【北海道】ワイルドすぎる温泉「熊の湯」で朝風呂に入る
今回は1月末に訪れた羅臼にある「熊の湯」をご紹介する。
知床の大自然に存在する露天風呂は最高だったのでその様子をお届けできればと思う。
地元民との裸の付き合いの難しさ
前回ご紹介した「いさみ寿し」での食事後、セイコーマートでサッポロクラシックを買って宿に戻った直後に「そういえば熊の湯を忘れていたな」と思い出したのでビールを飲む前に車で行ってみる事にした。
20時頃に出発して知床峠方面を目指す。
雪もなかなか強く、慎重に運転しながら10分くらいで「熊の湯」の駐車場に到着した。
「天気も悪いし誰もいないだろう」と高を括っていたが知床ナンバーが6台ずらりと駐車されていて観光客っぽい車は1台も無い。
旅先では分け隔てなく色んな人と交流できる自分でも「1つの湯船で観光客1人対地元民6人の裸の付き合いは流石にキツイのでは?」と思いながらも大雪のなか車を降りる。
勇気を出して橋を渡り、お風呂の近くまで行くとおじちゃん達が談笑する声が聞こえる。
いや、この状況で観光客が1人しれっと「こんばんは~寒いですね~」なんて言いながら風呂に入るのは流石にしんどい。
お風呂の近くで10秒くらい考えて一旦車まで戻る。
「6台が3台に減ったら入りに行こう」と決意し車内待機開始。
5分、10分、15分。
外は大雪で風も強い。
お風呂は露天で更衣室は小さい小屋。
しかし地元の方々は大雪なんてお構いなしにお風呂を楽しんでる。強し。
「この大雪で凄いな」なんて感心していたらまた1台の車が来て人数が増えてしまった。減るのを待っていた結果、増えてしまったのである。
この時点で21時近くなっていたので一旦宿に戻る事にした。
地元の方が嫌いとか言うわけではなく、1人で地元の人しかいない風呂に裸一貫で乗り込むのはかなり勇気がいることであるというのをご理解頂きたい。
ビールを我慢しながら写真をいじりつつ、22時半頃になったので再度行ってみることにした。
先ほどより雪が酷く時々ホワイトアウトしながら熊の湯を目指す。
「さっき勇気を出して入っておけば……」なんて思いながらノロノロ運転で先ほどの駐車場に到着。
「1台も車がいないぞ!独り占めだ!」なんて思いながら意気揚々と車を降りると駐車場から見えるはずのお風呂が大雪で全く見えない。
対岸に渡る橋も横殴りの雪が吹き付けていて渡りきる前に雪に埋もれるのでは?というくらいだ。
また車内に戻って一旦考える。
「大雪の風呂に入る経験も良いが知床の自然を舐めたら死ぬ可能性もある。」「だけど入りたい。今しか経験できないぞ」なんて自分の中で天使と悪魔が囁く。
ふと顔を上げて道を見渡すと完全にホワイトアウトして羅臼方面は全く先が見えないのである。その時に頭によぎったのが「マジで死ぬ予感しかしない」という思いだ。「あれだけいた地元の方がもういないっていう事は風呂に入るには適さない環境」という事に気付き、泣く泣くホテルに戻ることにした。
結局ガソリンを無駄にして精神をすり減らしただけであった。
その晩の風呂上がりのビールが沁みた。
熊の湯一番風呂チャレンジ
翌朝、6時頃起きて熊の湯リベンジをすることに。
昨晩の雪の積もり具合はこんな感じ。
やはり無理して風呂に入らなくて良かったなと感じた。
朝も雪は降っていたが昨晩ほどでもなく直ぐに車に飛び乗って知床峠方面へ向かう。
車を走らせるうちにまた天気が悪くなり始めて次第に雪が強まってきた。
知床の自然の厳しさを痛感したと共に「少しの時間差でこれだけ天気が変わるのか」と自然に対する一種の恐怖を覚えた。
まだ誰もいない道路を走り昨晩の駐車場に到着。
平日の朝だからかもしれないが駐車場には1台もいなかった。
もしかしたら1番風呂かもしれないと期待しながら橋を渡る。
昨晩の降り積もった雪に足が埋まりながら男湯の脱衣所に到着。
男湯と女湯にしっかり分かれており、女湯の方は囲いで外からは見えない様になっているので安心だろう。
脱衣所に入り着こんでいた防寒着を脱ぐ。
朝一番の知床の寒さが体を襲う。
足元も雪が少しあってかなり寒い。
寄付金箱に維持してくださる地元の方への感謝も込めてお金を入れいざお風呂へ。
脱衣所を出た瞬間に強風が吹き付けていて体がさらに冷える。
何より足が冷たすぎて全裸で冷凍庫に入れられているかの様だ(もちろんその様な経験は無いが)
体を急いで綺麗にしていざ念願のお風呂へ。
マイナスの気温の中で冷えた体が一気に温まっていく。
事前にかなりお湯が熱いと聞いていたが熱めの方が好きな自分にはちょうど良かった。
体の芯から温まるというのはまさにこれである。至高。
全身でお湯につかり、熱くなったら外気で身体を冷ましてまたお風呂で温まるというのを繰り返しながら貸切の熊の湯を満喫する。
身体は温まるのだが次第に風が強くなってきて髪の毛が凍り始めてきた。
視界も悪くなってきて流石に前日の夜の様な二の舞は嫌なのでお風呂から出て宿に戻る事にした。
湯船から上がって一気に気温差を感じたが、不思議な事に身体が冷えることなくポカポカ暖かいままだった。
お風呂の周辺はすっかり天気が悪くなってしまったので急いで羅臼方面に戻ると街中は普通の天気に戻っていた。知床の天気は読むのが難しいなあなんて思いながら宿に戻ったのである。
まとめ
今回は羅臼にある「熊の湯」をご紹介した。
知床峠に向かう道中にあるので観光シーズンは混み合うと思うので時間に余裕がある方は朝風呂で静かな中入るか、真夜中に来て星空を眺めるのも良いかと思う。
あと知床全域に言えることだがヒグマには気を付けて欲しい。
過去には目撃情報が出て閉鎖になっている事もあるので、人気が無い時間帯に行く際には万が一の場合も考えて行動して頂きたい。
*下記は2020年夏のお知らせです。
あと最後に1つ。
脱衣所に募金箱があるが「募金」と銘打っているのでお金を入れない方もいるかもしれないが是非お金を入れて利用して頂きたい。
1人の旅行者の私が指示を出すような書き方は烏滸がましいが、地元の方たちが貴重な観光資源の1つとして整備をしながら温泉を維持している。
温泉の維持費、清掃道具、脱衣所の整備、熊の湯までのガソリン代などなど費用面でかなり地元の方の負担になるのは行かなくても想像できるだろう。
もし行くことがあれば、地元の皆様への感謝と、観光資源としてこの先来る旅行者に残していけるように再度にはなるが是非お金を入れて頂きたい。
北海道を愛する私からのお願いです。
終
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