アートか? ケンチクか?
タイトルに深い意味はない。アートはアート、ケンチクはケンチクである。そもそもどちらにも造詣が深くない私にそれを語ることはできない。
ということで、今回はアートが組み込まれた建築をピックアップしてみた。
名古屋市美術館(黒川紀章)
ジョナサン・ボロフスキーによる動く彫刻ハンマリングマン。名古屋市美術館はあまり好きな建築ではないのだが、サンクンガーデンを背景にして見るハンマリングマンは私のお気に入り。右上にはフライングマンも見える。
ディア・ビーコン
ディア・ビーコンは1展示室に1アーティストという贅沢な空間。ランドアート作品が有名なマイケル・ハイザーは、床に円錐、円柱、四角錐、四角柱の形を深く掘り込んでいる。移設は絶対不可能で、この部屋でしか鑑賞することができない。
ボストン美術館
歴史あるボストン美術館。クラシックなこの展示室では晩餐会の準備中であった。もちろん私が参加したわけではない。ちなみにこの時は常設展の他に、フリーダ・カーロ展とロートレック展も同時開催していた。さすがボストン美術館!
大塚国際美術館
ボストンでの晩餐会には参加できなかったが、このシスティーナ・ホールでの晩餐会には参加する機会があった。最高だった。(本物は見たことがない)
ユニテ・ダビタシオン(ル・コルビュジエ)
あ、これは建築ではなくピーター・ドイグの絵画だった。森越しに見せるという視点が面白い。こちらもまだ訪れたことがない。いつの日か...。
Voyage of the Moon(奈良美智)
これも建築ではなく作品そのままだが、奈良さんの作品好きなので載せてみた。
アロス・オーフス美術館
デンマークにある北欧で最大規模の現代美術館。その屋上に設置されたオラファー・エリアソンの「Your rainbow panorama」は見どころの一つ。虹色のガラスを通して見るオーフスの街が美しい。
ガラスの家(フィリップ・ジョンソン)
フィリップ・ジョンソンの自邸であるガラスの家。2014年に訪問した時、そのガラスの箱が霧で覆われていた。何だろう?と不思議に思ったが、霧の彫刻家 中谷芙二子によるインスタレーションであった。見られてラッキー。
ケ・ブランリ美術館(ジャン・ヌーヴェル)
国立のプリミティブ・アートの美術館。ジャン・ヌーヴェルらしい奇抜な建物だが、壁の一部にはご覧の通り植物が生い茂っている。これは植物アーティストのパトリック・ブランによる「生きた壁」。甲子園ではない。
豊田市美術館(谷口吉生)
赤・青・黄の三原色を使った幾何学的な抽象画で有名なピート・モンドリアン。その展覧会が豊田市美術館でも開催されたが、サインボードが格子状のファサードにピッタリだ。ラインが少しズレてしまったのが残念。
ケルン大聖堂
何度見てもその迫力に圧倒されて感動する。現代建築ばかり紹介している私だが、それらを含めても、私のお気に入りの建築ベスト3に入る。しかしこのゲルハルト・リヒターのステンドグラスはどうだろう? いいのか?
世田谷美術館(内井昭蔵)
世田谷美術館は初訪問だったが、まず建築が素晴らしい。そしてアイノとアルヴァ 二人のアアルト展。展示室には1939年のNY万博のフィンランド・パビリオンの一部が再現されていたが、これが見事に建築とマッチしていた。
カルティエ現代美術財団(ジャン・ヌーヴェル)
ガラスのイメージが強い建築だが、その建物は緑溢れる木々で囲まれている。ガラスと植物という組合せなのだ。それを演出したのはコンセプチュアル・アーティストのローター・バウムガルテン。エントランスもモリっとこの通り。
House N(藤本壮介)
「窓」をテーマとした芸術・建築作品の展覧会。国立近代美術館の広場にはHouse Nの外枠のモックアップが出現した。この中から見る青空が美しかった。
フォートワース現代美術館(安藤忠雄)
池越しに見るY字形の柱が有名な美術館。裏には高さ20mものリチャード・セラによる彫刻が立つ。素材はセラお得意の錆びたコールテン鋼(錆びさせた鉄)。安藤さんのガラスやコンクリートとの対比がポイントとなる。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(谷口吉生)
谷口建築らしい大きなアーチとシンプルな意匠。そのゲートプラザを彩るのは猪熊弦一郎の彫刻と壁画。この広場だけでも見る価値が充分にある!
フォンダシオン・ルイ・ヴィトン(フランク・ゲーリー)
ゲーリーらしさ全開のガラスファサードとしたウネウネ建築。その地下の通路にはオラファー・エリアソンによる回廊「Inside the horizon」が延びる。見る方向によって印象が異なる作品。
アーク・ノヴァ(アニッシュ・カプーア&磯崎新)
東日本大震災の復興支援を目的とした仮設の移動式コンサートホール。この2人の組合せも凄いが、造形はほとんどカプーアだろう。素材はポリエステルのテントで、空気を送り込んで膨らませている。
ナショナル・ギャラリー・ワシントン東館(イオ・ミン・ペイ)
ペイが得意とするアトリウムに浮かぶアレクサンダー・カルダーの動く彫刻「Mobile」。"この建築にしてこの作品あり"というほど相性が良く、また居心地の良い空間でもあった。
ルイジアナ近代美術館
絵画のように美しい風景をバックにアルベルト・ジャコメッティの彫刻が浮かび上がる。展示室と彫刻が相まって一つの作品とも言える。この美術館の白眉だ。
アートと建築。本来その相性は悪くないはずだ。
さらに最近はアーティストが建築をすることもある。あるいは建築家がアートっぽい作品をつくることもある。まあそれについては賛否両論あって、私も「?」と思うこともあるが、今後はその境界も曖昧になっていくかもしれない。
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