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Xデザイン学校大阪校2021 #1 ブートキャンプ

1.経験・知識の重要さ

サービスデザインを考えていくにあたって、リサーチして仮説を立てていくわけだが、このリサーチで事実から気づきを得るためには、ユーザーやビジネスモデルとの接触経験がどれだけあるかが重要だということ。この経験の積み重ねが、デザイナーとしてより良い気づきやインサイトを得るための土壌になる。

今回のグループワークでは、プラットフォームビジネスを一つ挙げ、ビジネス構造を図式化することを行ったが、プラットフォームビジネスに当てはまるサービスを知ってないとなかなかこれができない。(そもそも、プラットフォームビジネスに当てはまるサービスとは何か?ということも明確な定義があるわけでもないので、難しいところだが)

「イノベーション」という言葉がもてはやされ、企業がこぞって企業間の技術コラボなどでイノベーションをしようとしている。メーカーにいると強く感じる。これは「innovation=技術革新」と訳してしまった日本語の罠なのだろう。

そもそもinnovationってなんやっけ?と思い、Oxfordを引いてみると

1 [uncountable] the introduction of new things, ideas or ways of doing something
2 [uncountable] a new idea, way of doing something, etc. that has been introduced or discovered

「技術」なんて言葉が出てこない。「導入したり、発見された新しいアイデアや方法」なので、「知」と「知」、「経験」と「経験」が出会ったところに生まれるもののように受け取れる。デザイナーなどが蓄積してきた経験(ユーザーのこと、技術のこと、文化・歴史など仕事に関係しないことも含めて)と「何か」が出会うだけでも起こるのだと思う。そういう意味でも、「経験」をいかに積んでおくかが、新しいビジネスを提案するためにも重要だと思った。

実際、世の中にあるプラットフォームビジネスは、全てがすごい技術を使っているわけではなく、経験の積み重ねの上に成り立っているものも多い。あとはローンチするスピード感が早い(これも重要)。


2.大企業の新規事業開発がうまくいかない理由

講義中、企業内での新規事業について質問があがり、とても痛いところを突かれた感じを受けた。なぜ、大企業で新規事業がうまくいかないか。

・命がけで作ろうとしていない
実際、給料に特に影響しないし、昇降格とかがあるわけでもない。会社に属していることの良いところでもあり、悪いところでもある。新規事業が生まれない原因でもあるように思う。本気で事業を作るならば、自分事化できていないといけないように思う。

・パーパス、ミッション、ビジョンがない
自分自身、担当分野の中期事業計画を策定していて、この前提案し終えた。しかし、自分の担当分野を、会社として今後どうしたいのかがわからないし、誰も明確に答えてもらえず困った。結局、自分なりに作るしかなかった。大きな会社ほど事業ごとにバラバラになってしまい、お客さんから見たらどこを目指しているのか、社会的にどういう存在として会社があるのかがあいまいになっている原因だと痛感した。

・アイデアを出し合って、良さそうな何かを作っているだけ
前述のパーパス、ミッション、ビジョンがないので、アイデアを出すにしても発散していく。何とかまとめ上げて、それっぽいものができあがるけど、自分の企業にとってビジネスとして意味あるものかどうかという視点が抜け落ちてしまいがち。


あと途中あった「言語」の話が強く印象に残った。

欧米や中国は文法が似ていて、論理的な表現。
一方で、日本語はあいまい表現が多い。

日本の文化といっていいのかわからないけど、「忖度」という言葉が数年前に流行ったのを思い出した。

日本の伝統的な企業はどことなくハイコンテクストな文化で、明確に言葉にされていないけど、なんとなくこうみたいなのがある。一人ひとりがそれぞれの経験背景を織り交ぜて、勝手な会社の方向性を作ってしまっているんじゃないかと。その結果、個人個人は同じ方向を向いているつもりでも、俯瞰してみるとバラバラな動きをしてしまっている。かつてはそれでも上手く回っていたのかもしれないが、それでは企業として成り立たない時代が来ていて、成長企業と衰退企業の違いはまさに明確なビジョンが定義され、社員に共有されているかどうか。

デザインの意味が変化し、総力戦の時代へと変化してきていることの表れで、パーパス、ミッション、ビジョンの役割が大きくなってきていると感じた。


3.事業としてスケールするために

スケールするとかのその前に、企業が行う事業としてパーパス、ミッション、ビジョンを明確にすることが前提にある。そのうえで、次のことが大切。

データをどう活用するか?
サービスを通してユーザーからデータを得て、それを活用してサービスとしてどのようにユーザーへ還元するか。

何を民主化するか?
今までプロしかできなかったことを、個人や小さな事業でもできるようにすることで、ビジネスとしてスケールしていくようにする)

お金やサービスの流れをどうするか?
サービス全体を一つの経済圏として見て、どのようなエコシステムを作り上げるか。プラットフォーマーやデベロッパー、そしてユーザーのそれぞれにとってメリットのある形が理想。


また、中国のサービスでは最終的には人の手が介在することが多いという話があった。サービスを使うのは人なので、選ばれるサービスとなるためにはユーザーに届くところで、やはり人の手が入っているというのはとても大切なようにも思った。

プラットフォームビジネスの構造を図解するグループワークで、自分は「食べチョク」を例にしました。これは簡単に言うと生産者と消費者をつなぐプラットフォーム。つまり人と人を繋いでいるなと。もちろん、モノの売買だったり、商品の情報を知ることが出来るのも売りではあるけど、生産者のことが知れるとか、逆に生産者からは消費者のことが見えるようになっていたりと、人と人が関わることが意識されている。やっぱりそういうサービスに心が惹かれる自分もいて、重要な要素の一つなのだと感じた。

※ユーザーは個人だったり、レストランなど事業者だったりするので「消費者」という書き方にしました。

メーカーにいるとついついモノで考えてしまいがちだが、最終的にはユーザー(人)がいて、人が使い、喜ぶことを意識しておかないと改めて感じた。


おわりに

昨年、学んだことを仕事でも応用してきたり(といっても、考え方を少し織り交ぜるようにしたレベルなのでまだまだ)、初回からすでに昨年とは全然違う内容だったりと、今年も新たな学びがたくさんでお腹いっぱいでした。
今年は月1ペースで、ゆっくりと、そして着実に、学びを積み重ねていきたいと思います。

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