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氷河

クイーンズタウン、ミルフォードサウンドを経て、ついに僕はアランが働いていた街、フランツジョセフに氷河を観に行くことにした。
「氷河」、俺を歩かせるのはこの響きだけで十分だった。
 
ネイキッドバスに乗って移動って言うか、それ自体がもう景色を見るアトラクションって感じ。
途中レイクハウェアを高い丘から見渡した。
この湖も透き通るくらい綺麗だった。
 
フランツジョセフの氷河国立公園に入ってからも肝心の氷河までが遠くて困った。
だんだん日が暮れかけてきてて、下手をすると帰る頃には夜になっちまう。
それはちょっといくら何でも怖すぎる。
あぁ。
でも、俺は氷河を観に行く!
 
息を切らして小走りでかけてくと、氷河が目の前に現れてきた。
 
生まれて初めて見る氷河に感動して、その勢いのまま思いっきり走ってルックアウトを目指した。
 
氷河は落ちてくる程近くにはこの時はなくて、ルックアウトからちょっと離れた所にあったよ。
この目で見られた事に大感動で、もっとそれに浸ってたかったんだけれど、もう時間がマジでやばい。
ここで日が暮れたら真っ暗闇の中、石ころだらけの道をなんの明かりもない状態で帰る羽目になる。
それはマジでやばい。
 
遠くの空は夕日が沈んでいく色をしている。
 
俺以外誰も居ない森の中、いやいや誰かいたらもっと怖い。
 
とにかく街灯がない山道は歩いちゃダメだ。
たまに後ろを振り返ったりする、真っ暗なだけで誰もいない。
動物も出て来なくて、安全なのはわかっているんだけどやっぱり怖い。
 
周りには何もなくて、道の隣を流れる川の「ゴオォォ」って暗く深い音だけが聞こえる。
もう誰にも会えないんじゃないのかなって気になってくる。

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