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英国を北上して行く男

僕の旅に少しでも共感してくれていた人はいたのだろうか。
わからないまま時は流れて、そいつはただ時間だけが教えてくれる。

どこに行くかもわからないまま夢の中を生きるように列車の中から外を眺めていた。
オーストラリアにいた頃に描いた未来の上をなぞっている。
ロンドンを少し離れるともう街は遠く、窓の外は牧場の様な景色が続く。
これがロンドン郊外なのか、東京の郊外のように所狭しと家が並んでるわけじゃなかったんだ。

そして、僕はバーミンガム駅に降り立った。
外では小さな雨が降っていた。

小雨で冷え切った体を運んで、線路脇の錆びれたバッパーにチェックインをして、最上階にある食堂から雨に濡れた街をみた。

バーミンガムのそっけない街並み、灰色に曇った空を見上げながら中心地まで戻ってみた。

街の中心を流れる運河をみて勝手に感動していた。
運河を横切るボート。
近くのベンチでのんびりと何か考え事でもしてそうなおっさん。

街を歩いている時、今までの事やこれからの事に考えを巡らす。
僕はわかっている様で、何にも掴めていなかった。
歩いてきた道のりも、巻き上げた砂埃も、風に吹かれて消えて行ってしまう。

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