画像検査における神話
X線やMRI画像は必ずしも必要ではありません。なぜなら、それらは全てを映し出すものではないからです。
今回は、X線やMRI画像に関する神話を論文を用いてまとめました。
画像は痛みの原因を完全に示す
痛みを感じ始めると、その異常を発見するためにMRIなどの画像検査を受けることが多いです。
そして痛みを引き起こしている原因を特定しにいきます。
しかし、これらの異常は「症状のない一般の人」にもある事はご存じでしょうか?
2020年のHorgaらによると年齢中央値64歳、44人の無症状成人の膝をMRI検査した所「無症候成人のほぼすべて(97%)の膝がMRIで何らかの異常を認めた」と結論付けました。
2019年のBarretoらによると、片側の肩の痛みがあった123人を前向きに評価し「ほとんどの異常なMRI所見は、症候性と無症候性肩の間に違いはなかった」と結論付けました。
他にも、このような無症候性(症状がない)が画像に異常があるという論文は多数存在します。
もしかするとこれらの所見は通常の老化現象(白髪が増える、皮膚がたるむ)といった症状と近いのかもしれません。
画像はあなたの予後予測を完全に映します
画像所見が悪くなればなるほど、症状は悪化していますか?
症状がよくなれば、画像所見の異常は消失していますか?
2010年R T Bensonらによると大きな椎間板ヘルニアがあっても経過が良好になる場合もあります。
臨床でも、画像所見と身体症状が一致しないケースは遭遇します。
何が言いたいかというと画像だけを見て「かなり痛んでいる」「これは非常に重症」と言葉を投げかける方がよくないかもしれません。
画像にある傷病部分を治すと完治する
画像で痛んでいる所を治す(手術する)と完治しますか?
痛みが全く無くなり完治するのでしょうか?
そこまで単純ではないかもしれません。
2022年のO'Connorらによる系統的レビューでは膝の変形性半月板断裂に対する鏡視下手術はプラセボと比較して「痛み、機能において重要な利益はほとんどなく、QOLにおいても利益はない可能性がある」と結論付けています。
これらの論文を見ていると反復になりますが必ずしも画像所見が「痛みや長期的な予後を予測する」ものではないことがわかってきます。
そして、椎間板ヘルニアのように自然に治癒するものもあるという事です。
画像所見の必要性は?
ここからは私見ですが、
私は画像所見いらない!なんて事は言っていません。
過剰に使用、信用しすぎるのがよくないのでは?というのがこの記事で言いたいです。
そして今回述べたのは整形外科領域における論文です。
そして手術の適切性を判断するのにも重要です。
ですので結論「必要」にはなります。
しかし画像撮影にはコスト、予約撮影時間増加、過剰な治療に繋がりかねない事も頭に置いておく必要があります。
人間の体は思った以上に強く、回復力を持っています。
生活習慣を見直し、適切なトレーニングを行い強い体を作っていきましょう!
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免責事項
-この記事は情報提供の為の記事です。 医療に関する意思決定や行動においては、必ず専門医や専門機関の意見や指示に従ってください。
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