第1回 Lightroom CC AIノイズ除去 完全攻略への道 | AIノイズ除去の世界
Lightroom CC AIノイズ除去って何?
2023年4月、Adobe Lightroom CCにAIノイズ除去という機能が追加されました。文字通りAIの技術を用いて従来よりもより効率よくノイズを除去する機能で、高 ISO 設定で撮影した写真もより簡単に綺麗にできる優れものです。機能概要は以下Adobeのプレスリリースをご参照ください。
https://helpx.adobe.com/jp/lightroom-cc/using/whats-new/2023-3.html
こんな企画です
AIによる画像の加工と聞くと少し身構えてしまうのは私だけでしょうか。世に蔓延るAI画像の違和感、機械学習により加工された情報の真正性、などなど、新しい技術は往々にして使うに躊躇う要素が多分にあります。
しかし、そういう時こそ正しく敵(?)を知る事が大切。使い倒して最適な用法を探っていこう、もとい攻略してさしあげようというのが趣旨の企画となります。
思いついた検証を少しずつ進め、コラム的に掲載していきたいと考えていますので、中長期的にお見守りくださいませ。
【第1回】AIノイズ除去の世界
身構えるだの不安要素があるだの書き連ねましたが、なんといっても現代の最先端技術「AI」を用いたノイズ除去です。きっとどんな過酷な撮影データでもきれいさっぱり使える写真に直してくれるはず!!
というわけで、まずはとりあえず使ってみましょう。わざと超高感度で撮影した写真に対してAIノイズ除去を適用し、その効果を見てみることにしました。
撮影ギャラリー
α7RIIIの最高ISO感度102400で撮影したデータに対し、AIノイズ除去を強度100で適用。比較できるように並べました。
ぜひタップして拡大しながらご覧ください!
ISO102400の超高感度撮影ではノイズのせいで全体的に緑色っぽくなってしまった写真も、AIノイズ除去にかかればすっきり綺麗、ぱっと見違和感のない様子に。
建物のパステルカラーを見事に再現!特に右から2番目にある薄い紫の壁面の色は見事です。
元画像はざらざら過ぎて何が写っているのかも怪しいレベルでしたが、ノイズ除去後はきれいさっぱり!
ノイズ除去前のざらざら感はすっきりなくなって、ぱっと見綺麗に仕上がっています。しかし、左下のマゼンタのシミや、右側が全体的に緑色に倒れている感じは残ってますね。
水面のテカテカ具合は思った以上に綺麗に仕上げていますね。
中央にそびえるタワーオブテラー、くっきりしました。
手前の地面全体は面白い傾向です。全体的にマゼンタ掛かっており、中央右寄りに緑色の太い縦線が見えます。よく見るとノイズ除去する前からその傾向が出ています。
うちのネコ。ぷりんです。毛の色が再現されていて驚き。
マゼンタや緑などの色ノイズは残りますね!
うちのネコ。くっくです。やっぱり色ノイズは残ります。グレーの毛なんですがお尻の方がマゼンタになっちゃいました。質感も全体的におかしく、ぺっとりしています。一方で瞳や鼻の色が見事に復帰しているのには驚愕です。
結果と考察
今回は味見ということで、ISO感度最高かつノイズ除去強度も最強という、最も極端な条件でのみ試写を行ってみました。
結論としては「どれだけ高い感度で撮影してもAIノイズ除去を使えば問題ないレベルまで復活させられる万能ツール」とは言い切れないことが分かりました。
【優れた点】
サムネイル程度のサイズに縮小表示にすると、まさかISO10万で撮影しているとは思えないレベルの絵に仕上がります。シーンによってはパッと見使える写真にまで戻る印象。
特に昼の明るい環境で撮られた写真は綺麗にしやすい様子。
色再現は驚異的。ほとんどノイズに埋もれているように見える部分でもかなり綺麗に描写できているように見受けられます。
【考慮すべき点】
暗いシーンの絵では限界がある様子。暗所に発生する緑やマゼンタのボテッとしたノイズは消しきれていません。
細かい模様は崩れたり溶けたりする様子が見られます。これは明るくても暗くても発生しますね。
ノイズに埋もれてしまったテクスチャやディテールは流石にほとんど帰ってきません。猫の毛並みや細い線などが良い例。
今後の課題
味見にしても撮影シーンが少なく、まだまだ試し足りないのが正直なところ。人物撮影や昆虫、動物、星空、などなど。というわけで、今後も面白いシーンが撮れ次第この記事に追加していこうと思います。
常用ISOの範囲で、ノイズ強度も控えめに適用した時の挙動が気になります。
所有しているカメラの中で最もノイズに強いフルフレームのカメラを使いましたが、APS-Cや1inchなどのカメラの実力も見てみたいです。
おわりに
今回はAIノイズ除去の実力を味見するという名目で、極端な条件を設定して実写撮影で様子を見てみました!
ざらざら感はいくらでもきれいにできる!
色も見事に再現できる!
暗いシーンや細かい描写は崩れてしまう傾向アリ
面積の広い色ノイズは残ってしまう傾向アリ
残念ながらどんな撮影条件・どんなシーンにも耐える無敵の万能ツールとはいかなさそうです。しかし使いこなせばきっと強い味方になるはず!
次回以降は、さらに条件を振った試写を続けながら、定量的な測定も交えてこの機能を分解していこうと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
使用機材
■SONY α7RIII
■SONY SEL20F18G
■SONY SEL50F25G
■FastStone Image Viewer
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?