チャオ西ヨーロッパ、チャオ東ヨーロッパ
サムが迎えに来てくれて、駅の逆側に連れってってくれた。
それからだ、街はずれの小高い丘にあるサントゥアリオデッラマドンナディサンルーカって所にサムと、やんちゃなサムの友達と遊びに行った。
空が曇ってて、ここからならボローニャの街が綺麗に見えるはずなのに霞んでらぁ。
それからまた車で移動して、何もすることがないようだし俺もボローニャの街はもう満喫してたから公園に行ってバスケットボールして遊んだ。
バスケの後、何人かサムの友達も合流して、街はずれのサムの友達の家まで行くことになった。
イタリアでの初めてバーベキューに参加。
それからサムの家の近くの古びた建物の駐車場にみんなで集まった。
俺は明日は早くないしこんなに旅の間だらだらすることもなかったから適当に誰かと話して時間が来るのを待った。
こうして思い返してみたりすると不思議なんだ。
今まで生きてきてて一瞬でも思い返したことなんてなかったなってことが、ふっと頭を過ることがある。
こんな時間ももう一生に一度の事なんだろなって気がする。
時間だけが過ぎてる感覚ってあるんだ。
いつかの夢を過ごしたんだ。
朝食をサムの家族と一緒に食べるって言う中々シュールな旅の風景を過ごした後、僕は教えてもらった通りバスに乗り、とにかくボローニャの中心の駅に向かった。
ここからイタリアの港町アンコーナという街まで移動する。
列車の発車時刻までは余裕がある。
錆びれた方のホームで待つ。
アンコーナはイタリアをブーツに例えたら、ちょうど脹脛の辺りにある港町。
そこからアドリア海を抜けて東ヨーロッパのアルバニアという国のドゥラスという、これまた港町へと向かう。
何でもいい、東ヨーロッパへ渡るきっかけが欲しかった。
この日僕がヨーロッパに入ってちょうど90日目を迎えていた。
旅程は完璧、天気も最高。
電車に揺られていると、海が見えてきた。
アドリア海は青いって聞いていたけど、本当かな。
アンコーナに着いて電車の顔を見てびっくりだ。
こいつも落書きされている。
僕の乗る船が出向するのは今日の夜。
それまで十分時間がある。
のんびり街でも歩きながら絶対に乗り遅れないようにしておこう。
しばらく風に吹かれながら歩くとフェリーターミナルが見えてきた。
まだ早すぎたのかがらんとしてる。
いい具合にくたびれてる町だ。
旅に出ると感傷に浸ることが多いんだけど、ここも感慨深かったな。
西ヨーロッパの旅を終えるのがアドリア海だなんて粋じゃんか。
夜の影が街のホコリを隠してるのかもしれない。
群青色の空の下、ヘッドライト付けだす車の群れ達。
港の明かりを見つめてるおっさんの後姿を見てた俺。
アドリア海の上、夕暮れももう沈んだ。
イタリア、そして西ヨーロッパ。
働いたり、遊んだり、いろいろして年越して、生活に慣れてきて、フランスにも行ったし、快適に暮らしてた。
明日からは新しい朝。
また全部が変わる。
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