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静かな湖畔の森の影から

爽やかな朝、朝食を軽く済ませて外に出る。
 
小雨が降ってきた。
冷たい凛とした空気の中にいるのも気持ちがいい時がある。
雨に濡れるクイーンズタウンの街で、傘をさす君とすれ違った気がした。
 
虹はまだ消えてないだろうか、そんなことは無いよな。
 
クイーンズタウンに居ても特にすることもないから、時間があれば山に登っていた。
 
僕は雨に濡れないように、パーカーのフードを頭に被ってシドニーでこの旅の為に新しく買ったスーパードライのジャケットのチャックを一番上まで締めた。
 
クイーンズタウンの秋は深まる。
 
レイクワナカの湖畔にも大きな手の置物とかいろんなアート作品があって、湖の桟橋には小さな船がいくつか浮かんでいた。
 
湖畔を歩いていると毒が有りそうなキノコを見つけた。
 
落ち葉は今日も濡れ落ちて、いずれ土に帰っていく。
 
湖上ではカヌーを漕いでいる人がいて、遠くの山に晴れ間が射しているのが見えた。
歩いてきた道をまた歩いて帰る。
これを繰り返して、旅を続けている。
もう二度と通らない道ばかりだ。
 
とてもよく晴れたある日。
ワカティプ湖畔に歩きに行ったら「フリーマーケット」が開催されていた。
絵を描く老人が、これまた画になる。
 
クイーンズタウンの山に登ることにした。
 
僕が泊っているバッパーはあそこで、あの人気で美味しいハンバーガー屋、「ファーグバーガー」はあそこだ。
 
クイーンズタウン最後の夜、バンドの演奏が鳴ると楽しくなる。
ビールを片手にアフロのウィッグ被って変な顔して踊っている男が僕だ。

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