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読むなら 絶対ハードカバー!~ZOOMで読書会 その23

23回目の「ZOOM読書会」。
学生時代の友人「🐰さわ」と  私「🐻くば」が、それぞれ  自分で決めたテーマに沿って 本を紹介しあいます。

過去の読書会はこちら

☆🐻くば☆

<テーマ>寝る前に読むのに ちょうど良い本

寝る前に、あまりにも面白い本を読み始めると、途中でやめられず眠られなくなってしまいます。

眠りに落ちる前や、ちょっと本を読みたい時に、面白いけど、ひとつひとつは短くて、途中で区切りをつけやすい本をピックアップしました。

1 おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った  金井真紀

「好奇心」と「スケッチブック」を手に、いざ、ことわざを集める旅に!
ことわざはもちろん、エッセイもイラストも魅力にあふれています。

「やり方はいくらでもある」と、おばあちゃんは 猫でテーブルを拭きながら言った。 (フィンランド語) 
→「意外なところに道がある、解決策はひとつではない。」の意味。

本の題名にもなっていることわざ。
おばあちゃんすごい! 猫ちゃん、びっくり(笑)

良いことをしたら 水に流せ(アルメニア語)
 →「善行の見返りを求めるな。」の意味

あああ、私なら、思いっきり「見返り」をもとめてしまう。
はい、水に流します。

よく、これだけ世界中のことわざを集めたなあと感心。そしてなによりも、イラストがとっても素敵。

さらに、著者 後書きの この部分も好き。

語学力ゼロ、ことわざの専門知識はない、ただし 聞きかじりと 受け売りは大得意。そんなわたしがつくった のんきで幸せな本に お付き合いくださって ありがとうございました。


2 くらべる東西 おかべたかし

34組の、東と西の「文化・風俗の違い」を解説した本。
写真があるので、その違いは一目瞭然。

銭湯の湯船→関東は奥に。関西は中央に。
いなり寿司→関東は俵型、米俵にちなむ。関西は三角形、キツネの耳の形、稲荷山の形。
ネギ→「白ネギ」の関東「青ネギ」の関西。

初めて知ったのも、聞いたことがあったのもあるけれど、北海道が必ずしも「東」ではないというのが面白かった。

3 お寺の掲示板  江田智昭

2018年「お寺の掲示板大賞」に投稿された作品を集めた本。
 
深く考えさせられるもの
ユニークなもの
一見 意味不明なもの
完全に 意味不明なもの
 
奥深い「お寺の掲示板の世界」が 凝縮された一冊。

車の「初心者マーク」の落とし物のお知らせに「初心をお忘れの方がおります」との掲示板には笑った。

震災の時、松山千春がラジオでしゃべったという一節。

知恵があるやつは 知恵を出そう
力のあるやつは、力を出そう
金があるやつは 金を出そう
「自分は何も出せないよ」というやつは元気を出せ。
         松山千春

初めていったコンサートが松山千春だった私としては、「千春、いいこと言うじゃない」と、にやり!



🐻今回、図書館から借りられなかったから紹介しなかったんだけど、「翻訳できない世界の言葉」というのも候補だったの。

世界中の言葉の中で、外国語に訳すのが難しい言葉を集めた本で、日本語では、「木漏れ日」というのが、とりあげられていたよ。
NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」でロバート(村雨辰剛)さんのセリフにもあったと思う。
🐰ああ、あったかもしれないね。
🐻方言でも、なかなか共通語に訳せないのもあるよね。
「押ささった」とかね。(笑)
🐰それ、学生の時、A子(本州出身)と話したことあるよ。
  A子「それは『間違えて押しちゃった』って意味でしょ」
 私「いや、『押した』んじゃなくて、『押ささった』の」(笑)


☆🐰さわ☆
<テーマ>童話の世界とつながっちゃったら

1 つづきの図書館  柏葉 幸子

主人公は40歳の離婚歴ありの桃さん。図書館司書。

桃さんの前に「続きが知りたい!」と現れるのは、はだかの王様、オオカミ、あまのじゃく、幽霊。彼らが知りたいのは、物語の続きじゃなくて読んでいた子の続き。

何とか願いをかなえて、本に戻ってもらおうと奮闘する桃さん。
いつのまにか、人とかかわることが苦手だった桃さんが変わっていく。

最後の最後に驚かされた。
手紙が 微妙に変わっていくのが、桃さんの変化を あらわしているのは わかったけれど、誰に宛てた手紙なのかは 全く分からなかった。

今回は再読なので、たくさんの伏線が ちりばめられていたことに気がつき、そのたびにドキッとしていた。

初読の方が 当然驚きは大きく、再読の方が、桃さんを応援する気持ちが強かった。まったく別の楽しみ方ができて、得した気分。

登場人物の「おばさん、おじさん、おばあさん率」が高い。柏葉幸子さんだから、児童書に分類されているのだろうけど、大人にも、大人にこそ手に取ってもらいたい本。

子どものころ読んだ子の心の片隅に 何となく残っていて、大人になった時に「今からでも変われる」「この先いいことが おこるはず」って思ってもらえたら それもいいのかな。
人は 一面だけ見ていたらダメとかもね。


2 記憶の国の王女  R.タウンリー

本の中で登場人物たちは、誰にも読まれていないとき、自由に動き、話をし、好きなページに行って過ごしている。そして「本が開くぞー」という知らせがあると、慌てて持ち場に帰り、生の舞台の演劇のようにセリフを言い、動く。毎回、一言一句変えずに。

物語の主人公は シルヴィア。ある日、つい見上げてしまって 読者と目が合ってしまったところから、シルヴィアの人生(?)は大きく変わる。シルヴィアは、最初の読者である 藍色の瞳の少女の助けを借りながら、思いもかけない結末を迎える。

読み始めたら、「人形の家」(R.ゴッテン)を思い出した。人間がいないところでは 動いたり話したりする人形たち。私の好きな設定の一つ。

人形たちと違うのは、基本的に読者を見ないし、本の中でしか生きていないので、人間の成長や老化、死というものも知らないということ。物語の中では、最後まで行ったら絶対に最初に戻るから。

シルヴィアと藍色の瞳の少女のコンビがすごくいい。
最後は「こうなるんじゃないかな。こうなるといいな」が 当たったけれど、私の予想を上回るシルヴィアの機転がよかった。


3 はてしない物語  M.エンデ

主人公バスチアンは、太っていてX脚のさえない10歳の男の子。いじめられて飛び込んだ古本屋で「はてしない物語」という本を見つけ、思わず手に取って持って行ってしまう。

学校の倉庫に もぐり込んで読みだすと、その物語の世界に夢中になってしまう。物語の舞台はファンタージエン。そこは、「虚無」に侵され滅亡寸前。救うことができるのは、人間の子供。本の中の登場人物に話しかけられ、バスチアンは、それが自分のことだと気が付き、本の世界に入っていく。

この本を読むなら、絶対ハードカバー!
・あかがねいろの(絹張の)表紙
・互いの尾を咬む蛇
・2色のインクで印刷されている
実際に本の重さを感じながら、バスチアンと同じ気分で読む というのがいい。

今回、再読して気がついた。
私の記憶は 映画の「ネバーエンディングストーリー」で 上書きされてしまっていた!
映画を見たときに 不満が残っていたことは覚えていたけど、「いじめっ子をやっつけておしまい」というのが 気に食わなかった という記憶しかない。
(原作には、そもそも「 いじめっ子をやっつける」っていう場面はない)

おもしろいのはそこから先だった。

前半部分しか覚えていなかったので、バスチアンが、かっこいい男の子になったところで、「それは ないんじゃない」と思ったけれど、これも最後にしっかり回収できて、バスチアンの成長を表すエピソードになっている。

映画版の「フッフールの力で いじめっ子たちを やっつける」 というエンディングより、葛藤しながら成長していくバスチアンの姿を見ていくことの方が、子どもたちを 本当の意味で勇気づけることになると思う。

でも、今、この本を読む子はどれくらいいるだろう。映画のリメイク版作ってくれないかな。
もちろん、最後まで。アニメでもいい。でも、2時間の映画では描き切れないよね。NHKでやってくれないかな。あの、テーマソングは好きだった。



🐻やっぱり、「つづきの図書館」は いいよね。再読した時も、初読の時と同じに 最後の部分で涙が出たよ。
🐰あの手紙は、すごい伏線だよね。手紙が変わっていくの、なぜだかわかった?
🐻全然、わからなかった。最初は「書くことがない」ってことだったけど、現実の世界が楽しくなったから 書くことが増えたのかと思ってた。
🐰私は、もしかしたら「自分への手紙」かと思ってたよ。
🐻大人の人に読んでもらいたいよね。
🐰うん。児童書コーナーにあったら大人の人は手にとらないから とっても残念。


🐻さわの話、聞きながら、やっぱりもう1度、「はてしない物語」を買おうかなと思ったよ。持っていたんだけど、人にやっちゃって手元にないの。
なんてったって単行本。本の重さも装丁もいいよね。
🐰うん、岩波書店さん、よくあの装丁にしてくれたよ。
🐻まだ20代のころ、夢中になって読んだよ。
仕事から帰宅して、着替えもしないで 座り込んで続きを読んだぐらい。
あの文字の色が変わるのが いいんだよね。
🐰うんうん、扉絵も雰囲気いいよね。


「やさしい猫」のドラマがNHKで始まった。
(NHK「やさしい猫」のHP)

中島京子さんの原作。かなり前から読もうと思って、ピックアップしていたのに、読まないうちに、ドラマになってしまった。

自分が読んだ本が、ドラマ化(or映画化)されると、「そうよそうよ、この本 面白いのよ!」と、ひとりで にんまりしてしまう私。
今回は、その「にんまり」はできないが、ドラマを先にみて、原作を楽しむことにしよう。


読んでいただき ありがとうございました。