見出し画像

2022年を迎えた。2021年のnoteと2020年最後のnoteを読み返してみたら、自ずと2022に始まる新たなことへの布石が詰まっていた。去年の前半には沸々と湧き上がる未来への目標に向かって動き始め、後半には大きな決断をして走っていた。

止まっていた中で動いていく

誰もが知っているように、2021は2020以上にコロナのもたらす状況は悪化。1月から4月の最初まで緊急事態宣言が続き、さらにその後も数回延長でオリンピックが終わり、その後まで続いていた。飲食店のたにたやは、ほぼ休業状態。しかし世の中が止まっていても、一緒に止まるわけにはいかない。ウェブサイトのリニューアルは進めるべく、緊急事態中もたにたやでの店内撮影や、オリジナル照明プロダクトを粛々と進める日々を過ごし。それに加え、たにたやの常連であり食の世界の心強い仲間でもあるフードニアジャパン株式会社の代表、松田さんの提案と共同企画で始めた「二十四節気お弁当プロジェクト」があった。

画像1

7年近く飲食店をやっていきて旬を意識した料理をしてきたつもりでも、日本の文化である節気まで意識して料理をしたことはなかった。月に2回巡ってくる節気に自分なりの解釈を投じて作るお弁当に詰める料理。この経験は、今思うと私の料理における一つの区切りになったかもしれない。そして、5月末から6月にかけてもう一つ湧き上がる思いがあった。新しい場をつくりたい  が刻々と切実になっていく 。ずっと追求してきた「光」と「食」をさらにアップデートした形で体感できる場所が欲しいと。ちょうど定期面談の顧問税理士事務所でそんな話を改めてすると、さすがに2020年は反対されたが、今回は自分の真剣度を受け止めてくれて、事業再構築補助金を勧められた。多くのポストコロナを見据えた人たちや企業が、同じように新たな道筋を考えている。自分の身近な事業主たちもこの補助金の採択を受けどんどん前に進んでいる状況が見えて、本当に止まっている場合できない の一心となった。

画像2

画像7

highcolor というアウトドアファニチャーを店頭に置いてから、今までに見たことのない状況が生まれた ! 

不採択とミラノ行き

この補助金のための事業計画書を税理士の先生たちとつくっていくと、自分の目指すべき未来が具体的になってくる。事業再構築補助金では、これまでの事業の延長線上や事業拡大では通らない。あくまでも再構築 なのだ。そのためには「たにたやは閉店する」の一文が事業計画書に刻み込まれる。この時6月末。この瞬間全身になんとも言えぬ鳥肌がたったのを覚えている。何か新たなことを目指していくためには、何かを終わらせなくてはならない。この時点で、並行して物件探しもスタートしていた。さまざまな奇跡と縁が新たな場所を引き寄せてくれて、7/末にはイメージしていた物件が見つかった。この頃、通常は4月に開催されるミラノサローネが9月の初旬に延期されていたことがリアルになり、規模縮小で開催が決定していた。年周りでは照明の年、エウロルーチェなのだが今回は特にそこにフォーカスはされないことはわかっていたが、万難排してでも行くべきと思い動くことにした。諸々準備を整え、フライトの前日を迎えた9/2の夕方、申請していた事業再構築補助金の採択発表のメールが飛び込む。結果は不採択だった。至らない点と傲りがあったのだと思う。なので翌日、そんなに落ち込んでない自分に驚きながらも次の申請では確実に採択をという思いに切り替わっていた。事業計画の内容の肝、たにたや閉店と次のビジョンを抱えながらまずは、ミラノへ向かう。

画像3

次のビジョンと物件契約、内装計画

画像4

次の場所は、たにたやのあった場所から徒歩5分ほどの福住という地域。内部解体後天井高が4.5mもできて、照明の効果を表すには願ったりの環境。ここがどう変わっていくか・・

どうして新たな場所が欲しいと思ったか。ここに至る布石はいくつもあった。2018-2019の間、飲食店の照明リノベーションから照明に携わる者にとって核となる光源(LED)を探究する仕事をすることになった。これが、現在に至る経緯のきっかけになっているのだが、光は体感しないと伝わらないということ。光に関するプロと食に関わるプロの間に距離があることはこの数年ずっと気になっていた。それをそれぞれの立場に知って実行してもらいたいという思い。そのためには、たにたやの空間でできることに限界があることを自ずと突きつけられる。補助金申請と物件探しから契約までの間で、当初のコンセプトでのウェブサイトリニューアルは方向転換することとなったが、次なるヴィジョンが明確になってきていたことに、自社のブランディング全般を依頼しているSKGの助川さんは理解してくれた。そして、物件契約後の内装計画の運び。たにたやでもお世話になったbazik 滝澤さんに相談する。グラフィック含むブランディングとインテリアデザインは自分自身のことを長きに渡りわかってくれる人、なんでも思ったことを言える人とでないと私はできないと思っている。両社本当に力になってくれて感謝しかない。伝えられる力を形にしてくれる仲間というのは、時間をかけて作り上げていく関係だと思っている。壁にぶつかった時も、進べき先を客観的な視点でアドバイスしてくれるのも、仕事を通して培われるものでしかない。そして信頼関係だ。光の力で、食の空間をより良くしたいというこのヴィジョンを基に新たなスタイルの飲食スペース、照明のシミュレーションスペース、食を美味しくするオリジナル照明の販売スペース、ほかギャラリースペース、を兼ねる空間をつくる。この具体的に成しえてない、まだ見ぬ世界をつくること。これがLIGHT&DISHES のミッションであり次のスタイルであることに確信を持つ。そのミッション遂行に追い風が吹いたのは、11月30日午後6時過ぎ、事業再構築補助金の事務局から採択の知らせが届いたこと。一気に気持ちが加速した。

7年間がつくってきたことは

画像5

10月、緊急事態が解除になり、たにたやの営業を予約制で再開する。この10月から一気に周辺が変化していく。年内でたにたやを終了することを告知(その時点では"移転"と表現)すると多くの人からのメッセージや反応をもらった。自分以上にたにたやがつくってきたことは大きかったんだと思い、感慨にふけるも、時間は急速に進んでいった。その中で、次なる世界を一緒につくり支えてくる仲間たちの存在がある。2020年の最初から手伝ってくれているfood部門&ワインスペシャリストのとしこさん。この10月から志願して毎週金土日たにたやでランチ&カフェ営業をした、食堂アルヒのさやちゃん。それから、9月のミラノでひょんなきっかけから出会い、誘ってみたらOKでL&Dに参加してくれた2021年武蔵美を卒業したばかりのちあきちゃん。10月から12月、たにたや最終営業までの間に彼女たちのサポートはかけがえのないものになり、私が描く次のLIGHT&DISHESの未来になくてはならない存在になっている。

画像6

左から、ちあきちゃん、ちょい上に行ってとしこさん、そしてさやちゃん、私。株式会社LIGHT&DISHESの新たな仲間たち

そして何よりも、11月で7周年となった、たにたやという場所がつくってきたもの。人との出会い、人と人との繋がり、店主として経験、次に進もうと背中を押してくれた訪れた多くの人からの思い全てだ。何一つ一人ではできなかったことばかり。言葉では言い表しきれず計り知れない。次の場所に関しては、2022年の年初から必死で走り回らないといけない問題が既に載積していて、またしても痺れる貴重な経験をさせてもらうのだが、生みの苦しみがあるほど出来上がるものは愛おしく、価値をもたらしてくれると思っている。きっと、次の場所がスタートできるのは、もしかしたら桜が咲くか散るかの頃になるかもしれないが(笑) 一つ一つ多くの希望が詰まった場所を、一歩一歩踏みしめて丁寧につくっていきたい。7年間続いたたにたやに感謝の意を表し、その時間を裏切ることのない最初の一歩を築いていきたい。そんな思いを胸に2022年が始まる。やってみたいことが沸々と湧いてくるそんな年明け。どうか楽しみにしていて欲しい ! 

画像8

思いの詰まったたにたやは、空っぽに。次のスタートまでトランクルームに。。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?