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起業の事業領域とミッションについて

前回記事とのつながり

前回の記事で詳しく書けなかった、起業をするに至る想いを込めた事業領域「ステークホルダーコミュニケーション」と、ミッション「情報の循環を整え、豊かな経済エコシステムに貢献する」のベースとなる考えについて紹介させてください。

内容が抽象的で、ややIR領域とのつながりが見えにくい点、論理に飛躍がある点はごめんなさい🙏。一旦ざっと眺めていただいて、こういうことをやりたいのかな、とイメージを持っていただけたら嬉しいです。
そして、今後事業活動をしながら全力で具体化・論理の精緻化を進めていきたいと思います。

ステークホルダーコミュニケーションについて

ステークホルダーコミュニケーションとは

企業のステークホルダーコミュニケーションのイメージ図


企業はその目的の追求のために、多様なステークホルダーから構成される社会から、様々なリソースを借り続ける必要があります。リソースを借りるためには、それを持つ人とのコミュニケーションが必須となります。それがステークホルダーコミュニケーションです。
社会や技術が発展することで形は変わっても、企業のステークホルダーコミュニケーションは必須であり続けるものだと考えます。

ステークホルダーコミュニケーションの重要性

社会が複雑化したことで、社会問題の対応を政府に依存することは不可能だと言われています。そうした状況への対応として、社会問題に対する企業の役割が高まっていることは、近年のサステナビリティへの注目の高まりから明らかだと思います。社会問題の当事者として社会(=様々なステークホルダーの集合)と関わっていく上で、ステークホルダーコミュニケーションは今後一層重要になる領域だと考えます。
特に、「サステナビリティの大きな流れの中で、長い時間軸を取ると、コーポレートガバナンスのあり方が、現状ではまだまだ主流の株主中心主義的な形から大きく変わっていく」という仮説に立つと、ステークホルダーコミュニケーションは重要性を高めながらあり方が大きく変わる、おもろい領域だと感じています。

また、「誰と何についてどう話すか」、というステークホルダーコミュニケーションのあり方は、そこに関わる人や企業のあり方に強く影響を与えます(「人生を変えるには、付き合う人を変えろ」、なんてよく言われますよね)。
そして人や企業のあり方は、社会のあり方の重要な部分を占めています。
つまり、ステークホルダーコミュニケーションのあり方は、社会のあり方の重要な要素になります。しかし現状のステークホルダーコミュニケーションの設計は、そうした視点は十分ではないように感じます。
上場企業において「自社の経営目的や目標に照らしてステークホルダーとのコミュニケーションを主体的に設計すべきだ」という意識はまだ珍しいと思います。
同様に、上場企業の情報開示等に関するルールも現状ではまだ株主利益の視点が中心になっていることが多いように思います。
(個人のレベルでも、他者とのコミュニケーションが自分に与える影響は、あまり自覚されていないかも)
このような企業のステークホルダーコミュニケーションの設計が、意図せざる形で社会問題の一因となっているように私は感じています。

つまり、ステークホルダーコミュニケーションはまだ領域としての注目が低いけれど、将来にわたって必須であり、社会の課題解決の観点からも重要だよ、ということです。

情報の循環について

情報の循環とは

私たちはステークホルダーコミュニケーションを切り口に、情報の循環に変化を促し整えることで、人と企業が自然と包容力を高める方向に向かう環境を作り、人・企業が個性を発揮することで形成される豊かな経済エコシステムに貢献することを目指しています。

情報の循環のイメージ図


まず、ステークホルダーコミュニケーションの一つの理想的な状態を以下のような状態として考えてみます。

  • 企業からステークホルダーに対して、その企業に関する重要な情報が、質を担保した形で、ステークホルダーに伝わる。

  • ステークホルダーから企業に対して、その企業との関りで生まれた重要な情報が、質を担保した形で、企業にフィードバックされる。

しかし現実には、ステークホルダーコミュニケーションにおいては、以下のような要因から、放っておくと情報の循環に滞りが生じてしまうものだと考えています(ここで言う滞りとは、情報のやり取りの量や質が理想的状態に比べて顕著に下回る状況をイメージしてください)。

  • 個々の企業もそのステークホルダーも、それぞれ異なる個性があり、前提が大きく異なっているため、情報の出し手の意図とは異なる解釈が受け手側で生まれやすい。

  • 主な情報の出し手である企業は、競合の模倣やステークホルダーによる誤解等を恐れ、個別具体的な内容を伝えたくない、隠したい(自社に都合のよくないことについては特に)。

  • ステークホルダー自身は、自分が何を必要としているのか明確でない等の理由で、コミュニケーション/情報収集に必ずしも能動的ではない。

  • コミュニケーションを通じて相手にどのような意見や印象が形成されたのかを知ることは、そのためのコスト等により容易でない。

情報循環が滞ることの弊害

情報の循環に滞りが広く存在していると、自社の実態の一部を切り取って情報操作をするような行為が、企業にとって合理的な選択肢になってもおかしくありません。
(こう書くと、企業が悪者だと言っているように受け取られてしまうかもしれませんが、そういう意図は全くありません。単純な善悪では語ることはできないし、誰が何についてどうコミュニケーションするかは、コミュニケーション主体とコミュニケーション相手の関係性や、慣習/ルール等、主体に固有の要因ではないものの影響が大きいと考えています)

このような情報の循環が滞った環境には、色々な観点で課題が指摘できると思います。その中でも特に私たちは、「企業に関わる人及び企業自体が統合的な視点を得て包容力を高めていく自発的な動機を持ちにくいこと」に問題意識を持っています。
(統合的な視点を得ることはサステナビリティと密接に関係しています。ここでは、「短期の狭い因果だけを考慮するのではなく、広い視野で長期における複雑な因果関係を考慮に入れて、自身の目的やあり方に向きあう」といった意味と受け取ってください)

情報循環が整うことの効用

一方で、情報の循環が整い、下記のようなことが容易になると、企業にとっては「情報を隠すよりも出した方が良い、相手に合わせてコミュニケーションすれば誤解は減らせる、相手からのフィードバックを得て自分たちが変わっていけばより未来が開ける」という理解が生まれやすくなると思います。

  • 企業が発信する内容と実体の整合性の確認。

  • 企業の過去の発信内容に関する結果の検証。

  • コミュニケーション相手(例えばIRであれば投資家)に関する情報の入手。

  • コミュニケーション相手からのフィードバック取得。

そして、コミュニケーションに積極的な企業が増えると、ステークホルダーから見て企業間の違いが今まで以上に鮮明になります。そうするとステークホルダーから支持される企業が顕著なメリットを得られるようになります。
そうなれば、より多くの企業に関わる人及び企業自体が、統合的な視点を得て包容力を高め、ステークホルダーと共創していきたいと自然と感じるようになるはずです。私たちは、そんな将来を目指しています。

事業の方向性と個人の願い

こうした大きな事業の方向性は、前回の投稿で書いた自分の願いに根差していると感じています。

  • 私自身が”ピュア”であるために、自他から尊重されたい(自分の思いが尊重されないと分かっていたら”ピュア”でいるのは難しい)。

  • また、自分だけではなく他の人もそうあって欲しい。

  • だから、人・社会が統合的な視点を得て、他者に対する包容力を高めていって欲しい。

一方で、新たなミッションは、私の残り少ない事業に専念できる時間で実現するのは到底不可能な広がり・深みをもつものだと理解しています。個人的な願いと強くつながるミッションではあるものの、私一人に閉じたものにしてはいけないという問題意識があります。

そこで、新しい会社は、ミッションと想いの重なる仲間と一緒に組織と事業を作りながら、経営のバトンを渡す形で、社会の公器として長く広く社会に貢献できる存在にしていくことを目指します。そうすることで理想とするステークホルダーコミュニケーションを自らが実践することにもなると考えています。

(これは蛇足ですが、以前に「次世代のインベストメントチェーンを共に創る」というRFIで掲げていたビジョンの背景にある個人的な経験について書いています。この(旧)ビジョンは、新たなミッションに包含されているもので、そのベースとなったいくつかのイベントは新たなミッションを紡ぐ上での原体験となっているので、もしよければご覧ください。私自身が金融業界におけるステークホルダー(従業員)コミュニケーションのあり方に大きく影響されていた話も出ています)

最後に

今回は想いをはき出すような文章になってしまいました(汗)。想いは大切にしつつ、一人一人の顧客・ユーザーの方の困りごとを解決し価値貢献することでしか事業は継続できないという現実から逃げず、しっかり向き合っていこうと思っています。

ステークホルダーコミュニケーションについて、現状では私はこれまで一投資家から見てきた景色しか理解できていません。今後はIR、採用、企業経営、IR支援、ステークホルダーコミュニケーション研究に携わっている方々との協働機会をいただきながら理解を深め、ミッションに向かって前進していきたいと思っています。今後私からご連絡を差し上げた際には、「何かこの人を活用できないかな」という視点で興味を持っていただき、対話の機会をいただけたら大変ありがたいです。

この記事をご覧いただいて興味を持っていただいたらぜひ意見交換をさせていただけたら嬉しいです。お気軽に、eメール(こちら)、Facebook、noteのコメント欄等でご連絡ください(即レスします)。

また、今後IRについていろいろな研究もしていく上でインターンの募集もしております。株式市場や企業と投資家のコミュニケーションについて興味があり、自由になる時間がある方は、学生、社会人等問わずお声がけいただけたらとても嬉しいです。私の方でもテーマはたくさんありますし、具体的な研究課題を持ってきていただく形も大歓迎です!。

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