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江戸時代の学校を歩き、現代の「生涯学習」について考えてみる

我が家にもやっと新札がやって来ました!
新札というと渋沢栄一。
そんな渋沢栄一が仕えたのが、徳川慶喜。
そんな徳川慶喜のルーツが水戸。

そんな水戸の、駅から徒歩圏内に「弘道館」という当時から残る建物があるのですが、先日茨城県に行く用事があったため、弘道館にも行ってみました。

弘道館・正庁

弘道館とは1841年に徳川斉昭(徳川慶喜の父親)によって設立され、水戸藩士の教育を目的とした学問所です。

いまで言えば大学のような機関でしょうか。
10.5haの敷地に学習する場もあれば、武芸の稽古をする場もあったようで、試験や儀式の会場としても使われていた「正庁」などいくつかの建物は当時のまま現存しています。

弘道館だった敷地の図
朱色で塗られた建物が当時から現存している

今回は、そんな弘道館を歩いてみて感じたことを書いてみます。


夏涼しく、冬寒い!? 気持ちの良い建物内を歩く

ここ最近危険な暑さが続いてましたが、この日も暑かった。
ですが、弘道館は四方の障子が開け放たれており、とても風通し良く、涼しく感じました。

畳敷きの廊下を進む
緑が眺められ気持ちいい

受付のおばさまに「涼しいですね」と感想を述べたら、「反面冬はメチャクチャ寒いんですよ」とのこと笑 そりゃこんなに開け放っていたらそうだよね。

ところで、こちらの建物、渋沢栄一が主役の大河ドラマ『青天を衝け』のロケでも使われており、改めてNHKオンデマンドで見てみると、確かに竹中直人さん演じる徳川斉昭が、青年時代の徳川慶喜にあれこれ指導するシーンで出てました。

徳川斉昭肖像画
リアルタイムで大河ドラマ見てた当時も
「斉昭と竹中さんソックリ!」と思ったものですw
出典:水戸市ホームページ

畳敷きの廊下から、各部屋に入ることができるのですが、入り口の障子戸は身長170cm台前半の私の身長でも、ギリギリぶつからないかなー、という感じの高さ。200年近く時代が変わると、ヒトの体格も相当変わるんだなーと感じます。

徳川慶喜が学び、謹慎した場所も現存している

建物の随所に資料も展示されています。

渋沢栄一に関する展示もあり、説明書きには「2024年7月、新たな1万円札の肖像となった」と書かれており、タイムリーに展示が入れ替えられていることがわかります。

渋沢栄一コーナー(?)

正庁につながる形で「至善堂(しぜんどう)」という建物があるのですが、こちらは藩主の休息所・諸公子の勉強所だったそうで、徳川慶喜も幼少期にここで学んでいたのだとか。また、明治維新の際に謹慎していた場所でもあるそうです。

至善堂
(徳川慶喜の肖像画もある)

上の立場になればなるほど、学ぶべきという考え方

これらの展示や室内、そして庭の様子をジックリ見ながら入口に戻ってきて、受付のおばさまと雑談。
彼女によれば、弘道館で学んでいたのは若者のみでなく、いまでいう「生涯学習の先駆け」と言えるのだそう。

後で調べてみると、確かに「入学年齢は15歳で40歳まで就学が義務付けられていた」とホームページに記載がありました。

このような「藩校」は水戸以外の各地にもあったことが展示されていますが、幅広い年代の人が学習する仕組みがあったことが、明治維新後の発展の基礎になったのかもしれません。

他の藩校の紹介も。
これらをまとめて文化遺産にしよう、という動きもあるそうです。

さらに、ホームページを読んでいて面白いと思ったのは
「身分別に毎月の最低の出席日数が、15日間、12日間、10日間、8日間と定められており、身分の高い者ほど登館すべき日数が多くなっていました。」
とあるところ。

「上の立場になればこそ、より学ぶべき」という考え方だったのでしょうね。

翻って現代社会は大人になってからの学習時間が短いことが指摘されています。

学業以外で、1週間のうちに学習している時間は9分!!
令和3年「社会生活基本調査」を筆者にて加工

江戸時代は住まうエリアに藩校があるか否かで、学びを得られるかどうかが決まってしまったと思いますが、現代は学ぼうと思えば、オンラインでいくらでも学べる時代になっています。いわばネット上に様々な藩校(?)がある時代。
にも関わらず、学びの時間を取らないのは非常にもったいないことだと弘道館を歩いてみて感じました。

オンラインとリアルを行き来して学びを深められる時代

オンラインでも学べる時代だ!と言っといてナンですが、やっぱり現地を歩くのが楽しいなと、私は思ってしまうタイプですw (散歩そのものが好きですし)

特に今回は、受付のおばさまとの雑談が発想を膨らませるキッカケとなりました。これは現地に行って、たまたま話しかけたからこそ。

おばさま曰く「弘道館と偕楽園(かいらくえん)はセットのようなものだけど、皆偕楽園には行くのに、こっちにはあまり来ないんですよねー」と。

偕楽園も、弘道館を同じく徳川斉昭が整備した場所。「自然の美しさを楽しみながら心を養う」ねらいがあったそうです。今では梅の名所として知られているイメージですね。

なんというか偕楽園の方が「映える」感じがします(私はまだ行ったことがないですが)。ゆえに、そちらに人が多く流れるのもわかるかなあ、と。

私もただただキレイな自然を眺めるのは大好きです。

まあでも、せっかくなので「映える」場所に行くだけでなく、思索の着想を得て、帰ってきてからそれを深め(オンラインで関連資料も見ながら)、まとめてみる。
そんな旅(散歩)のあり方もあるよなあ、と最近は特に感じるところです。
これぞまさに現代の「生涯学習」の1つではないでしょうか。

ということで、弘道館という「生涯学習」の先駆けとなる施設を見ながら、現代の生涯学習についても考えてみました。

では今回は以上です。


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