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都市にある自然環境を見つけ、散歩することの効果

さて突然ですがクイズです。
次の写真の場所はどこにあるか分かりますか?

田畑のような景色や、鬱蒼とした森、水鳥が佇む水辺などがここには存在しています。



が、この水辺、引いて見てみると・・・



森の後ろからビルが現れた!!!

なにやらビルがそびえ立っています。

そうです、ここは新橋駅から徒歩圏内にある「浜離宮庭園」なのです。


浜離宮のルーツを調べると、水戸藩主につながった

浜離宮は、1654年徳川4代将軍家綱の弟、松平綱重が海を埋め立てて建てた浜屋敷と呼ばれる別邸がルーツ。

その後、綱重の子どもの綱豊(家宜)が6代目将軍となり、この屋敷が将軍家の別邸「浜御殿」と改められ、11代将軍家斉(いえなり)のときに、ほぼ現在の姿の庭園となったそうです。

この家斉は53人の子女がいたそうで、その1人峰姫(みねひめ)は、水戸藩主・徳川斉脩(なりのぶ)に嫁ぎます。
斉脩は、以前散歩した「水戸弘道館」(下記参照)を設立した徳川斉昭の兄にあたります。
斉脩の死去に際し、水戸藩は跡継ぎをどうするか揉めたのですが、最終的に峰姫が斉昭の養母となり、斉昭が後を継ぐ後押しをしたようです。

浜離宮を散歩する前は、こういったつながりは正直よく知らなかったのですが、散歩した後で調べると色々つながることがあり、こういったところも散歩の面白さです。

「借景」をキーワードに、カナダの庭園につながった

日本庭園の設計手法の1つに「借景」(しゃっけい)というものがあります。

庭園外の自然景観や建築物を取り込むことで、庭園の広がりや美しさを増す技法なのですが、ここ浜離宮は長い年月で育った木々が生い茂る環境でありつつ、観る場所によってはビル群を「借景」としており、それはそれで不思議な景観をつくっています。

汐留のビル群を借景にした庭園

この借景というキーワードで思い出し、観てみた積ん録(録画したまま放置しているTV番組)がBS世界のドキュメンタリー「庭師ロイ・スミの借景」。

こちら、太平洋戦争前後に「敵国人」として元々住んでいた地域を追われた日系カナダ人の歴史と絡めつつ、その日系カナダ人の1人であったロイ・スミ氏の関わった庭園を紹介していくもの。

この中で、スミ氏が造園した「新渡戸記念庭園」と、それに関わる人物も出てきます。
(これまたカナダにそんな日本庭園があるなんて、全く知らなかったのですが、何がキッカケでインプットが広がるか分からないものです)

その1人、ブリティッシュコロンビア大学の学長もつとめたサンタ・オノ氏は「生命学者」ということで、大学のキャンパス内にある新渡戸記念庭園がもたらす効果についてコメントしています。

身近な自然環境が、オフィスワーカーのリフレッシュ空間となる

オノ氏いわく、庭園には「心を落ち着かせる」効果があると。
その要因に「木々がもたらす良質な空気」もあると述べています。

ここで話は浜離宮に戻ります。

浜離宮は前出の通り、近隣にビル群・さらには首都高なども存在する、客観的には「空気が良くなさそうな場所」です。

ではあるものの、実際にうっそうとした林の中を歩いてみると、新鮮な空気がもたらされる気がします(感覚的な話で恐縮なのですが)。

そしてこれは、日ごろ仕事で頭を酷使するオフィスワーカーにとって、良いリフレッシュになるなと。

実際、知的生産の専門家である野口悠紀雄氏も、公園を散歩すると「うまい考えが出てくる」と述べています。

「環境のわずかの変化」を実現する手段として、「歩く」ことは、特別有効です。仕事がゆきづまったときに公園を散歩すると、うまい考えが出てきます。散歩は、「疲れ休め」という消極的なものではなく、積極的な活動です。

歩いていると、想念がふと浮かんできたり、また消えたりします。ふと浮かぶのは、目前のものとは無関係なことが多くあります。「控えの間」にいた観念が、浮上するのでしょう。

出典:https://the21.php.co.jp/detail/6873?p=1

多くのオフィスワーカーが周辺にいるであろう浜離宮ですが、昼休み時間帯に行ってみたところ、オフィスワーカーらしき人は多くなく、外国人観光者が多く目につきました。

まあ、今は酷暑ですし、そもそも庭園は有料。
そんなこともあってわざわざ散歩に来る人が少ないものと思われます。

しかしなんと、浜離宮の年間パスポートは1,200円!
これを持っておけば、10日行けば1回あたり120円です。缶コーヒーの値段でリフレッシュできるのであれば、リーズナブルだなあと思いました。

浜離宮に限らず、東京23区内にもこういった自然環境が実は点在しています。

私のnote、最初の記事として残っている明治神宮もその1つ。

オフィスワーカーの皆さんは、ぜひ自分の勤務先の周辺に、こういった環境が無いか調べてみて、日常に散歩を取り入れてみてはいかがでしょうか?

ということで、今回は以上です。
どなたかの参考になりましたら幸いです!

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