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夕凪テンダネス、星屑ロンリネス

しばらくこの街にいた。

その間にモンテネグロに行ったり、首都ティラナに行ったりした。

住み込みで働いてたから宿代は勿論ただ。
食費もスーパーで買って簡単な自炊をしていたし、物価も安いからのんびりできた。

モスクの横に屋上に上がれるカフェがあって、ゆったりしたイスと、パラソルとかがあるんだけど、そこでコーヒー頼んでオランダで買ったノート開いて本のプロットを何か適当に書いてたりした。
本にする為にどうするか。
そしてどういう風に売り出すか。
そんなこと。
この旅をパート毎にまとめて、本にしたい。
どうやってかなんてこの頃わからなかったし、出来るのかもわからなかった。
イメージ先行型、取り組む前に一応大まかな流れだけ整えてた。
それの延長が今この文字を打ってる一文字一文字なんだ。

アムステルダムで買った黒いナイキのスニーカーと、髭のついた臭いジーパン。

全然かっこよくないんだけど気落ちだけは満たされていた。

次の街はプリズレン、コソボって国を通ってマセドニアに行くことにしていた。
日記帳を広げながらだいたいの旅程をイメージする。

いつかこれを書こうとしていたけど、いつ始めたらいいかわからなくて文章は一行も書けていなかった。
それでも雨でどこにも行く事が出来なかった日は、適当に掃除を終わらせた後にコーヒーを淹れてリビングの大きな机でノートを広げて構想だけは練っていた。
絵をかいて、地図を書いて、行った都市、行った国を順番にえんぴつで書いてたりしていた。
積み重ねってのはすごいね、いつの間にかたくさんの国、たくさんの都市を旅していた。
雨の日の楽しみ方が増えた。
本も読むし、自分の足跡追ってみたりもした。
本当はこれを書き始めたかったんだと思う。
でも方法がわからなかった。
何かきっかけが必要だった。

アドリア海を眺めてる。
空も嘘みたいに青い。
水平線の向こうはイタリア。

空の色も、海の色も変わってくる。
変わらないものなんかない、刻々と変わっていく。

夕日が真っ赤に燃えて海に沈んでいく。

夕日が海に沈んでいった。
みんな安心して歩き出す。
これが世界で一番美しい時間帯。
空がだんだん静かになって夜が来る。

遠く空が真っ赤に燃えてくる。
月はまだぼやけて俺の頭の後ろで出てた。
港の街灯もまだついていて、うっすら朝が近寄ってくる。
いつの間にか出てた飛行機雲。
月はまだそこにある。

これから行く国では何が起こるんだろう。
コソボ、この街ではオーストラリアのパースで出会ったチャリダーのりょう君と偶然落ち合うことになっていた。
りょう君は上海からポルトガルまで自転車で旅をしているいかつい男だ。

ティラナから人をたくさん乗っけたのか、バスが混んできた。
胸はずっと躍らせてたまんま次の国へ向かう。

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