見出し画像

2020年の初めは

年末近く会った人たちが、同じことを言いう。「今年って"夏"あったっけ?」その中には、春も、秋ももちろん含まれていて。とにかく、季節が一括して通り過ぎていった感がある。"コロナ禍"とか"withコロナ"とか、ウィルスが全て一括にしてしまったような気がしている。2020年の幕開けは、オリンピックイヤーになるはずだったから多くの人が期待や、または鬱陶しさ入り混じるそんな思いがあったと思う。私はどちらでもなく、楽観的に楽しく元気に過ごしていければとしか考えてなかった。1月には、元たにたやの常連で不定期に手伝いに来てくれていた、佐藤麻里が上京して『食堂アルヒ』としてカフェ営業してくれたりと、一緒に前橋、赤城山の麓のゲストハウスに泊まりに行ったりと、なんだか普通に平和な年明けだった。今年が、まさかの展開になるとは思っていなかった。

画像1

流れが変わればいつものスタイルも変わる

今年の前半については、前回のnote にも書いているけれども、人間って逞しいとも思った。みんながみんなではないけれども、生きていくために考え方を変えていく。世の中が必要としていることをあっという間に供給できる体制にしていってマスクしかり、透明アクリル板から、フェイスシールドなど、入手困難な時期は本当に短くて済んだのではないかな。飲食業のたにたやは、休業しながらも慣れないテイクアウトを少しだけチャレンジしていったり、そこからはすごく学ぶことばかり。不謹慎にも "コロナのおかげ"を感じることが今年は多い。オンライン飲みはなんか味気なくて私は数回でやらなくなったけど、オンラインで"会う"ということは、一気に世界との距離が縮まったことでもあった。一人で不安になることは少なくて、不自由と思うことでも、その中で自分らしくできることを見出していったと思う。みんなもそうだったと思う。

画像2

前向きに折り合いをつけていくように

最初の時短要請が終わり、店の営業再開をしたのが6月。予約制で営業していくことにしたのは、よかったと思っている。一人でやっていくぶんには、なんとかなると思いながら、他の仕事とバランスを取りながら時折味覚が衰えないように可能な範囲で食べにいったりしていた。なんとなく外出することはなくなっていて、"ここに行く"という目的を持って行くようになっている。自分の店も、予約してくる人はきっとそういう気持ちで来てくれるのだから、コロナ前より料理はさらに成長しなくてはという思いに駆られた。食材の選び方やお酒とのマッチングも前以上に考えながら仕入れるようになっていった。どれも、社会情勢を意識しながら変わっていく流れに順応しつつの決断をしてく。

画像3

食を通して光の質を伝える                                                                                           

9月を過ぎると照明の仕事が佳境になっていて、これまで携わってきた内容を振り返る段階になっていた。実は、昨年からLEDメーカーの会社と仕事をしていて、光の質そのものを考えて業界の人たちに知ってもらうことを優先に動いていたのだ。それから、自分が得意ではなかった、一般の人の照明の使い方をアドバイスをするという仕事を受けてしまっていた(なんとも失礼な言い方だけど・・) 。普段、店営業をしている中でも、たまにお客さんに聞かれることはあったけど、これがとっても難しい。LEDメーカーとの仕事も、生活の中の照明アドバイスもずっと避けていて、それはなぜか ?  1. LEDの光が好きじゃなかったから。2.難しそうだから(実際、本当に難しい) 3.自然光も人工光も人の捉え方が千差万別、簡単そうなことが実は一番伝えるのが難しいから  以上が大きな理由かもしれない。しかしやっていくと、とても深くて大事なことだったことに気づかされ、光の進化を改めて突きつけられる。食と光の可能性を追求する為にもこの仕事は必要なことだったんだと。LEDについては技術が発達していて白熱灯にほぼ近い質になってきていることを自分のInstagramで先ずは伝えていきたいと思った。不定期に始めた【 Are you aware of the difference ? and, Which do you like better ? 美味しいものを、"本当に美味しいもの"にするための探究。】シリーズ。

12投稿し、現在ストックが3つほどある。レストランに許可をもらって、やってきたが、みんなすごく興味を持ってくれて、やはり光は食に対して重要な存在なんだと知ってもらい、手ごたえを感じた。そう、これがずっとやっていきたかったことなんだとチャンスが巡ってきて初めてわかる。LEDメーカーのプロジェクトは一旦終了したが、1年近くかけてやって来たことをこれから自分なりに形にしていくステップに入ろうと決めた。そして、一般の人たちに照明のアドバイスをしていくことも、LEDの質を伝えることと同じく重要なんだと感じて現在真っ只中で継続中。とにかく、ますます強く感じるのは、照明のことはインテリアの中で一番マイノリティなのだと。(よく"この国では照明と女性はマイノリティ"と言っていた気がする 笑)意味は、みんなの生活の中での優先順位だったり価値の中で低いということ。照明の仕事をやってきた私でさえ"難しい"と感じているのだから、当たり前かもしれない。デザインでは身近に感じていても、光の質や効果を知って使っている一般の人は少ないと思った。だから、親しみやすい食をテーマに伝えていこうと思ったのが、美味しいを本当に美味しいものにするための探求だ。光は、体感しないと伝わらないからリアルには、たにたやでも伝えていく。

これまでを見直し心新たに

今年の経験を本質的な視点で考えて、LIGHT & DISHES のウェブサイトを完全リニューアルすることにした。その中に、たにたやのサイトを統合することで、より光と食を近づけて考えていけると思い、こちらも絶賛構築中だ。コロナで実感したのは、生活を豊かにしてくれるものも生活必需品も、オンラインである程度ほぼ手に入ること。なのでリューアルしたサイトではECシッョプをもっと伝わりやすい内容にして充実させる予定。照明は体感しないと難しいのだけれども、できる限り伝わりやすくつくる。目標は2021年の3月ごろリニューアルオープン !                            

画像4

これまで必要とか重要だとか思っていたことがそうでなくなったり、今まで気づかなかった大切なことに気付いたりした、2020年。私自身、思い切って取捨選択したこともあったし、何よりも人の優しさ、温かさ、厳しさに支えられたと心から思っている。コロナはまだまだ収まる気配がないけど、それでもなんとかやってこれた2020年感謝を込めて、そして2021年をきれいに掃除した心持ちで迎えたいと思う。

2020の備忘録

画像5

・1月から新たにアルバイトの人が入ってくれた。コロナ禍かなり心強かった。ワインの知識と鮮魚の知識半端ない・・! ・ミーレのスチームクッカー導入、これが大活躍・ 2月に照明デザイナーのティノ・クワンがたにたやに来てくれた !  ・3月、実はオランダとドイツに行っていた(3/9帰国、これも諸々ギリギリ) 特にドイツでのことについては、これからしっかりと形にしてゆく・6月延期されていたオラファー・エリアソンの展覧会に行けた! 産経新聞の人にインタビューされて夕刊に載ってしまった、、。オラファー本人は結局一度もこれないまま閉幕 ・たにたやを完全予約制のスタイルにしたが、常連さんたちの変わらぬ温かさを感じた(泣) ・ 生ビールを止めてビールサーバーを無くし、ワインセラーを買った・毎週花を買って飾る習慣をつくった・築地と産直野菜のありがたさを知る・とても演色性の高い低色温度の食べ物が美味しく見えるLEDデモ機で実験始める                       

・コロナ禍にたにたや6周年 !                      

画像6


2021年のこと

画像7

・ずっと温めていた2020、3月のことを発信する・ウェブサイトリニューアル・たにたやの照明リノベーションを4月ごろ(目標) ・苦手なことをあと1つくらい克服する・積ん読を少しでも読破する・体調を整える努力・国内海外が少しでも行き来ができるように(願い)・旬の料理を追求する・やると決めたことは妥協しないで継続する(これが一番難しそう) ・・            

 ということで来年に期待と願いを込めて。あと数時間の2020年を静かに過ごそうと思う。 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?