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サッカー観を変えてくれたイタリアの英雄

小学1年生から高校3年生までの12年間をサッカーに打ち込んだ27歳・谷口と申します。ポジションは、後にやりがいを感じますが、はじめ不本意だったディフェンス。そんな僕が憧れていた選手は、元イタリア代表『ファビオ・カンナヴァーロ』。サッカー選手最大の栄誉「バロンドール」をディフェンダーとして唯一受賞した選手で、だれが何と言おうと史上最高のディフェンダーだと思っています。そんな彼のおかげで、僕はディフェンスというポジションに誇りを持つことができました。

フォワードに引け目を感じた10代前半

サッカーを始めるとき、誰しもがゴールを決める姿に憧れを持って、フォワードをはじめとした「攻撃」の花形ポジションにつきたいものです。僕ももちろんそうでした。しかし、最初に監督から言い渡されたポジションは、なんとセンターバック…。理由は聞いていませんが、おそらくフォワードに必要な足の速さがなかったうえ、ボールタッチが下手だったからでしょう。

中学生くらいからディフェンスの本格的な指導を受け始めましたが、地味な動きの反復でモチベーションが全然あがりません。その一方で攻撃陣は、シュート練習ばっかりで楽しそうでした…。さらにちょうどこの頃に2002年の日韓ワールドカップが開幕。日本の初戦・ベルギー戦でフォワードの鈴木隆行が決めた時のサポーターの盛り上がりを見て「やっぱりフォワードはいいな~」と思いました。思春期だったこともあり「モテるんだろうな~」と羨ましくも(笑)。

ディフェンダーの楽しさを教えてくれた「カンナヴァーロ」

それ以降、日韓ワールドカップやゲーム「ウイニングイレブン」の影響で、海外サッカーをチェックするように。今のポジションが今後変わることはないだろうと諦めていたので、守備を重視した戦術を使っていたイタリアのサッカーを研究しようと思いました。その頃はマルディーニ、カンナヴァーロ、ネスタ、マテラッツィなどの守備職人がたくさん活躍。その中でも僕の目に留まったのが、体格のいい選手に負けず劣らずセンスあるプレイで一躍注目を集めいていた身長175cmのカンナヴァーロでした。彼のプレイからディフェンダーのイロハを学び、相手からボールを奪う楽しさや優越感、チームの支柱として貢献できるやりがいを感じるようになりました。

カンナヴァーロのハンパないサッカーセンス3選

① 危機察知能力や相手の行動を読む力が優れている。
決定的なパスが出たと思ったら、いつもその先にカンナヴァーロがいたり、相手のパスコースを読んでボールを奪ったり、退場しない程度にファウルをして相手チームのいい流れを止めたり…。相手が考えていることを読んで、2手・3手先の戦況を読んでいるんだと感じました。

今でも覚えているのが、イタリアが優勝を果たした2006年ドイツワールドカップの準決勝(ドイツ戦)の、試合終了間際のこと。1-0でイタリアが勝っていたので、ドイツが前掛かりで攻めていた時に、カンナヴァーロがパスコースを読んでボールを奪取し、味方チームのデルピエロにパスを出して追加点を上げた一連のシーンに鳥肌が立ちました。デルピエロのシュートシーン(デルピエロゾーン)についても解説したいくらいですが割愛。そのゴールのおかげで2-0となって相手の心を折り、勝利を確信させたのです。守りきるのではなく、勝利のために相手の心を挫くことを考えるなど、ディフェンダーには頭脳プレイも大事だと感じた瞬間でした。

② ポジショニングが的確。
突出して身体能力が高いわけではありませんが、ポジショニングが的確なのでボール奪取能力が高いのです。わざとパスコースを空けて、そのコースにボールが来るタイミングで動き出してパスカット。常に首を振って、相手や味方の位置を確認しているからこその技。リプレイなどで注目すると、首の振る量が尋常じゃなく多いことが分かります。
また1対1でも強く、その理由は相手とのポジショニングがよいため。相手からすると、何をしてもボールを取られそうなイメージが芽生えて、パスをするしかなくなったり、ミスをしたりしてしまうんです。強引にドリブル突破しようとしても、パスカットと同様に動きを誘導したり読んだりして、フィジカルに頼らずにボールを奪取してしまうのです。

③ 競り合いに負けない。
先に述べてきましたが、カンナヴァーロの身長は175cm。サッカー選手としては低いながらも、自分より10cm以上も高い相手との競り合い(ヘディング)に「負けない」のです。もちろん勝てればよいですが、フィジカル的にもポジショニング的にも厳しい時がどうしてもあります。そういう時に、無理に勝とうとするとファールになってしまうことも。要は、相手のタイミングをずらして自由にさせない「負けない」ことの大切さを学びました。

現在の選手でカンナヴァーロに近いのは、オランダ代表のファン・ダイクでないでしょうか。身長は193cmとカンナヴァーロに比べてフィジカル的に優位にありながら、フィジカルに頼らず堅実にプレイする姿は、カンナヴァーロを彷彿とさせるセンスを感じます。

僕の世代だと、ベッカムやジダン、ロナウジーニョなど、華やかな選手がいるチームが好きな人が多く…。イタリアファンがほとんどいないので、イタリアサッカー談義ができる人がいれば語り合いたいと、この文章を書きながらに思いました。ブッフォン、ピルロ、ガットゥーゾなど、まだまだ語りたい選手はたくさんいます!


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