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【まいぶっく09】すべての命には~黒グルミの からのなかに

衝撃をうけた 。とんでもなく大げさに言うと、「天と地がひっくり返るほどの衝撃」をうけた。

今まで「良い」と思っていたことが、「実はそれだけではない」ということを思い知らされた。

「母親がもうすぐ死んでしまう」が、「死ななくともよくなった」に変われば、それはとてもうれしいことであり、幸せなことだと思う。

ところが、この絵本は・・・・・

* * *

母親の命をうばいにきた「死神」。 
ポールは、その死神と戦い、死神が何もできないようにしてしまった。

すると どうだろう。
「わたしは、もうすぐ死ぬわ」と言ってベッドに横たわっていた母親は、元気になったのだ。

めでたし めでたし・・・・ 



で 終わらなかったのがこの絵本。

その後すぐ、世界におかしなことが起こりはじめる。


* * *

もちろん「食物連鎖」ということは、知っていた。

食事をする際に「いただきます」というのは、「作ってくれた人への感謝」と、「食べ物になってくれた命への感謝の言葉である。」という話も聞いたことがある。

でも、私は「死神が何もできなくなったとき」、つまり「死がなくなったとき」、こういう風な事態になるとは、想像もできなかった。

「知っている」だとか「聞いたことがある」というのは、「本当に理解している」ことではない。 と いうことにも 気づかせてくれた1冊となった。

* * * 

「すべての命には・・・

おかしくなってしまった世界を元にもどすために、母親がポールに話したこの言葉は、こう続く。

「すべての命には おわりがあるの」



黒グルミの からのなかに(B)
 文 ミュリエル・マンゴー
 絵 カルメン・セゴヴィア
 訳 とき ありえ
 西村書店  2007年

読んでいただき ありがとうございました。