ビジネスは冷静と情熱のバランスが必要 #73
最近仕事をした方で、物事に過剰に反応する方がいらっしゃいました。
「このアイデアすごく良い!すぐやろう。」
「あいつは否定ばっかりでだめだ」
良いことにも悪いことにもすぐ反応します。
アツくなることは重要
ビジネス(特に経営層)においては、アツくなる瞬間は重要です。日々解決したいと思っていた課題に挑戦できるタイミングが来た時、チャンスを逃さずに誰よりも情熱を持ってその解決に取り組む姿勢は絶対に必要です。
ゼロイチができる人は異常と思えるほどのエネルギーを持っています。
ただ、新規事業を始めるにあたって、アツくなる過ぎることはマイナスな面もあります。
特に、市場が求めるニーズと自分ができる解決策が一致しなくなってしまうパターンを多く見受けます。
例えば、よく切れるハサミが存在しなかったとしましょう。
今のものより少しだけよく切れれば十分だったのに、少し軌道に乗ると品質向上にコストをかけて、「ティッシュでも切れます」、「片手でも切れます」などという誰も求めていない機能を訴求し始めることがあります。
スーパーの過剰包装、施設の過敏な安全管理など、顧客のニーズを深く考えずに「これがあれば良いはず」を妄信してしまうと危険です。
冷静とはデータ
では、ここでいう「冷静」とは何かというと、客観的なデータのことです。
ハサミの例で言うと、顧客が何にそのハサミを使っているのかを分析する必要があります。
布の裁断か、枝切りか、調理か。それぞれどの程度の顧客がいるのか。
布の裁断ならどの程度の厚さの布を切っているのか。
調理の顧客が少なければ、何が理由で使われていないのか。
それによって、求められる品質をどこまで高めれば良いのかを決め、それを達成した後は、マーケティングに費用をかけるべきです。
でも、やっぱり情熱は必要
「そんなことわかってるわ!」って感じですよね。
では、市場のデータを取るにはどうすれば良いでしょうか。
購入者アンケートで聞く、第三者に調査してもらう、ラインナップを揃えて売り上げの良かった方を残す。など、パッと色んなアイデアがありますよね。
でも、これって半分正解で半分違うと思うんです。
あえて矛盾した表現をしますが、データほど信用できないものもありません。
例えば、試食品コーナーで無料で一方的に食べさせて、美味しかったですか?ってアンケート取ってもほとんどの人が美味しかったって言うに決まっています。
また、現在の売上がとても良かったとしても、もし新規顧客ばかりなのであれば、それだけ離れていく客がいるということです。
どのデータをどう取るかということを考えるには、やっぱり情熱が必要なのです。
真剣にお客様の立場に立って、どんな感情でどういう行動を取ったのか一生懸命想像する必要があります。
これは、本に書いてあるような形式だけの機械的なアンケートでは読み取れません。お客様との関係の中に眠っているデータを、泥臭い手法で掘り起こす必要があります。
人事評価も冷静と情熱の狭間
個人的には、人事評価もこの両面からすべきだと思っています。
はい。公平性の担保が難しいですよね。
なので、成果のデータを基にした事後評価は給与に反映し、やる気や情熱といった事前評価は本人の希望するポジションに反映するのはどうでしょうか。
情熱を持ってチャレンジし続ける人には、直接賃金を上げるのではなく、その情熱を注ぎこめるポジションや予算を付けてあげるということです。
もちろん、結果を出せば対価を支払います。
これであれば、成果主義の人も未来志向の人も共存ができる気がします。
例えば、社員が世紀の大発明をした場合でも、基本は個人に利益を還元する仕組みにしておいた方が今風です。
成功するまでは給料は安いが、研究費は援助する。しかし、成功した場合は、かかったコストを回収したうえで、必要以上の利益は個人に還元する。
そうすれば、多くの人が組織の中で安心してチャレンジができますし、結果的に多くの利益が出るのかもしれません。
言語化してみると、居心地の良い会社ってこれができている会社かもしれません。
個人主義の世の中で
これからは、一つの組織に所属するのではなく、複数の組織に関わる個人主義の世の中になります。
安定した給与は成果主義の会社でもらい、成長のためのポジションを用意してくれる会社でスキルを磨き、ボランティア団体で直接的な社会貢献も行うなどの世界観になると面白いかもしれないですね。
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