でも使用した、温かみがあり尚且つ対象物の色や形をしっかり見せることができるLEDのダウンライトとスポットライトを設置した。合わせて比較対象できるように、他の質のLED照明も設置し、無線で点灯切り替え調光ができるようにした。これはいつでも来てもらえれば見せれることができる。そして、さらにこのLEDをつかったペンダントライトをつくった。意匠照明器具は、デザインに好みはあるかもしれないが、一番伝わりやすいからだ。

富山のガラス作家、岸本耕平のつくるガラスシェードと最高質の光

ペンダントライトMOON DROP / カッパーのテクスチャ

8年前、独立する前くらいにあるプロジェクトで出会ったガラス作家の岸本さん。彼はその頃から膠を貼り付け仕上げたガラスをつくっていた。これは、吹いたガラスを一昼夜冷まし、膠をガラスの内側に塗布し専用の窯に入れ焼きしめ、3日間ほどおいて自然に剥がれた膠の跡が模様となって残るという一つとして同じテクスチャのものはない唯一無二のもの。このガラスに魅力を感じてLIGHT & DISHES オリジナルでペンダントを作ろうと決める。岸本さんはこちらのリクエストに応えてくれた。それくらい魅力的なガラスなので、中に使う光が決め手になる。LEDメーカーと開発した"温かみがあり料理を美味しく見せるLED" これを使うことにした。私がネーミング提案したQUALITY SPICE/クオリティスパイスというLEDだ。料理の決め手は塩加減や出汁などだったりする、それと同じく質の高い一振りの光(スパイス)が空間を決めるという思いを込めている。電球型のLEDとは違って、φ3.5mmのLED素子そのものを使う。これによって光の存在が極めて小さくでき、ガラス全体を光のグラデーションとなってテクスチャを際立たせる。この全体の形状は、友人でありデザインユニットのCOLOR. に手伝ってもらった。最終的な形に辿り着くまで約4年近くかかった。最終試作が出来上がった時、LIGHT  & DISHES Lab.の空間で見た時、感無量とはこういうことかと実感した。このペンダントライトの下で食事をしてみてほしい。きっと、これまでと違う食のシーンと時間を体感できるから。そして、LEDの進化を改めて知る。LEDが苦手だった(食わず嫌い)だった自分がいま思うのは、光質の高いLEDは、白熱灯を超え、限りなく自然光の再現性に近づくということ。これが、2022年7月31日(日)Makuakeで公開される。金額だけ見たら決して安い買い物にはならない。たぶん、金額の数字を見たら、人によってはどん引く人もいるだろう。でも、日本が誇るLEDのグローバルブランド、シチズン電子が弊社と開発を進め初めてトライしたLEDであり、ガラス作家岸本耕平がつくりだす唯一無二のガラス、とことん美しい光を追求した時、最終形状は妥協できなかった。これだけの素材が背中を押してくれた。きっと、私たちの食卓のシーンは光で変わる ! と確信し取り巻く製作環境を踏まえると安くはならなかった。本当にこの光の質と素材の価値をわかってもらいたい、そしてわかってもらった人のところに届けたいと思っている。点灯した瞬間から生活のシーンが光で変わる。この体感を共有し、実現させて欲しいと切に願っている。

ペンダントライト : MOON DROP 

雲の切れ間から覗く月の鋭くも優しい光がヒントとなったネーミング
このネーミングに至ったエピソードは↓ 


プロモーション動画 :  create : 矼 由之輔


 
Glass: 岸本耕平
design : COLOR./カラー
graphic design :SKG CO.,LTD.
Manufacture : Y.S.M Co.,Ltd.
Light Source : シチズン電子株式会社
Produce : LIGHT & DISHES Co.,Ltd.

 


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