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新鮮さは放っておくことから?~ZOOMで読書会 その29の前半

29回目の「ZOOM読書会」。
学生時代の友人「🐰さわ」と 私「🐻くば」が、それぞれ 自分で決めたテーマに沿って 本を紹介しあいます。

今回のテーマは、🐻くばが「開店!本屋さん」、🐰さわが「大河の予習はこれでばっちり」です。
長くなったので、2つに分けて記事にしました。前半がこちら。 

過去の読書会はこちら


☆🐻くば☆

<テーマ> 開店!本屋さん

「本屋さんが どんどん閉店していく」
地方の小さい本屋のみならず、都会の有名な大きい本屋さんまで閉店するという話も聞きます。
本好きにとって、こんな悲しいニュースはありません。
今回は、本屋を続けて行くのに厳しい世の中で、開業した方たちの本を紹介します。

1 本屋、はじめました 新刊書店Title開業の記録  辻山良雄

2015年7月、勤務先のリブロ池袋本店閉店を機に退職。その6ヶ月後2016年1月、東京・荻窪に新刊書店「Title(タイトル)」をオープンさせる。
本屋づくりのすべてを詳しく書いた一冊。

この時代に本屋を開業するのは、素人の、私が考えてもかなり難しいものだとわかる。 
筆者のようにたとえ、大型書店で豊富な経験があったとしてもその難しさが、ゼロになるものではないだろう。

「事業計画書」「POSシステム」など素人の、私には まったくちんぷんかんぷんの分野でも、読み飛ばすことなく(分からない所はよく読み飛ばす私)するする頭に入ってくる。

ものすごい情熱をもって取り組んでいることだろうに、文章は落ち着いていて、淡々としている。それが、かえってわかりやすさにつながっていると思う。

立地場所、物件、店名、どんなイメージの本屋にするか、内装、業者、商品の仕入れ方、本の選び方ならべかた、レジの方法、ロゴデザイン、ブックカバー、ウェブサイト、SNS・・と、本屋開店までのプロセスがわかりやすいため、そばにいてその開店までの様子を見ているよう。

当然のごとく
「すてきな本屋さん。行ってみたいなあ」
と思ってしまう。

ここ何年かで、本屋がバタバタ閉店している一方、個人で特色のある本屋を開業する人も多くいるということも聞いている。
そういう「本屋を巡る旅」というのもやってみたいことの一つだ。   


2 子どもの本屋、全力投球!  増田喜昭

「悪いこと言わないからやめたほうがいいですよ」
子どもの本専門店「メルヘンハウス」の三輪さんは言った。
でも26歳の増田さんは全くの素人なのに、四日市に店を開いた。それも「子どもの本の専門店」を。

1975年に子どもの本の専門店「メリーゴーランド」を開いた増田さんのお話。

書店勤務経験もない、全くの素人だった増田さん。25歳で会社は退職。

図書館の児童書担当の人に 子どもの本のことを教えてもらいながら、大工になったりペンキ屋になったりして、準備を進める。

開店したら開店したで次々と襲ってくる困難。

それでも、店のお客さん、図書館の人、作家の方々、そして子どもたち・・たくさんの方々にささえられ本屋を続けてきた増田さん。

この本の発売は、1983年。開店して7年目ぐらいまでの話。
そして今、2024年。メリーゴーランドの営業は続いている。嬉しいことこのうえない。
(この本もまだ販売されているのには、驚きと喜びがわいてくる。)

この本を読み直して、思い出したことがある。

2000年の8月のこと。千葉で行われた「子どもの本のサマーカレッジ」(2泊3日)に参加した。たくさんの児童書関連の作家さんがいらして、講演会や交流会が催された。

岡田淳さんとお話できたり、ささめやゆきさん、高畠純さんにサインもらったりと夢のような2泊3日だった。

その時、主催者のひとりとして参加していた増田さんに思いきって声をかけた私。

「メリーゴーランド、必ず行きますから それまでやっていてください」 
(今思っても、とても失礼な言葉・・ごめんなさい。)

もちろん、まだ実現できていない。これから、「やりたいこと、やること」の一つに加えた。


《北海道の本屋さん》

「自分で開業」というわけではないが、実家の本屋を引き継いだ方と 北海道の書店に勤務している方が書いた本を3冊ほど。

(1)一万円選書 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語 岩田 徹

何度か実際の店舗におじゃました。
本当にまちの小さな本屋さん。
それも今時の本屋ではなく、昔私が小学生だったころの懐かしい雰囲気。

でも、並んでいる本を見ると、「ああ本当の本屋さんだあ」と感激。 
「この本いい本だから、ぜひ読んでください」と、本を愛してることが伝わってくる品揃え。 

もう、座り込んでずっとここで過ごしたいと思える。
この本に載っていた本は何冊か読んだ。一番好きなのは、「こっちへお入り」(平 安寿子)


(2)奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの 久住邦晴 

「なぜだ!? 売れない文庫フェア」は当時知っていたし、「本屋のオヤジのおせっかい『中学生はこれを読め』」シリーズも読んだことがある。

久住さんが亡くなった時も覚えている。

ただ、この本は今回初めて読んだ。
伝わってくるのは、書店経営の厳しさ。あんなにフェアがあたってもやっぱり苦しいのね。  

この本は、くすみ書房を閉店させ、病気がわかってから書き出したという。まだまだやりたいことはあっただろうなあ。

原稿がとつぜん、途中で切れていることに、久住さんの無念さを思う。
        


(3)利尻島から流れ流れて本屋になった  工藤志昇

著者はnoterさん。利尻島出身で札幌の書店に勤務されている。
「利尻島で行われた井上陽水のコンサートで、おばあちゃんが いびきかいて寝てた」という話が面白くフォローさせてもらっていた。

その方が本を出したと知り、まるで知り合いが本を出したみたいで嬉しい。

利尻←→稚内のフェリーの描写に、利用経験のある私は「わかるわかる」とうなずいてしまう。
お菓子の「おっとっと」が欲しくて 泣き叫んだ子ども時代の話と、POPを書く話も好き。


🐰くばは、札幌の「ひだまり」っていう絵本専門店行ったことある?
🐻あるよ。昔、さわがつれていってくれたじゃない(笑)
🐰そうだったっけ(笑)
ひだまりは、「28年間やっていて、黒字だったのは1年だけ」なんだって。たいへんだよねえ。   店主青田さんのインタビュー記事

🐻白石区の絵本専門店「りとるわん」は、まだある?
🐰「りとるわん」は、たしか いったん店を閉めて、別の形態で続いているって聞いたよ。子どもたちが小さいころよく利用させてもらったよ。

🐻北区にあった「ろばのこ」は?
🐰「ろばのこ」は、北区から大通りの西18丁目あたりに移転したよ。この間、孫におもちゃを買ったんだよね。
ろばのこHP
🐻ああ、まだ店が続いているのは、嬉しいよね。
札幌駅地下街の本屋や、大通駅のリーブルなにわもなくなったよね。
大通りの地下街にあった紀伊國屋書店オーロラタウン店が閉店したのもショックだったよ。
🐰うん、うちの娘も「仕事帰りに寄る本屋がなくなった・・」って言ってたよ。            

後半「🐰さわ『大河の予習はこれでばっちり!』」は こちら。


読んでいただき ありがとうございました。