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水辺の空間とバワの建築

大学の教え子がスリランカに行くという。熱心な学生でオープンデスクにも来たいと。それならば…と、インターンの最終日に3月に訪れたスリランカの写真を見せるプチレクチャーをすることに。

建築家 ジェフリー・バワの作品を巡ることを主目的としたツアーに参加したのが3月上旬のこと。それからずっと、整理せねばと思いつつ4000枚近く撮影した写真はそのままになっていたけれど、ここで一念発起。1/10くらいに絞り込んだ。事務所のスタッフにもゆっくり見せたいと思っていたので、良い機会だった。

あらためて写真を見返しながら、旅に参加した理由を思い返していた。まず最初に、実はバワの建築に対して、懐疑的なイメージを持っていたことを告白せねばならない。RC造のシンプルな架構に木造の屋根が載っている建築、古い材料を再利用したり、アンティークをインテリアに置いていたり… 限られた写真で、その断片しか知らなかった自分には、懐古趣味的でかなりローカルなものに見えていたのだ。ところが、実際にバワ建築を訪れた人は異口同音にその良さを語る。それがずっと気になっていた。だから3月の旅は、その真相を突き止めようと言うところから始まったのだった。海洋建築工学科という珍しい学科を卒業して、海辺の建築も手掛けている自分にとっては、多く残るバワ設計による海辺のリゾートホテルを見極めたいとも思っていた。

思いのほか長いフライトを経て、空港近くのバワ作品である「ジェットウィング・ラグーン」に到着したのは夜遅く。体感した初めてのバワ建築は、事前に自分が感じていたことなど瞬間的に忘れさせてくれた。あくまでも自然に、心地よい風が抜け、浮かぶ満月までをも味方につけて。

それからは、ひたすらに訪れる場で建築計画の文脈を読み、心地よさに繋げて行く秘訣を少しでも感じ取ろうとする時間が連続していった。それをそれぞれ書いていくとかなりの長文になってしまうので、別の機会に委ねるけれども。

世界で最初のインフィニティプールを作った建築家、として紹介されることも多いバワ。実はそれだけではなく水の扱いに関してはかなり積極的であり、たとえばこの写真のように、半外部的な空間に積極的に水面を作る手法を展開している。自然の海、泳ぐためのプール、水景を作るための池。これらを連続的につなげていくことで、海の存在はより強く意識され、人の居場所との距離感を縮める。

大学時代から学科の特徴もあって海辺(水辺)の建築を考え、そのせいか、街中の住宅でも水を導入して考えることもある自分にとって、建築と自然を結ぶための手段としての有効性をあらためて感じ取れる時間でもあった。

一つ一つの建築についても書いていきたいし、バワの建築の計画的な手法はほかにも特徴的なことが色々とあるけれども、それはじっくりと時間があるときに譲って、今日は水辺の空間への思いを再認識したこと。それから、海を望む場所(住居、別荘、ホテル、レストラン、ヨットハウス…)の空間づくりをやってみたいと常に思っていることを、バワの建築が呼び覚ましてくれた感覚があることを告白して、ここでのモノローグは締めたいと思う。

撮影:廣部剛司(写真は全て)





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