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少年ギター外伝/マキシ_8

あれ、今日、何日だっけ、何曜日?

あんた、ばっかじゃない? 時計ないの? 手帳とか、カレンダーとかもってないの?
ない、持ってない、こっち来てから、2〜3日だけど、4〜5日いるような気もするし。
本当に日付の感覚を失っている、少年ギターは思った、あれ?マキシに会ったのはおととい?昨日?

空を見上げる三日月が今にも消えそうな透明な形で南中する太陽を追いかけている。

あそこに人がいるんだ。すごいな、ぼんやり月着陸船のことを思っている。

「全てGO! すべてGO!、イーグル、すべてGO!、ピッ! 聞こえますか? こちらヒューストン、トランキリティベース(静かの海)応答せよ! ピッ! ザガー、ザザー!」

そんな驚きの通信が頭の中を反復する、

何ぼんやりしているの!今日は7月20日の日曜日! 『 July 20th Sunday Noon ! it’s NineteenSixtynine! Are you all right? You? Kidding me?』

なんか、英語でまくしたてられてびっくりしているとすくっと立ち上がった怒りっぽい女の子は、はあ、お腹すいた、と呟き、目を閉じてあたりの空気を嗅いでいる、そして風上の方を指差し、

なんか、いい匂いがする。あっち!

そう言って、少年のシャツの後ろ襟を掴み上げ立たせて、荷物を背負って歩き出す。少年はギターケースと荷物を背負いあとを追う。

気持ちよく川が音を立てて堰を越える、そのそばに古い水車小屋、

そして広い休耕田に駐車場として十数台の車とテント、食事を作る焚き火が狼煙を上げている。

その中でも、賑やかに騒いでいる軽自動車のそばでソーセージを焼いている派手な人たちがいる。

さっき、脱輪を助けた軽自動車のバン、うなぎ弥栄の人たち。ザ・カーマインタイガースだったっけ?考えていると。ビーバーが小走りで近づいてゆく、

わあ〜、いい香り!おいしそ〜!私たちも参加していいですか〜?朝から乾パンかじっただけで、もう死にそう何です!

わお、さっきクルマ押してくれた彼女と少年じゃん!食べて食べて、

コーラとファンタとプラッシーあるけど飲んで飲んで!

ちょっと焼き過ぎっちゃったけどちゃんと氷で冷やして持ってきたから大丈夫おいしいよ、こっちに食パンもあるから挟んで食べて食べて!

育ちのいいグラデーションのサングラスのお兄さんがとても親切に仲間に入れてくれた。

初めて飲んだ、コカコーラ。ひとくちめはうっとむせた、甘くて不思議な香りで外国の飲み物だった。


(つづく)20220514

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