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万年筆の世界の奥深さ ~2022年4月に読んだ本から

読んだ本を忘れないため、毎月 読んだ中から 印象に残った本を 記事にしている。
4月に読んだ本の中から、印象に残った3冊。

1 メディコ・ペンナ 万年筆よろず相談 蓮見恭子


神戸にある 万年筆の店「メディコ・ペンナ」
店主は、その万年筆にたいする深い知識と、補修の技術で、おとずれるお客さんの悩みや苦しみも解き明かす。

就職活動がうまくいかなくて、メディコ・ペンナでアルバイトすることになった大学生の砂羽。店主やお客さんとかかわるなかで、自分の人生にも 向き合いなおす。

歴史、種類ごとの特徴、書き手のくせに合わせた調節・・「万年筆」の世界の なんと奥深いことか! またひとつ、知らない世界の一端をかいま見た。

内定をもらえなくて、悩みに悩んでいた砂羽が、メディコ・ペンナでの日々で前向きになっていくのが嬉しい。
読み終わってから気づく。表紙の題字も、万年筆で書いたものだろうか。

この本に出てきた「パイロットのカクノ」。そういえば、私もかなり昔に買ったはずだと思い出し、あちこち探した。  探した。   探した。

ありました!

黄色いキャップのカクノ。どんな書き味だったっけ?
久しぶりでわくわく。

・・・・・・

はい、当然インク切れ。書けませんでした。

2 博物館の少女 怪異研究事始め 富安陽子

両親を亡くし、東京の親戚にひきとられた 花岡イカル。おとずれた上野の博物館の素晴らしさに 心うばわれる。縁があって 博物館の「トノサマ」の弟子になり 蔵の仕事を手伝うこととなる。

蔵から 黒手匣くろてばこがなくなっていることに気づくイカル。何に使われる物かわからない。誰が何のために盗んだのか。そして、黒手匣くろてばこに隠された秘密とは。

両親を亡くしたイカルが、古物商だった生家で培った「目利き」の力で、自分の運命を切り開いていくところがいい。
「ポーの一族」を 思い出す場面もあり、ちょっぴり悲しい。

表紙に使われている深い緑色がとっても素敵。
たぶん、シリーズものになるんじゃないかなあと期待している。

3 図書室のはこぶね 名取佐和子

10年前に図書室から無くなったはずの ケストナーの「飛ぶ教室」がなぜ今、見つかったのか? 
はさまっていたメモ
「方舟はいらない 大きな腕白ども 土ダンをぶっつぶせ!」
とは いったいどういう意味なのか?

図書委員ピンチヒッターの百瀬は、図書委員の朔太郎といっしょにその謎を調べていく。
体育祭に向けて 学校中が盛り上がっている中、10年前に果たせなかった思いが明らかになる。土ダン(土曜のダンス)はどうなる?

一週間のできごとの話。ものすごく濃い一週間だ。
お話の中心に「飛ぶ教室」がある。それが、私のこの本に対する印象を強くした最大の理由。
はこぶねとは、どういう意味か?」と思って読み進めたが、「なるほどそういうことか」と最後に大きくうなずくこともできた。

主人公、百瀬。ばりばりの「体育会系女子」の彼女と「図書室」の組み合わせが新鮮だった。彼女の行動力は、うらやましい。

ダンス曲「Saturday Night 」。題名を見ただけではピンとこなかったが、途中で 突然 メロディーと歌っていた人たちを思い出し、「土ダン」を身近に感じてしまった。

この本に出てきた6冊。みんな読んでみたい本だった。とりあえず1冊は借りてきた。

高校の図書委員会が舞台の「図書室のはこぶね」を読み、思い出した。私も高校時代は 図書室の活動をしていたんだった。
貸し出し当番以外、ほとんど活動していなかったが、いつも昼休みは図書室に行っていた。

もし、今の私がタイムスリップして、高校生の私の中に入ることができたら、高校生向けの本を選んだり、展示方法の工夫をしたり、いろいろな図書室の活動をしてみたいなあ。

(40才以上も若返ったら、「ケーキをお腹いっぱい食べる」とか「夜更かしする」とか他にもやりたいこと、次々とわいてくるなあ。)


読んでいただき ありがとうございました。